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ハノイハノイのベトナム定食

雨雲レーダーと睨めっこしつつ、雲の切れ間を見計らって北千住へ。
新装なったハノイハノイにて昼食。

古民家の佇まいを残しつつ、大きく手を入れて奇麗になっていた。
テーブルや椅子なども一新。

メニューを見てどのセットにするか、考える(セットにすることだけは決めている)。
暫し悩んで「本日のベトナム定食」(1800円)に決める。

お茶を飲みつつ、暫し待つ。
ジャスミンティーと聞いたような気がするが失念。

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箸を割ってから慌てて撮る。
アサリのフォー、大皿におかず5品、小鉢にジャスミンライス、食前にお茶、食後にドリンクとデザートが付く。バスケットに香菜類とライム。

アサリのフォー
先ず、スープを啜ってみる。
塩は薄く淡く、貝の旨味がぐいっと来る。
大振りの浅蜊がごろごろと。 砂抜きはきっちり、スープに旨味を放出しつつ、出し殻になっていない。
「ディルを入れると良いですよ」とうかがい、入れる前と入れた後で食べ比べてみる。 ガラリと変わる。
浅蜊の旨味を強く後押しする感じ。 主役を食わない、力強い脇役。

空心菜の炒め物
青菜だけに見えるが、噛み締めるとさまざまな旨味がからまり合ってやってくる。

ジャスミンライス
白く透明感のある艶を纏って小鉢に。
おかずの助力で腹を満たすためのものではなく、おかずからおかずへ移る時に舌をまっさらにする為にあるような役回り。
長粒米ならではの歯ごたえと、仄かな香り。

バイ貝の煮付け
箸だと上手く引っ張り出せず、手で掴んでクルリ、と。
身はたっぷり、ワタまで旨い。

夕顔と干しエビの煮付け
一緒に煮付けたと思しき干しエビの乗った、なにやら白い野菜。
瓜のようではあるが、白瓜にしては大きく厚く、冬瓜にしては白い。
噛み締めると、消極的な抵抗を示しながら煮汁を放出し、なんとなく噛み切れる。
煮含めて旨い瓜らしき何か。 食べ終えてから訊いたら、夕顔とのこと。

塩卵のオムレツ
これは事前にインスタグラムか何かで見ていたので、なんとなく知っていたが、作り方を聞いて驚いた。
数か月塩漬けにした卵を茹でて、これを刻んだものと肉などを卵液に加えて焼くのだそうな。
木を森に隠すように、塩辛っぽい味でありつつ、気配ばかりで塩辛そのものの正体が掴めない。
買い換えたばかりで乗り慣れぬ自転車だった為、アルコールは控えたが、ビールが飲みたくなる味。

小茄子の漬物
一番謎だったのと、口をさっぱりさせてくれそうだったので最後に。
薄緑のものと、褐色のものと、何やら丸い野菜の漬物らしきもの。
オリーブのようでもあり、茄子のようでもあり、唐辛子のようでも、ほおずきのようでもある。
皮は厚く張っていて、歯を立てるとバキッと割れて、旨味と酸味がほとばしる。
芯の部分は柔らかく、とろりとしていて、こうなると茄子らしくある。
食べ終えて訊いてみると、果たして茄子であった。
動物性の発酵調味料も加えて漬けてあるとのことで、漬物の乳酸発酵との相乗効果ですこぶる旨い。

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西瓜のシントー
食後のドリンク。 今日は西瓜のシントーとベトナムコーヒーから選べたが、自転車で大汗を掻いたのでこちらに。
果肉感のあるとろりとした西瓜のジュースに、練乳の甘味。
口の中に夏がやってくる。

プリン
小ぶりのプリン。
程よく硬く、程よく濃く、程よく甘い。
苦味はカラメルではなく、コーヒーシロップだろうか。
食べ終えてから、丁度こんなものが食べたかったのだと気づくような。
そんな美味しさ。

少し残しておいたお茶をいただいて、ご馳走様。

自分の機嫌を取るために美味しいものを食べようとすると、どうしても「知っているもの」になってしまうのだけれど、この店に来れば未知の「おいしいもの」に出会える。
知的好奇心の部分も含めて、欠落を満たせる。

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また来月。

(2020.07.26)

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