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【note118枚目】初めてのロフトプラスワンウエスト・後半

 先日書いたイベントの感想、後半。後半は中村淳彦さんと花房観音さんの共著『ルポ池袋アンダーワールド』について。お手洗いから戻ったら、本の内容に沿った書き込みがなされた池袋マップが配られていました。

 まずはじめに、「こんな内容なのに池袋の書店で売れ行きが絶好調」らしく、中村さんはそれに大変驚いておられるようでした。鈴木さんは中村さんの文体や取材姿勢に「共に沈んでる」というような表現をされていたのが印象に残っていて、それは中村さんの著書を読んでいて感じる「自分の近くにいないからイメージをするのは難しいけど、確かに近くにいる体温」の理由なのかなと思った。どの本にもつい顔を歪めてしまうような不快感や痛覚がある。

 今回はルポ池袋の中でも、中村さんが執筆を担当された章にまつわるお話がメイン。地図上西口界隈の、たちんぼエリアや最底辺の人々と記されたあたり。書中にも行き場を失った人がたどり着く場所とされている。話を聞いていて不思議だなと感じたのは、この界隈に集う人たちはみんなハッピーなんだという。話を聞いても良い事の方が多く出てくる。お昼過ぎくらいからぞろぞろ集まってきてはホームレスやたちんぼの人たちがそれぞれの営みを行なって、したいことをやって、たまに支援物資を持ってきてくれるような人もいて、その界隈の中で助け合いのような循環が生まれている。そこに集う人たちにとっては行政に手を掛けてもらい、社会に合わせて順応するよりよほど良いサイクルなんだろうなと思えた。たちんぼの方の写真が1枚スクリーンに映された。その方は杖をついて歩くような体型にも関わらずそうした嗜好の方たちからの需要に応えて生活をしているという。特殊な循環、特殊な需要と供給によって成り立っている特殊な世界が、池袋という街に根付いているらしい。

 手元の地図を眺めてみて、改めてなんか変な街だな〜と思った。東口にあるのが西武百貨店と西武池袋線。西口にあるのが東武百貨店と東武東上線。先に言われた特殊なエリアには大学や芸術劇場など街の文化的な発展を支える象徴的な建物が多い。なんか噛み合ってない、なんか食べ合わせが悪い。とも取れるし、なんでも呑み込む街とも取れる。何も考えずに歩いてるだけでは異質さに気付かない街なんだな。

 個人的には処女のピンサロ嬢の話をもう少し踏み込んで聞いてみたかった。同じアイドルグループを好いて足突っ込んでるオタクとしては、仮にも1位様(数年前調べ)のオタクでその生業を続けるのにご苦労もあるんじゃなかろうかと。そんなことまで話してないか。さぞ生業を続けるべきモチベを与えてくれるんだろうなぁ1位様。

 大阪には池袋のような駅や街は無いですよね?という話題も。なんだろう……いかがわしさで考えると新今宮辺りは近いのかな?と一瞬考えた。飛田新地やあいりん地区を抱える場所と考えると、合点がいきそう。でも、関東に暮らす人たちから見ると、それは池袋とは別の街になるのかもしれない。エリア的にはミナミにあたるけど、一般的にハイソと称されるキタでもいかがわしい街はたくさんありそうだし。大阪に住んでいても、ココ!と当てはまりそうな場所はすぐに出てこない。それだけ池袋は特殊な街なんだろう。

 終演後に持参していた本におふたりそれぞれからサインをいただけてほっこりして会場を後にした。帰りの宗右衛門町で誰からも声をかけられる事は無かった。

 遠路はるばる大阪までお越しくださり、イベントを開催してくださって本当にありがとうございました。とても良い時間を過ごす事が出来ました。これからもおふたりと、今回は出演を見送られた花房観音さんのご著書を、マイペースではありますが拝読いたします。