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日本国憲法九条の深淵

その憲法について、意見を求め場を提供して議論したのが「018年2月21日特集記事NHK政治マガジン」の特集記事だった。

テーマは「国民投票 どうする?」(模擬投票)
その結論、現実国民投票には至らない。おそらく安倍氏が亡くなったいま、それに傾注する人物はいないだろう。なぜかといったら祖父の意志を継いだ遺言ともいうべき課題であり、自国のための憲法にするため、という大義名分は、多くの人と議論を展開して、いまだ先の見えない指針は、あまりにも厄介で、そのあぐねている間にも、近隣国からロケットが撃ち込まれるという現実は、看過できないどころではなく、すぐにでも着弾するという現実世界だ。
いままで、そうした仮想的な情景を、ことごとくい排除してきた政府とメディアは、大急ぎで張りぼてロケ基地を作ったところで、宇宙から覗くGoogleEarthで観れば、いとも簡単にそれは嘘と見破られる。

記事は、その仮想憲法論の内容だが、さらに突っ込んで「東京裁判」の模様を参考程度に掲載した。(としてもこの記事に興味のある日本人がどのくらいいるかまったく自信がもてない)

憲法9条ガチで議論(NHK政治マガジン)

戦争をせず、戦力を持たないことを定めた憲法9条。それを変えるかどうか、私たちが判断する時が来るかもしれません。今の国会でその改正議論が本格化する中、先週、東京都内で賛成、反対の立場の市民が集まり、いわばガチンコで議論しました。
2日間に及んだ議論から見えたものはいったい何だったのでしょうか。(社会部記者 中島俊樹)

有権者も無関心ではいられない
2月15、16日の2日間、東京 永田町の参議院議員会館にインターネットなどの呼びかけで集まった男女14人。年齢は18歳から73歳。大学生、主婦、自営業などさまざまです。

議論のテーマはずばり憲法9条をどうするか。

2日間、合わせて6時間半にわたって議論し、最後に投票を行います。主催したのは、憲法や国民投票を研究する市民グループです。

中心メンバーのジャーナリスト今井一さんは、狙いについて、「本質的な議論がないままものすごいスピードで手続きが進み、投票日を迎えてしまうことが懸念されます。国民投票が行われるのなら、主権者がよく勉強し、よく話し合って選択するのが大切だと思います」と語りました。

9条 何が問題なの?

憲法9条をめぐる議論はおよそ70年前の制定直後から続いています。

そもそも9条の何が問題になっているのでしょうか。

(憲法9条)
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

多くの場面で問題になってきたのが2項の「戦力を保持しない」という規定です。政府が「必要最小限度の実力組織」と位置づける自衛隊が、憲法が否定する「戦力」に当たるのかどうか、長く論争が続いてきました。

国会議員も登場
参加者は議論に先立って、各党の国会議員から憲法と自衛隊のあり方について意見を聞きました。

自民党の衆議院議員、船田元さん。安倍総理大臣が提起した、9条の1項と2項を残しながら自衛隊を明記する案を主張しました。「自衛隊が憲法のどこにも出ていない状況を甘んじて見過ごすわけにはいきません。2項を外した方が整合性がとれると思いますが、2項を残した方が、国民の理解が得やすい」

立憲民主党の衆議院議員、山尾志桜里さん。自衛隊の明記には反対し、その活動や規模を制約するよう改憲すべきと提案しました。「自衛権を制約することを、国民の意思で明らかにすることが大切です。必要最小限の範囲で自衛権を行使するとはっきり書くことで、憲法解釈が壊されることを防ぐ」

共産党の参議院議員、山添拓さん。9条を変えてはいけないと訴えました。「9条の平和主義は理想で、現実とは距離があります。だからといって現実に合わせて憲法を変えるのでしょうか。戦争できる国づくりは許せません」

自衛隊 憲法に書くべき?
議論が始まると、自衛隊の明記についてさまざまな意見が飛び交いました。

18歳の男子学生。安倍総理大臣が提起した9条の1項2項を残して自衛隊を明記する考えに賛成すると発言しました。
「自衛隊が戦力かどうかとか、いろいろ解釈でもめるのは本当に“うざい”。ちゃんと自衛隊はこうだよと書きたい」

この主張に対し、20歳の女子学生から反対の声が上がります。「うざいからとおっしゃっていますけど、皆さんも将来的に、戦争に行かなければならなくなるかもしれません。そういう状況に近づけていると思いませんか?」

その言葉にしばらく首をひねった男子学生。こんな言葉を返しました。
「たぶん、その通りだと思う…。でも戦争に行かせようとしてるかどうかは分からない」

人の命に関わる判断
白熱した初日の議論。参加者はあす9条改正の賛否について立場を決めて投票しなければなりません。

「まだ判断できない」とつぶやいた49歳の女性が初日の議論を終えて語った言葉が印象的でした。
「戦争になった時に何が起きるかを具体的にイメージできません。戦争になれば実際に殺す人がいて、殺される人がいるかもしれません。それを受け止めるだけの覚悟が自分にあるかどうか…。あと1日考えて見たい」

当初は自衛隊を明記することに賛成だった18歳の男子学生は「まだ判断できない」と、立場を変えました。その理由については「もともと、9条についての知識がないまま来ていたので、この場に来ている人たちの意見を客観的に聞いて、後で決めたいと思います」と述べました。
2日間、合わせて6時間半に及んだ議論を終え、参加者は投票に臨みました。

投票で震えた手
「自衛隊を明記すべき」かどうかで揺れていた18歳の男子学生。最終的に「明記すべき」と書いて投票しました。

私が驚いたのが彼が投票用紙を持つ手が震えていたことです。

「自信がなかったからだと思います」

その理由をこう素直に打ち明けてくれた学生。そしてこう続けました。
「本当の国民投票がくる前に最低限の知識は身につけたい。結果がどうなっても、自分はこれに投票したと自信を持って言えるようになりたいです」

判断に迷っていた49歳の女性は9条を維持する選択をしました。「憲法は国民が国に求めるルールだと思う。自分だけではなく、若い世代や、これから生まれてくる人をイメージして、今の有権者としての責任を果たしたいと思った。本当に国民投票があるとしたら真剣に考えないと怖いですね」

議論の先に見えたのは
取材をした14人が最後にそろって語ったのは、「今回が模擬投票でよかった」、という言葉でした。

国民投票は自分たちの代表となる議員を選ぶ選挙と違い、国の未来を左右する判断に有権者が直接関わることになります。その1票を投じる責任の重さをみんなが理解したのだと感じました。

もし国会で憲法改正の発議がされれば、国民投票はその2か月後から半年後の間に行われることになります。
国民投票に備えるには、憲法についての立場や主張の違いを超えた幅広い議論が必要だと今回の取材で実感しました。

私たちもその議論に役立つ情報を有権者にしっかりと届けたいと思います。

#憲法改正 #自衛隊 著者 社会部記者 中島 俊樹
福島の地元紙記者を経てNHKに入局。東日本大震災の被災地や原発裁判、憲法をめぐる社会の動きを徹底取材。

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70年前、現在の「日本国憲法」が施行されました。柱に据えたのは「国民主権」、「基本的人権の尊重」そして「平和主義」。
これまで、改正されることがなかった憲法。その改正の是非、中でも憲法9条が今回の選挙で主要な争点の1つとなっています。

9条をめぐる各党の立場
70年前、現在の「日本国憲法」が施行されました。柱に据えたのは「国民主権」、「基本的人権の尊重」そして「平和主義」。
これまで、改正されることがなかった憲法。その改正の是非、中でも憲法9条が今回の選挙で主要な争点の1つとなっています。改正に賛成・前向きなのは、「自民党」「日本のこころ」「希望の党」「日本維新の会」です。

「公明党」はどちらかといえば慎重な姿勢です。

一方、反対なのは「共産党」「立憲民主党」「社民党」となっています。

ただ、賛成、反対と言っても、それぞれ党のスタンスは微妙に違います。

憲法9条とは 憲法9条は、1項で「戦争の放棄」、2項で「戦力の不保持」と「交戦権の否認」を定めていて、憲法の基本原則の1つ「平和主義」を規定しています。

政府は、自衛権まで否定するものではないという見解を示していて、自衛隊は、「我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であり、憲法に違反するものではない」としています。

これに対し、憲法学者の中からは「憲法を文字どおりに読めば、自衛隊は違憲としか言えない」という主張が出ています。

各党の主張は?
「自民党」は今回初めて、「憲法改正」を公約の重点項目に位置づけました。特に、憲法9条に関わる部分としては「自衛隊の明記」を掲げました。

自民党は5年前、野党時代に、9条を改正して自衛隊に代わる「国防軍」の創設を盛り込み、自衛権を明記した憲法改正草案をまとめていました。

しかし安倍総理大臣が、ことし5月に打ち出したのは、9条の1項と2項をそのまま残したうえで、自衛隊の存在を規定する条文を追加するというものでした。

党の草案と異なる方針を打ち出したことについて、党内には、憲法を変えるのではなく必要な条文をつけ加える「加憲」という方針を主張してきた公明党に配慮した考え方だという見方も出ています。

今回の公約も、党の総裁である安倍総理大臣の主張を反映したものと言えます。

また、「日本のこころ」も、安倍総理大臣の案を支持しています。

一方で、自民党と連立政権を組む「公明党」は、現行憲法を積極的に評価したうえで、戦後70年が経過し、新しい価値観も出てきており、憲法に新たな条項を加える「加憲」という考え方を示していますが、衆議院選挙の公約そのものには憲法改正を盛り込んでいません。

自民党が掲げる「自衛隊の明記」については、「多くの国民は現在の自衛隊の活動を支持しており、憲法違反の存在とは考えていない」と慎重な姿勢を強くにじませています。自民党と温度差があることは否定できません。

次に、改正に賛成・前向きな「希望の党」「日本維新の会」です。
「希望の党」は「9条を含め、憲法改正論議を進めていきたい」と、公約の3本柱の1つに掲げています。小池代表は自民党時代に防衛大臣も経験していて、そうしたことも背景にあるとみられます。一方で小池代表は「自衛隊の明記をめぐる議論だけをこのまま進めるのは、大いに疑問だ。『地方分権』など議論も進めるべきだ」とも話しています。

また、「日本維新の会」は「時代にあった憲法が必要だ」として、9条改正の必要性を盛り込んでいます。すでに、党としての憲法改正原案をまとめていて、教育の無償化や道州制を含む統治機構の改革、それに憲法裁判所の設置を主張しています。

両党とも、9条改正の議論はするが、安倍総理大臣とは力の入れどころが異なると言えます。

そして、「共産党」「立憲民主党」「社民党」です。

「共産党」は、今の憲法の前文を含む、すべての条項を守るとともに、平和主義や民主主義の条項を完全に実施すべきという立場で、「安倍政権による『9条改悪』に反対し、9条に基づく平和の外交戦略を確立する」としています。

「立憲民主党」は、専守防衛を逸脱し、立憲主義を破壊する安全保障関連法を前提とした「憲法9条の改悪」に反対する一方、内閣による衆議院の解散権の制

約などの議論を進めるとしています。

「社民党」は、憲法を変えさせず、憲法の理念を活かした政策提起を進め、安全保障関連法は廃止するとしています。

3党は、基本的に今の憲法を守るという立場と言えます。とりわけ、9条の改正について言えば、完全に足並みが揃っています。3党は、安全保障関連法は憲法違反という立場で、そうした中で、自衛隊を憲法に明記すれば、憲法違反を追認することになると、強く反対しています。


NHK


「東京裁判」裏秘話

対立、差別、任務放棄…「東京裁判」個性派判事11人は「控室」でなにを揉めていたのか?
2020/8/8(土) 6:42配信 文春オンライン

「私はパトリック判事を演じるにあたって、彼のクランが何であるかを調べた。そしてそのクランに固有の伝統を考慮して、彼の心理を分析して演技に役立てたんだ」

【画像】「東京裁判」を担当した個性派判事11人が揃った当時の集合写真


 イギリスの名優、ポール・フリーマンがそう語るのを聞いたとき、私はあらためて『東京裁判』という歴史の事象の奥深さを実感させられた。
「パトリック判事」とは、アジア・太平洋戦争が終わった直後、日本の戦争指導者たち28人を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)の、連合国11か国から1人ずつ派遣された判事の一人イギリス代表のウイリアム・パトリック判事のこと。「クラン」とは、パトリック判事の出身地であるイギリス北部のスコットランド地方に特殊な「氏族」のことだ。

 そしてこの会話は、NHK総合チャンネルで、8月8日土曜日深夜24時05分(9日0時5分)から第一話、第二話、そして翌9日日曜日深夜24時45分(10日0時45分)第三話、第四話を2夜連続で再放送し、その後1週間にわたり NHKプラス で見逃し配信が行われる 「NHKスペシャル ドラマ東京裁判」 の撮影が2015年にクランクアップした際、原宿の東郷記念館で開かれた打ち上げ会で、このドラマで主役級の一人を演じたフリーマン氏が私に語った言葉である。

 私はこの番組を企画し、当時の担当部署での肩書としてはチーフ・プロデューサー、番組のクレジットでは“脚本”と“ディレクター”、そして英語版ではそれらに加えて”original story”と、つまりは作り手としてこの番組を制作していたのだ。

スコットランド人判事は、なぜ裁判後“廃人同然”になったか


「東京裁判」を考える時、インド代表パル判事の「全員無罪」の判決に賛否両論を唱えたり、あれはマッカーサーの台本通りに進んだ茶番劇だと俗説を聞いたり、「勝者の復讐」にすぎないと怒ってみたりすることはあっても、判事11人のうち、肝心のアメリカ代表判事は早々に任務を放棄して帰国してしまい、裁判長のオーストラリア代表判事も公式判決を書くのに参加すらできず、全員有罪、7人死刑の結論を導いたのはイギリス代表の、それもグレートブリテンの政治の中心であるイングランド人ではなく、遠く北に離れたスコットランド人の判事であり、その日本からは物理的にも心理的にも隔絶した出自ならではの思考様式が、彼の東京での行動に影響していた、といったことまでを知る人はほとんどいないだろう。

 だが、イギリスの公文書館に残されていた資料には、欧州にとって第一の重大事であったナチスを裁くニュルンベルク裁判にイングランドの名判事が派遣され裁判長となったあと、東京での戦争裁判への派遣に白羽の矢が立ったスコットランド人のパトリック判事にとって、それを受け、立派に果たすことがイングランドの後塵を拝し続けたスコットランド人として重要だったこと、その高揚感と責任感を伝える言葉の数々が記されていた。
(冒頭記事引用)

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