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SNS時代のノンフェクション.b

ニュースソースの元は「ハニートラップ」という古典的手法

「テレビ局を舞台にした作品」、いまどき、おもしろい話しなんて転がってない

※「THE INSIDER」アメリカ映画 製作年度 1999年 
先日、このノンフェクション映画のコメントを書こうと保留していたところ、吉川氏のテレビ界小説記事があったので、併設して書くのが好都合とおもって、ここで書くことにした。「ザインサイダー」は1999年に作られたもので、世相としてはやはり背景が変化しているのは否めない。

「SNS時代のノンフェクション」2019-05-23 07:44:50  | 記事をもとに再構成

『あらすじ』『インサイダー』(原題:The Insider)は、1999年に公開されたアメリカ映画。アメリカのタバコ産業の不正を告発したTVプロデューサーと大手タバコ会社副社長を描いた社会派ドラマで、実話が基になっている。アカデミー賞の主演男優賞(ラッセル・クロウ)や監督賞など7部門にノミネートされた。ある日、CBSの人気ドキュメンタリー番組『60 Minutes』のプロデューサー、ローウェル・バーグマン(英語版)の元に匿名で書類が届けられる。それはタバコ産業の不正を告発する極秘ファイルだった。彼はアメリカの大手タバコメーカーB&W社で研究開発担当副社長を務めたジェフリー・ワイガンドに接触し、インタビューに応じるよう説得する。マスコミとの接触を知ったB&W社に圧力をかけられたワイガンドは苦悩するが、『60 Minutes』のインタビューに応じ、法廷で証言することを決意。『60 Minutes』の看板キャスター、マイク・ウォレスによるインタビューの収録を受ける。しかし、CBSの上層部はタバコ産業との訴訟を恐れ、ワイガンドのインタビューをカットして放送する事を決定、バーグマンも『60 Minutes』を降ろされてしまう。

 
先日(2019年)、このノンフェクション映画のコメントを書こうと保留していた。そこにたまたま吉川氏のテレビ業界小説記事があったので、併設してここに書くことにした。

「THE INSIDER」は、アメリカタバコ会社の研究員が内部告発して、その情報が守秘義務に違反し、そのニュース報道をめぐって、CBSの人気ドキュメンタリー番組のプロデューサー(アルパシーノ役)と激しいやりとりを描いた実話を用いた社会派、渾身の映画だったがハリウッド界の賞は何一つもらえなかった。これは邪推だが、歴史的資本主義を真っ向から否定する映画であり、コンセプトがアメリカらしくない勧善懲悪筋を逸脱したものに社会(というよりアメリカ経済支配層)は無関心を装ったと、そんな感想をもった。

そう断言するのも難しいがアメリカ娯楽映画からするとやはり異色であるし、「内部告発」はそのままアメリカ告発でもあった。、先例としては「スノーデン」がその代表例で、これもやはりテレビドキュメントで放送されている。

先輩格の「アサンジ」は逮捕され、そのときの映像を見る限り、今ではすっかり犯罪者の顔(メディア細工でどうにも変化する)であり落ちぶれ感は否めなかった。
そこに情報の怖さがあり、ウソかまことは判定を下すのは「メディア」の手の中にあり、その真贋を判定するのもメディアということであり、社会はそれに従うしかない。

また、いまメディアではトランプ大統領が国賓招聘(2019)として来日予定だとして、それを嬉々としてニュースを作っているが、この政治難局の事態に、そんなことは一切触れず、まったく大物歌手でも迎えるような騒ぎ方だった。(※バッハ会長の謁見も同 レベル 筆者追記)

そのことはアメリカの本質をよく語っているものとして、また対応する日本の平身低頭はパラドックスとして友(同盟国)を理解するのに役立つ項目の一つに挙げられる。(アメリカ追随はもう止めませんか、というテーマは日本に限定してムダであることは明らか)。そんなことは、どうやったって明治維新から150年から続く西洋羨望意識の継続であるから、現実として否定のしようがない。

で話しを戻すと、テレビ会社側の(アルパシーノ)は、それを番組で流す算段をしたのだが、その当時の社会背景としてタバコは市民生活の一部であり、また巨大会社(バックに薬品メーカー軍事関連会社がいる)の執拗な脅迫もあり一時は頓挫する。

また本体CBS買収もあり得る、という展開に、社内人事それぞれが苦境に追い込まれる。まさに究極の選択を迫られた。結論を云うと、すべては暴露され「アメリカの社会正義が勝つ」という定型で収まっている。

そのことは現メディアが直面している凋落衰退の速度の度合いであり、映画が出来た1999年以来、そのスピードは加速していると誰もが認識している。

それにとって代わったのがインターネット(GAFAなど)であると言い切っても差し支えない。
そのもっとも顕著な例が広告であり、それはモバイルのスマホに拡大し、怒涛のごとく狭小ディスプレーに凝縮された。皮肉な見方としてその広告内容がアナログ機器や手間の掛かる「グルメ食材」だったり、そこに輪をかけて「インフルエンサー」という闇サイトが新たな業種が発生するという事態に流れは変化している。この先何が出るかわからない世相に移行した。

その論理は今でも同じで、その筆頭頭であるトランプ大統領が訪日することがすでに決まっていた。

近年稀な「ドキュメント」は紆余曲折、日の目をみなかった~

「史上最も危険」テレビ業界描いた小説執筆の裏側
吉川圭三 記事 2019年05月22日 16:24
5月17日、私の初めての小説「泥の中を泳げ。テレビマン佐藤玄一郎」が発売された。30数年間テレビ局に勤務した体験を元にして執筆したエンターテイメント小説である。フィクションではあるものの、実名も出てくるこの本を読んで、ある方は“史上最も危険なテレビ界小説”と評してくれた。

出版社が考えたコピーは
「テレビの世界に道徳など存在しない。元・日テレのヒットメーカーが痛快に描くエンタメ小説」。
とあるテレビ局に入社した若者がその過程で数々の出来事に遭遇し、成長していく物語である。

この小説が出版されるまでにはかなりの紆余曲折があった。私のテレビ局の制作現場や編成に30年以上も在籍していた経験を生かし、この小説ではテレビ界と芸能界の内幕を描いている。表現物制作の舞台裏にいた者がそのアンダーグラウンドな世界を表現するのは繊細な作業だったが、面白さを損なわず、かつ露悪的にはせずにデリケートに執筆したつもりだ。ひとまず、この本の成立過程がかなり山あり谷ありであった事から、その出版の経緯を語りたい。

最初に私に文章を書くきっかけを作ってくれたのは、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーであった。“スタジオジブリの好奇心”と銘打つ「熱風」と言う小冊子で私は映画についての連載を持っていたのだが、妥協を許さぬ編集方針から映画マニアの私も1年半書き続けたところで「疲れ果てた」と鈴木さんに進言することになった。そこで鈴木さんから、文藝春秋の羽鳥好之文庫局長をご紹介いただくことになり、あっさり私の連載が文春文庫になった。紀尾井町・文藝春秋本社での何回目からの打ち合わせの時、羽鳥さんが現れた。

「吉川さん。これだけ文章が書けるのだから、テレビ局を舞台にした小説なんか書きませんか?」

このテレビ屋の私が小説?と衝撃を受けたが、己の好奇心に導かれ、私は快諾し2つのあらすじを書いた。

1つは「ある女子アナの波乱万丈を描いた小説」で、もう1つは「ある若手男性テレビマンの成長過程で起こる四苦八苦を描いた小説」であった。そしてあっさりと羽鳥局長の指示で「女子アナもの」に決まった。

それを、あれこれ練って何度も書いてはみたが、頑固な担当編集者が納得しない。ある日、「吉川さん。テレビ界を舞台にした小林信彦氏の本を読んでじっくりと研究してください」と言われた。小林氏はかつて放送作家もやっていてテレビ局やラジオ局に出入りしていたのであるが、小林氏の視点と内部に長年いた私の視点は違うと思った。そしてこの編集者からの「女性が描けていない」という一言で私はこの小説を封印することにした。そう、彼の言うとおり素人に売り物になる小説など簡単には書けないと確信したのだ。(ただ、この事は羽鳥局長はご存知では無かった。)

それから1年後、かつての仕事仲間の仲介で幻冬舎の石原正康専務(当時)にお会いした。石原さんは五木寛之氏・天童荒太氏・村上龍氏など大物作家とヒット作を生みだした名編集者だったが、おごる事なく出版の世界では何者でもない私と会ってくれた。最後にあの“若手男性テレビマン成長物語”のあらすじを渡したら、後日電話があり「吉川さん。あれ書き上げて下さいよ。」と言う。主に仕事の無い夜や土日に書き上げていった。4ヶ月後12万文字程に達していた原稿を手渡すと「吉川さん。面白い。これやりましょう。後、編集者を入れて少々直して」、しかしその3週間後、次なる展開が待っている。幻冬舎から呼び出しがあった。その日、石原さんは少し疲れている様に見えた。

「吉川さん。残念ですが、これはウチでは出来ない。社長に反対されました」
幻冬舎社長・見城徹氏。なんとなく私も危惧していた展開だ。見城さんは芸能界・テレビ界に広く深い人脈を持つ人物。その世界を深く描いた小説である。何かあったら幻冬舎に迷惑をかけるのは間違いない。まあ、宜(むべ)なるかな、の帰結であった。石原さんにお礼を申し上げた。私の小説を担当するはずだった若い編集者が、幻冬舎を後にする私を見えなくなるまで立って見送ってくれた。

そして2014年、私はKADOKAWAと経営統合したdwangoに日本テレビより出向した。

しばらくして、dwangoの川上量生会長(当時)に無謀なお願いをした。
「実は私テレビとメディアの世界を書きました。KADOKAWAで出版出来ませんか?」
川上さんは「面白そうですね」と言うとすぐにKADOKAWAの幹部に電話してくれた。
指定されたアドレスに原稿を送った3週間後に飯田橋のKADOKAWA本社に呼び出され大会議室に行くと、書籍を扱う幹部達がズラリとならんでいた。皆、私の原稿を読んでいた様子で、原稿に細かくポストイットが挟まっている。そして、最初に言われた言葉は“そう言えばこれは想定出来たな。”と言う言葉だった。
「この小説、すごく面白いんですけど、KADOKAWAは『ザ・テレビジョン』を出している以上、テレビ局や芸能界に深く触れている本は出せないんですよね。お力になれなくて申し訳ないのですが」
当然の帰結だった。会議室の皆さんにお礼をして飯田橋を後にした。

私は背中に出来た小さな瘤(こぶ)の様なこの小説をしばらく持て余し、氷漬けにせざるを得なかった。

そんな私の未発表の問題小説に突破口が出来たのはある些細な事がきっかけだった。Facebookである人と繋がったのだ。著作家の本橋信宏氏である。同氏には政治・思想からサブカルチャーやアダルトメディアまで幅広い著作があり、裏エロ雑誌から赤軍派までとそのカバーする範囲は広い。私は本橋氏の著作の愛読者だった。破天荒なAV監督・村西とおるを描いた「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)は、Netflixにて山田孝之主演で映像化され、今年190ヶ国で公開される。本橋氏が「新橋アンダーグラウンド」を執筆する時、本橋氏による鈴木敏夫氏のインタビューを仲介し懇意になった。その後、本橋氏のトークショーが下北沢であった時に同氏の「アンダーグラウンド」シリーズを出版している中堅出版社・駒草出版の井上弘治社長と編集者・杉山茂勲さんをご紹介されたのだ。その際、私は杉山さんに声をかけた。

「実はテレビ局を舞台にした小説を書きました。ご興味有りますか?」 「はい。メールで送って下さい」

その2日後、駒草出版が即決してくれた。それから、構成協力者と編集者の杉山さんと1年以上にわたる何十回のリライトを経て本著ができあがった。

売り文句を書くと、この小説は何が本当かフィクションかわからない“虚々実々”の世界にした。だから実在の人物や本当に起こった事を少々(時にかなり)ずらして描いている。悪い奴はより悪い奴に、良い奴はより良い奴に。色んな人物をハイブリッドにしたキャラクターも登場する。私はテレビ屋なので“読み始めたら止まらないエンターテイメント小説”にし“メディアの未来予想図”も混入した。

テレビ局を舞台にした作品は星の数ほどあるが、今回の小説は、景山民夫氏「トラブル・バスター」や小林信彦氏「怪物がめざめる夜」や漫画「電波の城」(細野不二彦著)、ハリウッド映画「ネットワーク」(1976年製作・シドニー・ルメット監督)よりもはるかにリアルで建設的になっているとも思う。

名は明かせないが、本著に関係したある人が「まるでテレビ局を歩いている様だ」と言っていたのを思い出す。

そういう訳で紆余曲折のもと書いたこの本を出版出来て今私は脱力している。もし地上波局がこの原作をドラマ化等したら、それはおそらくテレビ史に残る”大事件“になるだろう。本当はそのくらいの地殻変動が起こるような事をテレビ局にも一発かまして欲しいのだが。( 記事引用)


(ウイキペディア・記事引用)



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