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理事長キャラ

 (私の書くことはすべてフィクションですよ。)

 数年前、ある高校生と大人たちの集まりで、その高校生さんが言いました。リーダーになりたいそうです。部活の部長でも、学級委員でも。でもあまりリーダーには成れないそうでした。そこである若い大人が発言しました。自分も長いこと、リーダーに成りたかった。しかし、だんだんわかってきたのは、自分はリーダーを補佐する「サブ」みたいなのが得意なキャラなのだと。

 学生時代、25年くらい前、ある市民オーケストラに所属していました。コンサートマスター(コンマス)ってわかりますか?ヴァイオリンのいちばん前で弾いている人のことで、指揮者のつぎに「偉い」人です。普通はヴァイオリンの最もうまい人がやります。しかし、そのオケのコンマスは、かなり「へた」だったのです。しかし彼は「キャラがコンマス」でした。キャラでコンマスを務めていたのです。彼よりうまい人がたくさん、彼より後ろで弾き、みんな喜んで彼をコンマスに立てていたのです。

 去年くらいから、ある理事長と仲良くなりました。仮にJさんとしましょう。Jさんは、明らかに「理事長が得意」でした。猿山のボス猿のようなキャラなのです。私は貧相な猿ですから、ある意味でJさんは「話しかけづらい人」でもあります。(もちろん仲良くなりましたけど、決して話しかけやすくはない。キャラ的に。)Jさんは、ご家庭でも「理事長キャラ」で、食事はぜんぶ奥さんに作らせて、自分はデーンと座っています。これは決して「亭主関白」ではなく、単なる「理事長キャラ」です(奥さんも、かなりリーダーシップの発揮できる人です)。たとえば自分の著書にサインをするときも、本もペンも誰かに持ってこさせ、自分は純粋にサインするだけ、あとその本を投函するなりなんなりも人にやらせる、というタイプです。J理事長はマスコミみたいなものの露出も傑出して多いですが、それも理事長キャラゆえです。自分は「鶴の一声」を上げるだけで、あとは人にやらせるのが得意なのです。(猿だったり鶴だったりしてすみません。これ、前も書いて恐縮。)

 そんなJ理事長に「後継者」について聞いてみたことがあります。Jさんのカリスマ性がものすごいので、Jさんがいなくなっちゃったらどうするの?と思ったからです。障害特性から空気の読めない私は、それをJさん本人に聞きました!Jさんは、後継者は考えていない、だいいちオレも誰かの後継者ではないし、と言っていました。なるほど、と思っていましたが、いつのまにかそのあと話題は後継者の話になっていました。J理事長のまわりには未解決問題が山積だ~!

 似ていると思うのが、戦争体験者の話。6年前の2015年、教員だった私は、生徒さんを引率し、福祉をまわりました(そのころ私は福祉に助けてもらう側ではなく、福祉にたいする知識もほとんどありませんでした)。その年は戦後70年、終戦のとき20歳だった人が90歳だったことになります。でも、いっこうに「戦争を語り継ごう」と言っても語り継がれないじゃないですか。やはり、これは実体験した人でないと語れないことが明らかになってきていますよね。

 つまり、J理事長がいなくなったら、Jさんの思想を「語り継げる」人はいないのだ!

 というわけで、「理事長キャラ」の話でした。ちょっとまとまりがなくてごめんなさいね!

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