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Behind Design 「ミッションとアクションを接続するパンフレットリニューアルプロジェクト」

今回301では、次世代を担う子どもたちの健やかな成長と発達につながる社会環境を創出するためにデザインのチカラを役立てようとする考え方を掲げる「キッズデザイン協議会」のパンフレットリニューアルを担当しました。
ミッションを「子ども目線で、未来をつくる」という言葉にまとめ、「WHY=なぜするのか」というアイデンティティに立ち返った一冊。
その舞台裏を担当ディレクター 大谷からお話します。

ーー 「キッズデザイン協議会」の皆さんとはどのように出会ったんですか?リノベーションエキスポのチームで一緒だった「ブルースタジオ」の及川さんが紹介してくれて。
2017年から携わっているリノベーションエキスポ。昨年のそのイベントにキッズデザイン協議会も出展していて、その時にイベントのメインビジュアルに対してよい印象を持っていてくれたみたい。

ーー 以前の仕事が新しい関係を繋いでくれるのは301としても刺激的ですよね!協議会の皆さんはどこが印象的だったんでしょうか?
メインビジュアルの、イラストを使ったポップな雰囲気のクリエイティブ表現を気に入ってくれたみたい。今までの301のデザインの中ではソリッド過ぎないデザインで、広い層に抜けたイベントのビジュアルだったので、一般の人に伝わりやすいように気をつけてつくっていった記憶がある。
その後紹介を受けて相談をもらったのが、協議会のパンフレットのリニューアルデザイン。その時に自分が言ったのは、301はもちろん純粋にグラフィックデザインもできるけれど、得意なのは、「自分たちが何をやりたいのか」「どこに向かいたいのか」というビジョンや、そもそものコンセプトを一緒に可視化、言語化していくことなんです、という話。パンフレットのような制作物は、その一つの形でしかない。301では、デザインは意匠的なものだけではなく、仕組みや関係性を設計していくことと捉えていると伝えたんだよね。

ーー え!チラシ制作の話は?
もちろん、それはやりましょうって前提で(笑)。

ーー なるほど。最初のミーティングでそのお話を?
うん。最初のミーティングで。あとは、大企業が莫大な予算を投下して大きなコミュニケーションをマスコミを使ってやっていくようなやり方ではなく、広告のような予算感はないけれど、社会の伝えるべき価値を持っている人が何かにチャレンジしていくところにチームとして入っていき、最終的にクリエイティブでのアウトプットを後押ししたいという話をしたんだ。
それでとても興味を持ってくれて。まずは仕事としては既存の事業紹介パンフレットのリニューアルなんだけど、その過程の中で、協議会自体のミッションしていくことにしましょうということでプロジェクトがスタートした。

ー初回からその一歩踏み込んだ提案を行ったのは、やはり大谷さん自身も何かに惹かれたからですか?
そうだね。パンフレットやチラシを作ること自体ではなく、その先に彼らが社会に何を残そうとしているか、彼らがやろうとしていることへの興味があったかな。
つまり、「キッズデザイン協議会」の「キッズデザイン」という言葉の意味が、世界をどう捉えるのかという人々の視点を転換するような「コンセプト」であるという点。彼らが掲げる「子ども視点」というのは、「子ども」を不完全性のメタファーとして考え、そうした不完全性のある前提に立って社会をデザインしていくことで、より多様性を受け入れられる未来をつくることができる、そういう広がりのあるコンセプトをきちんと発信していくことに意義を感じた。
それと、これも同じくらい自分にとって大切なことなんだけど、関わる人たちの魅力。みんながピュアで、自分が問題提起した時にも、その内容に対して構えずすぐにディスカッションが始まる柔軟性や、自分たちのメッセージを純粋に多くの人に伝えたいという思いを感じたから。
魅力的な人たちがいて伝えようとしているものが本物であれば、それを世の中の人に届けるのが301の仕事だと思ってる。

ーー 実際仕事を進めて行く中でのコミュニケーションはどうでしたか?
「キッズデザイン協議会とは何者なのか?」を問うディスカッションが沸き起こるような会話を心がけてた。そのディスカッションをチームで行うことで、責任感だけで仕事を投げ合うのではなくて、意味で繋いでいくことが可能になると思うんだよね。
あとは、協議会としての思いを汲み取りながらも、受け手側にその思いが本当に伝わっているのか?という点も投げかけ続けたかな。301としても、彼らのビジョンへの共感が強いからこそ、寄り添いながらもある意味どこまでもドライに、ぐっと引いた目線で協議会の活動を見つめることのバランスが大切だと思う。

ーー チーム全体でのディスカッションの結果、企画としてはどんな内容になったのでしょうか?
「WHAT=何をやっているのか?」だけではなく、「WHY=なぜやっているのか?」から紐解きから伝えること。
元々協議会のコンセプトだった「子ども視点」が社会に浸透する意味を考え続けて。そうすると、パンフレットを受け取る人が実際に誰なのか、受け取ったときにどのような言葉と一緒に渡すのか、その人がパンフレットを手に取り読む瞬間を、どんな体験にしたいのかを想像できるようになるよねっていう話になったんだ。
「キッズデザイン」は「子ども」だけの話ではなく、「子ども視点」を持つことで社会に多様性をもたらし豊かなものにすることができるんじゃないか?という考え方だから、より多くの人に「自分も該当している内容だ」と気付いてもらうことが重要だって。
具体的なパンフレットの構成にあたっては、「社会に対して」と「業界に対して」の2つの視点で活動をまとめ、社会の中での協議会の立ち位置や事業内容の見せ方を整理し、ただの事業紹介ツールではなく、協議会のミッションやビジョンを伝えるためのツールを目指していったんだよね。

ーー 一制作物の刷新の予定が協議会の根幹の部分を見つめ直す機会にもなったんですね。先日そのパンフレットの制作は完了しましたが、手に取った方の反応は?
キッズデザイン協議会の会員企業に好評で、イベント等でもパンフレットをベースに協議会の説明を行っているって聞いていて。今回整理した内容が外への情報発信など、制作物だけでなくその先に波及していることは僕らとしても嬉しい。さらに、パンフレット表紙のイラストは広報でも積極的に活用していく予定だと聞いているので、より沢山の人に届く機械になるといいな、と思う。

ーー 最後に、この先協議会との関係は301が提案した「仕組みや関係性を設計していくこと」に続いていくのだと思いますが、さらに深めて行きたいことをお聞かせいただけたら!
今回の制作にあたり、ゼロからミッションをデザインするのではなく、読み替え、整理によって、ミッションをリニューアルし、とことん追求・具体化できたのが301にとってもチャレンジングだった。
このプロセスを通して協議会自身が元々持っていたのビジョンやアイデンティティに立ち返り、これから自分たちが向かうべき場所を強く感じてもらうことができたのではないかな。
そしてこの先は、それらを落とし込んだ活動、体験をどのように作っていくのかという部分もサポートして行き、複合的なブランド体験をデザインしている301らしさもさらに発揮していけるはず。
また、これはキッズデザイン協議会だけに限定されないんだけど、社会に対して伝えるべき価値を持っていること、もの、人に、経済や政治が連動していく社会全体のシステムを作っていくには301は何ができるのか、デザインの力だけでは変えられないことにも向き合い、色々な人を巻き込んでいきたいと思ってます。

301 では、クリエイティブ組織の常識を超え、仕組みや関係性を設計したプロジェクトデザインを行なっています。ご興味を持っていただけた方はお気軽にご相談ください。


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