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動物と暮らす。 Vol.15

こんにちは。あけましておめでとうございます。
perromart.jp 獣医師スタッフの原 駿太朗です。

年末年始は家族と駅伝をみたり、ボードゲームをしてみたりと久々にゆっくりと過ごすことができました。
我が家のペットたちも一日中暖かくにぎやかなリビングで気持ちよさそうにゴロゴロしていました。

「ペット」と聞くと、多くの人は犬か猫を思い浮かべると思います。

我が家のペットたちも、そのイメージの通りで犬と猫なのですがこの2種類の動物はいつもセットで考えられがちだなぁと思います。

しかし、獣医療の現場では新人の獣医師によくこんなことを話します。

「猫は小さな犬だと思ってはいけない。」

これは同じ病気でも患者が犬か猫かでは治療方法もペアレントへのインフォームの仕方も全く違うから同じように考えていると痛い目にあうぞ。という意味なのですが、これはペットと一緒に暮らすすべてのご家族にもぜひ知っておいて欲しいこと。


そこで今回は、猫がどのように犬とは違うのか。について3つの点をあげながら解説してみます。

①遺伝子レベルでの野生からの距離が全く違う

犬はオオカミを祖先に持ち、犬種によってはオオカミにとても近い遺伝子的特徴や習性を持っていることもあるが、ほとんどの犬種では品種の掛け合わせが進んでおり、いわゆる家畜化(人と暮らす上で都合の良いように性質や性格の傾向を修正されている)がだいぶ進んでいると言われています。

これに対して猫は、現在でもDNAの90%以上がトラやライオンと同じ。つまり、体を形作る設計図のほとんどが野生のままであることが分かります。

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②猫は犬に比べはるかに肉食よりの代謝システムである。

代謝のシステムも犬と猫とでは大きく異なります。

肉食よりの雑食性のため炭水化物の代謝がある程度できる犬に比べ、完全肉食動物と呼ばれる猫は炭水化物の代謝が得意ではありません。(現在のイエネコは10%程度までなら消化できると言われている。)

これに比例してタンパク質に依存する割合も犬と比べて猫の方がはるかに高いです。
猫は代謝のシステム上、タンパク質を定期的に口から摂取し続けないとそれだけで代謝のバランスが崩れてしまい、肝リピドーシスなどの病気を引き起こします。
また、猫は血糖値を調整するインスリンの分泌も犬や人のような血中のグルコース(糖)ではなくタンパク質などの分解産物であるアミノ酸が分泌刺激になっていることが分かっています。

これらのことから猫が犬とは違い、いかにタンパク質に依存した特殊な代謝のシステムを持っているかがお分かりいただけるかと思います。

③元々の関係性が全く違う。

犬は
・狩りをより円滑に手伝えるように
・見世物として見せる
など主に人間の利益のために使役しやすい性質や姿形を目指して品種改良をしながら進化してきた歴史があります。
そのため、性格もなるべく人に対して友好的な性格の個体が残るなど、あくまで人にとってだけの利便性が考えられた進化過程だとも言えます。

それに対して猫は今でこそ家族の一員として、室内飼いが推奨されていますが、つい最近までは人にとっては家族ではなく、近所に出る害獣(ネズミや鳥)を獲ってくれる存在でした。
猫からしても人間は近くにいれば獲物を呼び寄せてくれる存在だったので、決してどちらかが使役していたわけでなく、お互いにメリットのある共利共生の関係で猫の進化には人の利便性は、ほぼ介入していないことが分かります。(マンチカンなど姿形を変える品種改良については猫でもされています。)

このように暮らしてきた形が全く違うので、犬と同じつもりで猫を飼い始めてしまい、違いに猫も人も対応できずに困り果ててしまう…。などの問題が起こりやすいんですね。

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いかがでしたでしょうか?
犬と猫のことをより深く理解する上で、今回の記事が少しでも参考になったら嬉しいです。

自分自身の目標としてもこれからも、それぞれの動物の進化の過程、習性についての理解を深めていき、お互いがもっと上手に共同生活をしていく方法や共同生活を助けるグッズを作っていきたいなぁ。と思っています。

今すべてのペットと暮らすペアレントが抱えてるお悩みは私にとって全部貴重なヒントになります。
ぜひコメントなどでもいいので、どんなことでも教えてください。


最後までお読みくださりありがとうございました。それではまた来週。



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