見出し画像

理系学者一族

 私の苗字はかなり珍しいです。日本にうちの一族以外はいないと考えられます。ある藩で家老をしていた家系らしく、私は本家の14代目の長男です。私の友人で「天理教6代目」の人がいますが、日本なら「クリスチャン4代目」でも長いほうであり、「クリスチャン14代目」という人があり得ないことを考えるとかなり途方もなく長い世代と考えられます。

私の父方の祖父と父はともに理系の大学教授です。私の苗字で検索しますと「理系学者一族」と出て、父や祖父の名前が出ます(それ誰が書いたのだろう)。私の苗字をスマホで出すと予測変換で「先生」と出ます。それくらい「学者一族」なのです。そして私も順調に行っていれば「理系学者」であった可能性は大きいです。祖父や父を上回るくらいの優れた学者であった可能性も高いです。これ以上言うと我ながら情けないので言うのをやめますが。

 あるホームレス支援をしている人から個人的に聞いた話です。タナカさん(仮名)というホームレスさんがいたそうです。ある日、タナカさんは病気で救急搬送されました。その人はタナカさんを探しました。その地でホームレスの救急搬送を受け入れる病院は3つくらいしかなかったそうですが、そのすべてに「タナカさん」という最近の入院者はいなかったとのことです。その人は一軒一軒、病院をたずね、病室を見て回り、ついにタナカさんを見つけました。なんとタナカさんは「タナカ」という苗字ではなかったのです!もっと特徴的な珍しい名前で、軍人さんの家系でした。われわれは軍人さんと聞いてもピンと来ませんが、ようするに「かなり偉い」人だったのです。私には、そういう家に生まれながらホームレスになってしまった「タナカ」さんの気持ちが痛いほどわかった気がしました。私ももっと困ったら「ワタナベ」を名乗るかもしれない。いや、現にいま、すでに10を超える偽名やペンネームを使っているし!

 「アブラハムの子、ダビデの子、イエス・キリストの系図。(中略)こうして、全部合わせると、アブラハムからダビデまで十四代、ダビデからバビロンへの移住まで十四代、バビロン移住からキリストまで十四代である」(新約聖書マタイによる福音書1章1節以下)。どうやら「14代」はひとつの区切りのようです。「世が世なら殿様の家系で理系学者一族で愛情の欠如した親が続く家系」もここで終わり。私は46歳で職を失い、ほぼ同時期に自分が壮大な親の洗脳のなかを生きてきたことを悟りました。46歳という年齢は、再就職には苦しい「高年齢」ですが、しかし、まだしばらく生きていかねばならないという「低年齢」でもあります。私の「脱洗脳」のすべては20歳のときに「本物の神様」と出会ったことからだった!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?