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学習障害ですけど東大に受かりました

 発達障害の診断がくだってから、ちょうど5年になります。あれは2016年の5月のことでした。当時、40歳だった私は、いま45歳になります。はじめて発達障害の診断がくだったとき、医師は、「これらの本を読んで、自分の障害について理解するように」と言って、発達障害の、専門家が書いた本を2冊、貸してくれました。医師の診断は、「ADHD(注意欠如多動性症候群)の傾向のある発達障害」でしたが、私はその本を読んだときから感じていました。むしろ私は、「自閉症スペクトラム(ASD)」の傾向のほうが強いのではないか。

 それから3年半が経過した2019年11月。職場で、発達障害にかんするセミナーの案内がまわってきました。私は人事っぽい仕事もしていましたので、「職場に発達障害の人がいたらどうするか」という視点で(つまり、私自身が当事者という視点ではなく、職場に発達障害の人がいるという話)、そのセミナーの案内がまわってきたのでした。私は、上司に「行きたい」と言いましたが、「会社に還元できない」と言われ、その日は有休をとり、自腹を切ってそのセミナーに参加しました。もちろん周囲の参加者は、「職場に発達障害の人がいる、どうしたらよいだろう」という人ばかりでした。その場に「自腹を切ってきた当事者」はおそらく私以外、いなかったでしょう。その講習会はワークが多く、私はすっかり「スター」になってしまったのですが、その日のこと(日記が残っています)は、またいつか書くとして、その日も、あらためて自分が(たしかにADHD、LD(学習障害)の傾向も持っているものの)、おもにASD(自閉症スペクトラム)の傾向を強く持っていることを感じずにはいられませんでした。配布資料の、ASDの傾向を一覧にした表を見ると、「おのれ、よくもひとの欠点を全部、当てやがったな!笑」と思うほど、私の欠点ばかりが、「ずらっ」と並んでいるのです。もちろん、ADHDやLDの特徴も、かなり当てはまります。この1年半前の講習会に限らず、いろいろな場面で、私は、自分がASDの傾向の強い発達障害であることは認識せざるを得ませんでした。もちろん、ADHDやLDの傾向も持っています。(「3つとも持っている」というのが最も当てはまるのですが。)

 最近、ここ半年くらいですが、医師が、私のことを「自閉症スペクトラム(ASD)の傾向もある」と言うようになりました。ようやくわかったか。でも、医師の診断なしでは、しろうとである私は、どうにもしようがありませんので、医師がそれに気づいてくれたのはありがたいことです。(今後の診断書にかかわりますから。)

 しかし、「LD(学習障害)の傾向もある」というのは、ちょっと私は時代の最先端を行きすぎていて、理解しがたいと思われます。学習障害のある人が、東大に受かるわけないじゃん!じっさいに、ツイッター時代、「ADHD」「ASD」を名乗る発達障害アカウントが、いくつもあったことは覚えています。(「自称発達障害」が多いのでしょうな。)しかし「LD」と名乗る人は、ほぼ皆無でした。おそらくLDには、以下のようなイメージがあると思われます。

 あるとき、テレビ番組の「バリバラ」を見ていました。あまり好きな番組ではないので、バリバラはほとんど見ません。でも、私が発達障害の診断がくだったあとだと思いますので、5年前の夏ではないかと思います。学習障害の女の子が出て来ました。聡明そうな女性でした(また、そういう子を出すのでしょう)。話していると、ごく普通の女の子なのですが、字が読めないとのことでした。字がイルカになって泳ぎだすとのことでした(言ってからすぐに「嫌なイルカ」と付け加えられました。おそらく大人から「字がイルカになって泳ぎだすなんて、たのしそうだね笑」と言われてしまうことが多々あるからだろうと私は思いました)。多くの人の「学習障害」の認識は、典型的に、この子のような症状ではないかと考えられます。私は字が読めるし計算もできるから、学習障害ではないだろう。そう思うだろうと思うのです(医師もおそらくそう思っている)。しかし、学習障害は、もっと広い概念です。たとえば、その1年半前の発達障害セミナーでは、「上司に叱られると傷つきやすい」というのも、学習障害の典型的症状のひとつだととらえられていました。私のnoteの記事のなかで、最もたくさん閲覧されている記事である「マルチタスクが苦手=ワーキングメモリが小さい」(リンクがはれなくて申し訳ございません)というもののなかで私は、自分のワーキングメモリがすごく小さいこと、そして、それによって、日常生活に著しい困難が生じていることなどを書きました。(なぜ勉強ができるかということについても、記事を書きました。これも閲覧数の多い記事である「空気が読めない=多くの人と違う空気を読んでいる」という記事です。リンクがはれなくてすみません。ようするに「空気が読めない=論理で理解する=勉強だけできる」ということになるのですが。)

 そういうわけで、私は、学習障害の傾向もたぶんに持っていますが、現役で東大に受かりましたよ。こう認識している人(LDの傾向を持っている人でも勉強ができる場合があるという認識のある人)はまれだということを痛感していますので、あえてこういう書き方をしました。5年前に「ADHDの傾向の強い発達障害」という診断をくだした私の医師。ようやく私に「ASDの傾向もある」と言うようになりました。ありがたいことです。でも、私、LD(学習障害)の傾向もありますよ。以上です!

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