はかられた2メートル

不定期。

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アンチェインド・スター

 夜、ママはぼくに外の世界の話をする。ぼくが一度も見たことのない世界の話だ。この石の箱には、ママのほかに大人の人が何人か。みんな手錠と足かせをつけていた。ぼくにとって、ここは世界だった。生まれたときから、ずっとそうなのだ。  ほとんど水みたいなスープを二人で分けてすすって、ぼくの頭を撫でたあと、ママは魔法の布を織りに行く。 「ハル、ここでいい子にして待っててね」 これが、ぼくにとっての日常だった。  外から爆発の音が聞こえるようになってから一月ほど。ぼくはママに抱えられて地

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