ピアノ調律師には、みえている。
「調律師さんって絶対音感があるんですよね??」
調律師なら一度は必ず言われたことがあるセリフだと思います。
それに対する調律師の答えは『調律には絶対音感は必要なくて、相対音感で合わせてるんです』
でもこれって実は絶妙にニュアンスが違っていて、そもそも調律って音感でやってるわけではないんです。
こんなイメージです
絶対音感
相対音感
調律するときの音の捉え方
耳だけで音が合わせられてすごい!と思われがちなんですが...実はズルいことに調律師には、基準の音と合わせる音の間に正確な定規が“視えて”(聴こえて)いるんです。
逆に言えば基準となる東京タワーがないとお手上げです。調律は必ず基準に次の音を合わせて、合わせた音を基準にして次の音を合わせて...の繰り返しです。
この「音の距離を測るための定規」は訓練で視えるようになるので、生まれ持った特殊能力でもなければ耳の良さともほとんど関係がありません。
たぶん他の職業でも、そうじゃない人には視えない定規が視えているのかなと思います。美容師さんには切るべきラインが、料理人には味付けが。
見えるより視える
お客さんで全盲の方がいらっしゃるのですが、十数年ぶりの調律の後、半年後に伺うとピアノがピカピカになっていました。それこそプロが磨いたレベルの仕上がりです。
聞くと、手触りでキレイになっているかを確かめながらご自分で磨いたとのこと。その方は整体の仕事もされていて、「ああ、この人には視えているんだ」と。
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