失敗という名の地下鉄に乗って④   ~褒めるとあらぬ方向に伸びます~

おはようございます。劇団昴の三輪学です。

どれぐらいの方が読んでいただけているかわかりませんが、
せっかく書き始めたので、サブストーリーもちょっと書いてみようかと思います。
短めになるようがんばります。

演劇にハマりはじめた小学6年生。
時を同じくして、通常の授業でもちょっとした事件が起こります。

授業の課題で書いた作文が、どえらく褒められたのです。
これが担任のイトー先生です。

これはすごい!
わたしは有志の教師で集まって、勉強会をやっているのだが、
そこでもこの作文は話題になっている。

作文には全国の年間の優秀作品を決める、全国コンクールがあるから、そこにエントリーする。
全国の年間文集には確実に掲載される。
きっと中学になると、すごい量の表彰状が届くことになる。

え?
ああ、ボクやっちゃいましたか?
才能爆発させちゃいました?

まぁ昔から絵も文章もかくのはすきでしたけどねぇ。

読書感想文で表彰されたことはありましたけどねぇ。

いやーついにいっちゃいましたか、全国のトップに。


が、しかし、中学に上がって、
全校集会のたびに、(今日こそ表彰されちゃうかな、俺)とドキドキしていても、大量に届くはずの表彰状は一枚も届かず。

ただ時だけが過ぎていきます。

それでもね、みなさん、

恐ろしいんですよ。

育ち盛りの根拠のない自信って、へこたれないんですよ。

だって根拠ないんですもの。

あーきっとこれは何かがアレでアレなんだ、うん。
まぁ、そういうこともあるさ。
でも俺の才能はアレだから、アレ。

小6の少年を焚きつけたイトー先生の『お褒めのお言葉』は
演劇活動での評価と相まって、とんでもないモンスターを育てはじめてしまったのです。

これは高校に入ってさらに加速します。

このあたりの物書きのお話は【たちの悪い演劇青年高校編】の際にうまく加えられたらなぁと思います。

とにもかくにも、この小6のときのイトー先生が、

自分はモノを書くのが得意、であると、おもいこむ、魔法をかけたんだと言っても過言ではないと思います。

20代になってから参加したクラス会で、久しぶりに再会したイトー先生に言ったことがあります。

「いやー先生にはやられましたよ。まんまと担がれました。」

先生は笑顔で言いました。

「生徒にはいろいろな指導法があるのよ。でも、間違ってなかったでしょ?」

先生、ちょっと効きすぎたかもしれません。

正解だったのかどうか、今わの際にならないとわからないかもなぁ。

あーでも、今わの際に思い返せる人生ってのは、良くも悪くも『捨てたもんじゃない』のかもしれません。

ね、先生。


つづく


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