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karakurist目録#6_カムを作る

機構特化型からくりの醍醐味、運動の変換についてです。
ここでは運動の方向を変換するカムについて記載します。

カムの構成

カムは回転する原節とそれに伴って動く従節から成り立ちます。
原節は一様な輪郭をした円盤ではなく、回転すると接触している従節が輪郭をたどるように動きます。
以下のGIFは基本となる板カムです。

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カムの種類
代表的なカムは以下の通りです。
・板カム
・確動カム  
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・直進カム
※立体カムについては製作難易度が高いのでここでは紹介しません(๑˃̵ᴗ˂̵)ノシ
どれもカムの基本原理は同じで、輪郭の起伏(又は溝)を従節がたどることで運動の変化をさせます。
従節の動きは2種類で、
・円弧に動く
・直線に動く
※スライダの形状に依存
があります。この2つは取り付け方によるものです。従節に回転軸を持たせると円弧、レールのようなもの(スライダ)で保持させるとレールの形状に従って動きます。

カムの良い点と注意する点

●良い点として、カムは単純な回転から複雑な運動を作り出せることが挙げられます。1つのカムでは一次元の動きに限られますが、従節は加速・減速・停止・逆行などあらゆる動きをさせることができます。(急な動きは摩擦により制限があります。)

●注意が必要な点としては、摩擦と重力と回す方向です。
従節は原節と滑るように接触します。そのため常に摩擦の影響を受けることになります。従節の先端が尖っているほどカムの形状を正確に読み取れる反面、摩擦と摩耗には注意が必要です。対策としてはベアリングをつけたり先端の尖りを無くしたりなど。
重力は、基本的な形状の場合に注意が必要です。原節と従節の接触を重力に任せると、全体が傾いたときに適切な動きができなくなったり、高速回転に対応できなかったりします。(考慮しない作品であれば問題ないです。)
対策としては確動カムやバネの使用など。
回す方向は従節が円弧運動をする場合です。

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カムとてこクランク機構
前回てこクランク機構について記載しました。
てこクランク機構は回転運動を往復運動に変換する機構です。
回転運動を変換するのはどちらも同じですが、考え方としては
高度な動力変換をしたいのであればカム大きな力を扱うならてこクランクなのかなと思います。ただ、どちらも例外はあります。

また、からくりにおいては完全な動作ができないほうが有利な局面も存在します
その一例としては「回転は手回し、高速回転を想定」する場合です。
ご自由に回してくださいと言われると高速で回してしまう人も中にはいたりして、そのときに確動性のあるてこクランク機構を使っていると高速回転をそのまま変換してしまうため、機構の末端では悲鳴をあげてしまうことが中にはあります。
そんな時に板カム(重力で接触)を使用していると、高速回転に弱いぶん、末端まで急激な動作がしなくなり、負荷を減らすことができます。
こんな感じで、使いどころを見極めて使う機構を選んでみるといいかもしれません。

カムの設計

カムの設計は、「原節がこの角度の時に従節はどの角度になるか」を原節の回転をイメージしながら点を打っていくと出来上がります。
この時、急な起伏の変化は従節が対応できない時があるので注意してください。

カムの設計方法

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カムについてでした。カムも機械要素として使える場面がたくさんあるので自由に設計できるようになりましょう!

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