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「空白の8時間」武漢市新型コロナウイルスパンデミック2020/1/27

「たいへんことになった」、というのが実感だ。これまで映画とかテレビのドキュメンタリー映像のシュミレーションなどあったが、よもやそれが、実際に起きてしまうとは想像だにしない。また震源地が中国武漢、というのも余計に「ありそうな実話」だと、おもってしまうことが深刻である。

すでに一部「フェイク」ニュースも出回っているという報道もある。インターネットSNSが世界を席巻しているいま、悪意の不心得者が、これに乗じて悪さをすることは、充分考えられる。それを肝に命じて、われわれネット民は、いだずらにデマかく乱情報を鵜呑みにせず、まず、なにも発信しないことで、それによって2次被害をとめることできる。

こから被害は世界に及び震撼させられる事態が予想されるが、一人一人が慎重に構えることが望まれる。


「空白の8時間」習近平の保身が招くパンデミック「空白の8時間」は何を意味するのか?―習近平の保身が招くパンデミック
遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1/27(月) 9:41 Yahooニュース
武漢市の封鎖は1月23日10時から始まったが、通告時刻は同日午前2時5分。その間数十万の武漢市民が脱出した。なぜこの時間的ゆとりを与えたのか?解答を追いかけていくうちに、とんでもないことが判明した。

◆武漢市の封鎖通告時刻と実行とのずれ
 「武漢市新型コロナウイルス感染による肺炎流行予防制御指揮部」は、1月23日午前2時5分に武漢人民政府の名において、「市新型コロナウイルス感染による肺炎流行予防制御指揮部(第1号)」を発布した。「長江日報」は中国共産党武漢市委員会の機関紙なので、そのウェイボー(weibo)は権威ある発表となる。但しweiboはこの情報を見た場所の時差を調整して表示するので、1時間の時差がある日本時間「03:05」と表示されている。

 念のため、以下に現地時間のweibo情報を貼り付けておこう。
 また、「武漢市人民政府」のHPの通告もご紹介しておく。何れの場合も、通告内容は以下の通りである。

 新型コロナウイルス感染による肺炎の流行を防御することを全面的に遂行し、効果的にウイルスの伝染経路を遮断し、疫病の蔓延を断固阻止し、人民群衆の生命安全と健康を確保するために、ここに以下のことを通告する:

 2020年1月23日10時を以て、全市のバス、地下鉄、フェリーボート、長距離旅客輸送を含む公共交通を全て、暫定的に停止する。特殊な原因がない限り、市民は武漢を離れてはならない。武漢から外部に移動する飛行場や列車の駅は暫時封鎖する。いつごろ回復するかは追って通知する。

 広大なる市民と旅客の理解と協力を求める!

 この通知は22日の夜中、正確には23日の午前2時5分に発布されているので、「封鎖実行」と「封鎖予告」の間には約「8時間」のゆとりがあることになる。

 それを証明するかのように、中国政府の通信社である新華社通信の電子版「新華網」も23日の午前「03:15:55」に通告を発布している。こちらには「街の掲示板」による通告も載っている。また、これはweiboではないので、現地で発表された時間(転載された時間)がそのまま表示されている。

 「通告」と「実行」の時間差「8時間」は何を意味するのか?

 こんな通告を知って、武漢市を逃げ出さない方がおかしいくらいだ。逃げ出せる財力と脱出先のある者は、封鎖される前に逃げ出すに決まっているだろう。ましていわんや春節を控えている。30億人の大移動が始まると中国政府は早くから言っていた。事実、この間に数十万人の武漢市民が武漢市を脱出したと、中国のネットは一時燃え上がった。次々に削除されているが、中国大陸外の中文メディアには「8時間の間に数十万の武漢市民が脱出した」という情報が数多く残っている。

◆空白の「8時間」を追え!
 なぜ武漢市はわざわざ「さあ、脱出するなら今だよ!」というような通告の仕方をしたのか。伝染が拡大するのを本気で防ぎたいと思うのなら、こんなことはしないはずだ。

 私は1947年から48年にかけて、長春において中国共産党軍(八路軍)による食糧封鎖を受けている。封鎖を事前に知らせるどころか、封鎖は気づかれないようにジワジワと迫ってきた。気が付いたら長春市全体が鉄条網で包囲され、市民は長春市から出られないようになっていたことを知った。長春市内にいる国民党の一派(正規軍から差別待遇を受けていた雲南60軍)が共産党軍側に寝返って長春は48年10月に陥落したが、その間に餓死した中国人一般庶民は数十万に及ぶ。

 長春食糧封鎖という経験と中国政府の事実隠蔽に関して生涯をかけて闘っている私にとって、この「空白の8時間」は「あり得ない措置」なのである。

 「なぜだ?」「何があったのか?」を、ここのところほとんど寝ずに追跡した。

 おまけに1月24日付のコラム<新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示はなぜ遅れたのか?>に書いたように、武漢市レベルの封鎖となったら、中央政府・国務院の決定がある。だからこそ、武漢市政府の通告とほぼ同時に新華網の通知がネットで公開されている。それも真夜中に!

 国務院が封鎖の決定を出す際の法律的根拠を、さまざまなケースに分けて明記した情報もある。

 1月24日付のコラムで書いた武漢市政府の、あの救いがたいほどの「愚かしさ」のせいかとも思ったが、なぜ武漢市政府がそこまで愚かしいのかを追跡しても「これだ!」と合点するような因果関係には遭遇せず、むしろ今度は「なぜ新華網が真夜中に封鎖通告を発布したのか」という事実に考えが集中した。

 そこでハッとしたのがWHO(World Health Organization=世界保健機関)との関係だった。

◆WHOの緊急委員会開催に時間を合わせていた!
 今般の新型コロナウイルス肺炎の発生と流行が「緊急事態に当たるか否か」を協議するため、WHOの緊急委員会が、日本時間の1月22日午後8時頃からスイスのジュネーブで開催されることになっていた。

 そのため習近平は1月22日にフランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相などと電話会談し、今般の新型肺炎の対策について、「中国は感染発生以来、予防制御の措置を周到に行い、WHOなどにも速やかに情報を提供している」したがって中国は「国際社会と協力して対策を取る考えである」ことなどを強調している。

 これは、「したがって、どうか今般の新型コロナウイルス肺炎の発生と流行に対して“緊急事態宣言”をしないでくれ」と、発言力のある関係国に頼んだことを意味する。

 スイスにおける会議の開始時間は日本時間午後8時頃。

 武漢と東京の時差は「1時間」。

 したがって武漢時間の1月22日午後7時から会議が始まるという計算になる。

 22日真夜中に封鎖令を通告しても、もう遅いのだが、フランスのマクロン大統領と習近平国家主席との間の電話でもあったように、おそらく「WHOとは緊密に連絡し合っている」のだろう。だから、もうすぐ封鎖令を出すこともWHO事務局には「情報提供」しているはずだ。会議は長引いたようなので、滑り込みでギリギリ間に合ったのだろう。

 結果、習近平はWHOに「緊急事態宣言」をさせないことに成功している。

 日本時間の1月23日、WHOのテドロス・アダノム事務局長は「緊急事態判断を保留する」と、記者会見で発表した。つまり「緊急事態宣言」の先延ばしをさせることに習近平は成功したのだ。すなわち、「封鎖令も出して、きちんと新型肺炎の感染を防ぐための予防制御をしていますから緊急事態宣言を出す必要はありません」というシグナル発信が功を奏したことになろうか。

 もしもここで「中国は緊急事態にある」などということを宣言されたら、米中覇権争いは中国にとって壊滅的打撃を受けるだろう。それを避けるためにも、習近平は必死で「奥の手」を使ったと推測される。

◆習近平とWHO事務局長との関係
 その相手こそが、このWHOのテドロス・アダノム事務局長だ。

 彼はエチオピア人で、習近平政権になってからエチオピアとの蜜月は半端ではない。2013年6月14日、習近平国家主席は訪中したエチオピアのハイレマリアム首相と北京の人民大会堂で会談し、2014年07月9日にはエチオピアの当時のムラトゥ大統領と同じく人民大会堂で会談している。2017年5月12日にはやはり人民大会堂でエチオピアのハイレマリアム首相と会見。今日まで李克強のエチオア訪問など枚挙に暇がないが、近くは、2019年に4月24日に習近平国家主席は訪中したエチオピアのアビー・アハメド首相と人民大会堂で会見している。

 今ではエチオピアへの最大投資国は、言うまでもなく中国である。

 2017年7月からWHOの事務局長になったテドロス・アダノム氏はそれまで外務大臣を務めていた。習近平との接触は長い。どれだけ懇意にしているか計り知れないほど入魂の仲なのである。そして緊急事態宣言の最終決定権はWHO事務局長の手の中にある。

 あの空白の「8時間」は、首の皮一つでWHOによる「緊急事態宣言回避」のためにあったと結論付けていいだろう。23日の朝10時の封鎖令実行と同時か、それ以降に発表したのでは遅かったのである。

 
◆パンデミックを招きつつある習近平
 しかしその「策略」がもたらした負の影響は、恐るべき結果を招きつつある。

 新型コロナウイルス肺炎の潜伏期間は10日間前後で1~14日間くらいの幅があるそうだ。仮に10日間だとして、武漢から脱出した数十万人と推計されている人たちは中国全土あるいは世界のどこかに散らばってしまった。ということはウイルスも同時に拡散しているわけで、「人から人」感染があり、かつ二次感染もあるとのことなので、1月23日以降から最大14日間として2月5日までは爆発的に患者が増えていく危険性をはらんでいる。パンデミック寸前だ。

 本日(26日)、中国政府の関係当局は「ウイルスの伝染力が強くなりつつあるかもしれない」と言ったが、それもあるだろうが、急激に広がったのは武漢市民の脱出が関係しているだろう。WHOの「緊急事態宣言」を回避するために「8時間」の空白を生み出したためにウイルスを持っている可能性が高い武漢市民数十万を一気に各地へと分散せてしまったのだから。発生源となっている海鮮市場では大量の新型コロナウイルスが検出されたと北京は発表したばかりだ。

 だとすればパンデミックを招きつつある犯人は習近平国家主席だということになる。

 1月24日のコラム<新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示はなぜ遅れたのか?>では、元凶は地方政府の「北京しか見てない役人根性の愚かさにある」と書いたが、今回は、それを受け止めた北京の「巨大な保身」にあると言っていいだろう。

 中国人民の命を守ることが大事なのか、それとも世界に対するメンツを守ることが大事なのか。

 全人類に対する責任を重視することが大事なのか、それともWHOからの処罰を一時的に免れることが大事なのか。

 たとえ「緊急事態宣言」を受けたとしても、パンデミックを起こさないことの方が遥かに重要だと思うが、それを選択できないところに中国の欺瞞的な構造がある。地方政府の危なさと共に、こういった所に「ポキッと折れるかもしれない」中国の脆弱性が潜んでいるのである。

 このような国の国家主席と「責任を共にすると誓い」、国賓として来日させようとしているのが日本の安倍内閣だ。天皇陛下と握手する場面を全世界にばらまかせることによって、習近平政権のやり方に正当性を与えようとしている。

 このような状況にあってもなお、習近平を国賓として招聘するなどということが、どれほど恐ろしい未来を日本にそして全世界にもたらすか、安倍内閣は真相を見る目を持つべきだ。

 野党も何をしているのか。国会で桜を咲かせている場合ではないだろう。日本国の運命、国民の命に目を向けるという大局に立て。


著者 遠藤誉 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』(遠藤誉・田原総一朗 1月末出版、実業之日本社)、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。


中国の新型ウイルス対策に「遅過ぎ、甘過ぎ」の懸念 「今回は怖い」と専門家
2020年1月25日 16:32 AFPBB News発信地:北京/中国 [ 中国 中国・台湾 ]
 香港大学(University of Hong Kong)のウイルス専門家、管軼(Guan Yi)氏は、「抑制と予防が最も効果を発揮する時期は過ぎたと思う」「これまで怖いと感じたことは一度もないが、今回は怖い」と語った。

 中国は23日、昨年末に重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスに類似した新型コロナウイルスが発生した人口1100万人の武漢で、交通遮断措置に踏み切った。以来、感染者が移動して他の場所で感染を拡大させることを防ぐため、近隣の都市でも相次いで交通遮断措置が取られ、居住する都市に封じ込められた人は4000万人を超えた。

 それにもかかわらず死者は増え、遠くは米国でも感染者が確認されたことで、中国政府の対策は遅過ぎ、甘過ぎるのではないかとの懸念も生じている。

 封鎖直前に武漢を脱出した管氏は、24日に始まった春節(旧正月、Lunar New Year)を前に、既に膨大な数の人々が武漢を出てしまったのではないかと指摘する。彼らはウイルスを潜伏させたまま、「武漢を出た」可能性があるという。

 新型コロナウイルスに感染してから発症するまでに数日間かかることもあり、中国内外で健康を奪う時限爆弾をばらまいているようなものだ。
■「カネとコネがある人々は脱出」

 中国が治安部隊を多数配備しているにもかかわらず、今後数日間で武漢とその周辺との間の封鎖網に新たな隙が生じる可能性がある。

 シンガポールの「S・ラジャラトナム国際研究院(S. Rajaratnam School of International Studies)」のシニアアナリスト、ジー・ヤン(Zi Yang)氏は、「特にカネとコネがある人々は急いで逃げようし、おそらく脱出に成功するだろう」と指摘したが、「中国の人口管理や都市管理といった分野での専門能力を考慮すると、流行の抑制は可能だと思う」とコメントし、移動制限措置で流行をある程度抑制できる希望があるとの見方を示した。

 豪シドニー大学(University of Sydney)のアダム・カムラトスコット(Adam Kamradt-Scott)氏は、新型コロナウイルスの拡散は不可避であるにもかかわらず当局が移動制限措置に踏み切ったのは、武漢に1000床の病院を10日間で建設する計画といった対応策を取る時間を稼ぐためだろうと述べた。

 カムラトスコット氏は、今回中国が実施したほどの大きな規模で都市封鎖を実行できる国はわずかしかないとの考えを示し、米国も州兵を使って同様の措置を取れるかもしれないが、自由に慣れている米国民から強い反発が起きるだろうと指摘した。

 中国では当局がインターネットを管理下に置き、自由な報道がない一方で極めて効率的な治安機構があることなどによって、共産党政権は自らの決定に国民が黙って従うと当てにすることができた。それでも、都市封鎖が1週間あるいはそれ以上続くと、国民の不満は高まるだろうとカムラトスコット氏は語った。(c)AFP

デマがSNSで拡散「武漢から関空入りの新型肺炎患者が逃走」
モザイク入り微博画像から 毎日新聞2020年1月24日 13時49分

中国湖北省武漢市を中心に感染が広がる新型コロナウイルスを巡って、「武漢から関西国際空港に入国した感染疑いのある観光客が病院から逃げた」といった内容の誤った情報がツイッターなどSNS上で拡散している。厚生労働省関西空港検疫所は「そのような事案は発生していない。誤った情報に惑わされずに冷静な対応をお願いしたい」とネット情報を否定している。

<新型肺炎、もし感染したら?>予防法は?
<欧州、豪でも初の感染者>中国では1287人、死者41人に
<新型肺炎広がる中、春節祝賀行事を優先>省幹部の信頼失墜
<現地の日本人緊張「びっくり」「買い占めはないが…」>
<今さら聞けない>中国で見つかったコロナウイルスって?
【新型肺炎阻止へ緊張感が高まる成田空港】
 デマの発信源となったのは、中国版ツイッター「微博」の中国語の書き込みとされる画面を切り取った画像。発信者などの情報にモザイクがかけられており、「関空で武漢から来た中国人観光客が発熱とせきをしているのが見つかり、病院に搬送されたが逃げた。USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)と京都に行かなければならないらしい。もし感染者だったら、どれだけ人に感染するのか。大阪に住む人は気を付けて。本当にひどい」といった内容で、日本語にも訳されて23日夜から拡散している。

 大阪府医療対策課の担当者は「市民から問い合わせがあるが、現時点でそういった話はない」と情報を否定。同検疫所の担当者も「感染疑い例が見つかれば、すぐに厚労省に連絡し、厚労省が発表する。節度ある対応を求めたい」と話した。【鶴見泰寿、矢追健介】

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