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コンクリート診断士試験の解答例/記述式問題A・B

コンクリート診断士試験の解答例/記述式問題A1

コンクリート診断士は公益社団法人日本コンクリート工学会が実施する「コンクリート診断士講習会」を受講し、さらに試験によって相応のレベルのコンクリート診断・維持管理の知識・技術を保有していると認定され、登録された者に与えられる名称である。


A11. コンクリート構造物の維持管理における不具合の原因と対策 (600字)

コンクリート構造物の不具合の原因は、大きく分けて①劣化と、②施工不良と考えられる。
 ①劣化の原因は、塩害、凍害、アルカリ骨材反応、中性化の4つが主とされる。
 塩害の対策としては、断面修復、表面保護に加え、鋼材の腐食反応そのものを抑制する電気防食工法が有効である。
 凍害の対策としては、断面修復、表面保護に加え、ひび割注入も有効であるが、低温でも強度の確保できる樹脂を選定することが望ましい。
 アルカリ骨材反応には、幅の大きなひび割れから鉄筋が腐食することを防ぐため、ひび割れ注入と表面保護が有効である。
 表面から進行する中性化が鉄筋位置まで進行することを防ぐ対策としては、断面修復と表面保護が有効である。
 これらの対策効果は10~15年とされており、さらに長期に渡る効果が必要な場合は、再アルカリ化、脱塩等の手法も検討する。
 ②施工不良には、低品質コンクリートや配筋不良などが挙げられる。
 低品質コンクリートは期待される強度等を有していない場合があり、配筋不良により十分なかぶりがない場合には、中性化による腐食が早く進行する。そのため、定期点検等により、構造物の機能確保を図り、適切な時期に補修を行うことが望ましい。

コンクリート診断士試験の解答例/記述式問題A2

A12. コンクリート構造物の維持管理に必要な点検、評価判定、対策 (600字)

コンクリート構造物の点検には、日常の巡回によって行う「日常点検」、5~10年の間隔で定期的に細部に渡って点検する「定期点検」、地震や豪雨などの自然災害が発生したときに行う「異常時点検」の3つが主に挙げられる。
 コンクリート構造物の劣化の度合いは、表面に生じたひび割れやはく離、はく落のほか、鉄筋の露出、遊離石灰、さび汁、変色などの損傷によって確認できる。このような損傷の程度や位置、範囲を点検時に正確に記録することで、甚大な損傷に進行することを未然に防ぐ。
 また、点検結果を客観的に評価するため、各機関では損傷に対する判定基準を有しており、国土交通省では平成26年6月に施行された「橋梁定期点検要領」がその一例である。これらの評価・判定基準は補修の優先順位を決めるのに有効であるが、損傷の原因を明らかにするものではない。そのため、対策を検討するに当たっては、損傷の劣化要因に着目した調査を行い、損傷の発生原因を特定するとともに、進行性の有無を判断して、補修・補強の要否や範囲などを決定する。
 特に鉄筋の腐食状況は将来の耐久性に大きく影響するため、内部の鉄筋やPC鋼材の腐食状況を自然電位測定等で的確に把握し、評価することが重要なポイントになる。

A13. コンクリート構造物の維持管理に必要な技術開発 (600字)

我が国のインフラの多くは高度経済成長期に建設され、建設後5 0 年が経過しており更新期を迎えている。一方、人口減少・少子高齢化により税収が減少すると伴に社会保障費が膨大になっており、社会資本投資が制約され、このままでは老朽化施設の補修・更新費用等の捻出が困難と予想されており、技術開発に期待が寄せられている。
○維持管理に必要な技術開発
・点検、診断技術において目視・打音等の人力による点検・診断、試料採取を伴う調査であったものが、技術の進展により、目視や打音に加え、機械化、非破壊・微破壊での検査技術、情報通信技術を活用した変状計測等が取り入れられ、点検・診断の省力化・高速化によるコスト縮減、調査精度の均質化、利用者への影響低減等が図られている。
・施工、材料技術においては施設の機能確保や向上を図るための措置として、撤去・新設を前提としていたものから、部分的な更新に留めることにより長寿命化を可能とする技術が必要となり、コスト縮減、工期短縮、施設の安全性・防災性能の向上、地球環境負荷の低減等が図られている。
また、我が国の維持管理・更新技術に関する成長分野として、ICT 技術を活用した点検・診断や情報収集・蓄積・活用等があり、維持管理・更新の実施にあたっては、これらの技術の早期確立や技術の普及のための取組を行うことにより、維持管理・更新の実施水準向上に併せて、我が国の成長戦略にも寄与することが必要である。

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