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「どうしてそうなった?!」って思うこと

どこで生まれ、どのように育ち、どういった考え方をして生きているのか。
……まぁ、そう、たいそうな言い方をしなくてもいいのだ。
みんな違う生き物なんだから、当然ひとによっていろいろな動き方するよね、って話なだけで。

久しく話していなかった友人と長電話をした。
その中ででてきた話だ。


友人の家には、段ボール箱にペットボトル飲料か何かが入っているらしい。
ひと箱につき、一つ。
段ボール箱は二段になっており、つまり箱は二つ。合わせると中身も二つ。
上の箱には消費期限が近いものを入れて、取り出しやすいようにしていたそうだ。
ところがある日、友人が上の箱を開けたところ、中身が空っぽだった。
(相方め、段ボール箱を片付けそこねたな……)
友人はそう思い、上の箱をどかしてから下の箱を開こうとした。

……なんと開封されている。
いやな予感。

中身は空っぽだった。


友人はそのときの心境を、「百歩譲って、上の箱までは許せる。でも、下の箱まで放置する!?」と語った。

どうしてそうなるの!?という叫び。

めっちゃわかる~~~って思ったので、私はこう返した。

「私ならその段ボール箱をつぶさず片づけず、相方さんのベッドの上に運んででも置くなぁ。だって、腹立つもの。わざわざベッドまで持ってく手間とかはどうでもよくて、とにかく相手に片づけさせたいって思っちゃう」

友人は私に愚痴を言いつつも、結局、段ボールをふた箱分つぶして片づけたそうだ。
なんたること。
私の性格の悪さが際立つ。
……まぁ、本心からそう思ってるので、意地が悪いと思われても別にいいんですけれども。


さて、どうしてそうなったのか。

友人の相方さんはけっこうのんびりした性質だ。
たぶん一度目は「あった~」って思ってその箱の中身に意識がいってしまったのだろう。
だから、一つ目の箱を開けたときにはまず純粋に段ボール箱を処分することすら忘れてしまったんだと思う。

そして、二度目。
きっと、上においてある一つ目の箱を開けて「あ、ないや」って思ったか、「そういえば上の段の中身は空だっけ?」と思ったか、事実はわからない。
ただ、二つ目の、下の段にある箱を開けたことで、また「あ、あった~」と中身に意識をとられた。そして、箱を元のように重ねて戻し、片づけを終わらせてしまったのだろうと。
このときもやっぱり意識は中身のみにいっていて、箱を片付けるのではなく捨てるための作業をしなければならないということに気づかないままだったのではないか。

こんなところじゃないか、と思っている。
むかし偶然読んだ漫画にあった「三つまでしか記憶できない?!」だったかな、そんな次回予告のアオリを思い出してしまった。

などと、考えてしまったけれど。
友人の相方さんはもしかしたら、片づけるのは自分じゃないと無意識に思っている可能性も否めない。
片づけるのが嫌だからやらない、という可能性を挙げるひともいるかもしれないが、私が実際に見て話したことのあるこの相方さんは、そういうずるいことを平気でできるタイプではないと思う。友人の愚痴を聞いていて、そう思った。


段ボール箱が空になったら捨てなければならない、と友人と友人の相方さんとの間でルールがきちんと決まっていたわけではない。
だから、友人の相方さんの行動を決して責めることはできないし、元の場所に戻してしまったこともだめだとも悪いことだとも言い切れない。
でも、こうした方がのちのち楽じゃない?って思うことってある。
そういえば、そんなこと書いたなあって思い出した。

だれがやらなければならないと決まった作業ではないんだけれど、でもだれかがやることになる作業。
名もなき仕事、と言ってもいいかもしれない。

次の人がやりやすいようにするべき、と言い切ってしまうのは強すぎるかなと思う。
次の人がやりやすいように、一工程で済む作業は減らしておいた方がのぞましい、くらいだろうか。

もしも友人が今後を快適に過ごしたいのなら。
一度でもいいから相方さんに言う必要があるだろう。
知って、改善してくれれば相方さんはかなり優秀な部類だ。
でもきっと、おだやかで深く考え込みすぎない相方さんは、たぶん、また忘れちゃうのだろうな、とも思う。言われて、「ああ、そうだった。ごめん」そう返すような気がする。

そして、そもそもの話。
友人は一度もこのちょっとした不満を直接相方さんへ言うことはないのだろうな、とも。

どうしてそうなった!?って嘆くのは、どうにもならないだろうな……っていう諦念からきているのかもしれない。

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