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何気ない言葉が今の自分を形作っている

調律師として仕事をしていて、影響を受けた言葉や考え方というのはたくさんあります。その中でも明確に自分の行動理念となっているなあと感じる、2人の方から頂いた言葉があります。

「調律師って言うのはね、モテないとだめなんだよ。」

高校生のときに、調律の道に進もうと思った際に話を伺ったある楽器店の社長さん(元調律師)に言われたことです。当時は正直「あ〜…おじさんの下世話なノリだ…」と軽く流していましたが(失礼)仕事をはじめると意味がわかりました。

調律の仕事って対・ピアノだと考えていましたが、働くほどに対・ヒトだよなあと感じます。

【人間的な魅力】【美意識】【他人を慮る】など、キレイな言葉に変換もできるかもしれませんが、この言葉が僕の理想とする調律師像を表すのにしっくりくる気がします。

かと言って今の自分が若い調律師にこのまま伝える勇気はないですが笑 そこも含めて、この表現で伝えてくれたことにものすごく感謝しています。

「講習代は払ってください。謝礼は受け取ってください。」

調律の専門学校で働いていた20代前半のときに、ベテランの先生から休日におこなわれる技術講習の手伝いを頼まれました。手伝いと言っても会場の席の準備や資料を人数分並べたり、終わった後の片付け程度でしたが。

当日の朝会場である学校に行くと、事務室にこう書いたメモが置いてありました。

準備が終わると僕は講習代(たしか8千円くらいだったと思います)を受付で支払い、他の受講者と同様に講習を受け、片付け後に同額の謝礼を受け取りました。

これ、同額なので別に相殺でも良かったはずなんです。でも決して安くない講習代を支払うことで料金分まじめに勉強することができて、同じく安くない謝礼を受け取ることで料金分きちんと仕事をできました。単純に一人前として対等に扱われたことも嬉しかったです。

仕事とお金に対する考え方はこのメモに教えてもらいました。

どちらの言葉もその理由や意味を細かく教えられるわけでもなく、ただ一言でしたが、今でもはっきりと覚えています。

この仕事も19年目に入りました。

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