見出し画像

小学校や中学校で習うようなこと

あるとき、ある教会の礼拝のあとのお茶の時間で、ある男性が言われました。「小学3年の子どもの社会の勉強を見ているが難しい。算数も、だんだん分数になってくるし、どこまで面倒をみられるのか、はなはだ自信がない」と。確かに、小学校の算数は難しいです。例えば、以下のような話はどこまで通じるでしょうか。

私は「ココナラ」という、売り買いのできるSNSのようなものもやっております。そこの仲介手数料が22%なのですが、これ、ずっと「1時間1,000円」でやって参りました。しかし、それですと、当然ながら、私の時給は780円になってしまって、最低賃金を割るわけです。では、どうしたら22%を引かれたのち1,000円になるかと言いますと、だいたい3割増しする必要があるわけです。でも、これ、どこまで通じる話でしょうか。「え?22%増しではないの?3割増しはぼったくりではないの?」と思われそうで値上げするときは怖かったです。でも、これは小学校の5年生くらいの「割合」の話なのです。1,000÷0.78を計算すると、1282.05…となりまして、だいたい1.3なのです。実際、1,300円を22%引きしますと、1,014円となり、だいたい1,000円です。東京の最低賃金である1,041円は割っています(東京の最低賃金はやがて1,072円になるというニュースも最近見ました)。この話が通じない人は小学校算数からやり直していただく必要があると言えるでしょう。でも…通じない人がけっこういる気がするのです。ごめんなさいね。中学1年にもなりますと、「逆数」ということを習い、0.78の逆数はおよそ1.3であることも学びます。でも…この値上げが理解できない人は多い気がするのです。

同じ礼拝で、その牧師さんが言っていました。「先日、私は誕生日を迎え、33歳となりました。イエスさまが処刑された年齢です」と。だいたいイエスが宣教を始めたのが30歳で、「公生涯」と言われる、宣教開始から処刑までがだいたい3年とされているからです。年に1度の祭の回数から3年と言われているようですが、これは諸説あって、なんとも言い難いです。とりあえずこの記事では公生涯は3年としましょう。聖書で、イエスの宣教開始の年齢を書いている箇所は1箇所だけです。「イエスご自身が宣教を始められたのは、およそ三十歳の時であり」(新約聖書ルカによる福音書3章23節)。この1箇所だけなのです。「およそ30歳」。「およそ」がついていて有効数字1桁です。有効数字は中学で習います。これは、宣教開始のイエスの年齢が28だったかもしれず33だったかもしれないことを意味します。もし28歳で宣教を開始したなら31で処刑ですし、33で宣教を開始したなら36で処刑となります。「イエスさまが十字架刑になったのは33歳のとき」というよく聞く話は、この程度の話だったのです。

小学校や中学校で習うことで、大切なことはたくさんあります。「中学までの英語ができたら、かなり英語は使える」という話はよく聞く話ではないでしょうか。国語も、中学で習う敬語をきちんと使えれば、大人になって正しい日本語が使えます。つい最近、私に「(相手である私を主語として)ご活躍されている」とお書きになった元東大の仲間がいました。「お(ご)○○する」というのは謙譲語であり、相手を主語として使えない表現です。かつ、これは「されている」というところが尊敬語であり、かなりおかしな表現になっています。私がそれを指摘させていただくと、その人は「そうですね。そのように中学で習いますね」と言うのかと思いきや「え!知りませんでした」とおっしゃいました。東大にお入りになったのにね。もっとも「ご活躍されている」はひんぱんに聞くようになってしまった日本語の間違いですが。

このように、たとえば、「量子力学を理解している」ということよりも「小学校や中学校で習うことを大人になるまで覚えていて使える」ことのほうをより「賢い」というような気もするのです。だからこそそれらは義務教育で習うわけですしね…。

この記事が参加している募集

算数がすき

数学がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?