りりあ

食べる、書く、聴く、が好きな企画広報ぽんこつOL。 ビールの売り子をしていたほどの野球…

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食べる、書く、聴く、が好きな企画広報ぽんこつOL。 ビールの売り子をしていたほどの野球好きです!

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学年1位の女の子が「勉強なんてやめてしまえ!」と言われて

気づいたら、30歳になっていた。 子どもの頃想像していた「30歳」はもっとはるかに大人で、しっかりしていて、強いイメージだったけれど、今も私はあの頃と同じように日々悩み、もがき、時に悲しみ、笑いながら生きている。 この年齢になると、結婚・出産をする友人が増える。 FacebookやInatagramの幸せな「ご報告」は、私がまさに想像していた大人の姿の1つで、自分の人生を次のステージに進めていることが、純粋にかっこいいと思う。子育てに奮闘する彼女らと話をすると、仕事に明け

    • 小さな決断が、野球場で繋いでくれたもの

      「やばいっ、地震だ! 外に出て! 早く!」 決して忘れることができない、あの日。 ドカンッ 自宅でテレビを観ながらぐうたらしていた私は、下から突き上げるような大きな揺れに驚き、飛び起きた。 微睡みながら寝ていた猫は、毛を逆立てたまま一目散に外へ飛び出していく。 母は血相を変え、急いで窓や扉を開けにいく。 大きな食器棚が、ゆらゆらと揺れている。 何が何だかわからないまま、スニーカーを引っかけて外へ出る。 近くの駐車場まで走る。 ぐわんぐわん、と視界が揺れた。 「そこ

      • あの時言えなかったありがとうを、「ハッピーターン」に。

        「ありがとう」という言葉は、簡単そうで意外と難しい、と大人になった今でも思う。 難しいという表現が正しいかはわからないけれど、伝えすぎると胡散臭く聞こえるし、言葉にしなければ全く伝わらない。 不思議なことに、仕事でお世話になった人や街で親切にしてくれた人など、一定の距離がある相手には素直に伝えられるのに、いつも一緒にいる家族や当たり前に側にいてくれる人には、心の中で一方的に伝えておしまい、にしてしまうことも多い。天邪鬼な言葉だなと思う。 けれど、最近思うのだ。 そういう相

        • 【小説】幕開け<後編>

          <前編>はこちら ・・・  夕方のほこすぎ橋はとても静かで、穏やかな空気が流れている。あの頃と何も変わっていない。隣にはさいたまスーパーアリーナがそびえ、橋の下はJRの線路が何本も走っている。絵の具で描かれたような鮮やかな夕空の下、しばらく私たちは何も話さないまま、ただそこに佇んでいた。まるで、今自分たちがここにいることを噛みしめるような時間だった。 「今日は、ありがとな。俺のわがままに付き合ってくれて」  周囲に人がいないことを確認すると、駿介は白いマスクをそっと外す

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          私の「美しい鰭」を探す旅

          久しぶりに、人前で泣いた。 ぎゅっと閉めていた感情の蛇口を捻られたみたいだった。 最近、とても忙しい毎日を過ごしている。 有り難いことでもあるけれど、有り難くないことでもある。 めざましの音で目覚めてから夜の作業中に寝落ちるまで、ほんの一瞬。 そしてまた、目は覚めて朝が始まる。 たった24時間でも、いろいろなことが起こる。 定期券を家に忘れたり。 満員電車でぶつかってしまったリュックを睨みつけられたり。 友人から結婚の知らせが届いたり。 何十枚も書いた企画書が通らなか

          私の「美しい鰭」を探す旅

          素人「クッキー缶」大奮闘記 〜ドキュメンタリー編〜

          ずっと憧れていた手作りクッキー缶の蓋をカチッと閉じた瞬間、頭にふと浮かんだ。 クッキー缶=ローマであるかはさて置き。 これを完成させるまで、半年以上かかった。何気なく「作ろうかな〜」と思い始めた時から考えると、丸1年。 プロでもないド素人が趣味で作るお菓子だろうと笑われるかもしれないが、私にとっては一大事だ。 ついに、クッキー缶が完成した! 大きな失敗もなく! 途中で諦めることもなく! 11種類ものクッキーを! 焼いて! 焼いて!! 焼きまくって!!! 冷まして、詰めた

          素人「クッキー缶」大奮闘記 〜ドキュメンタリー編〜

          「浅草ルンタッタ」を、最前列で読む。

          生きていると、時々、自分の力だけではどうにもならないことにぶち当たる。 その度に、悔しくなったり、寂しくなったり、不安になったり。 時には人知れず涙を流す日だってある。 「ああ、今回ばかりはもうダメだ。もう頑張れない……」 そう思っていたはずなのに、思い返せば、その度にどうにかこうにか立ち上がってきた。 頑張れないときこそ、楽しかった、幸せだった、そんな"記憶"が蘇る。 負の感情をふわっと包み込んでくれる、思い出やリズムがある。 大好きなアーティストの公演で聴いた、あの

          「浅草ルンタッタ」を、最前列で読む。

          香港の地下通路から、宇宙へ

          あの日は、冷たい雨が降っていた。 薄暗い地下通路。 湿った壁にもたれて座る、一人の女性。 丁寧に束ねた白髪とは対照的に、ブラウスは所々破れている。 籠には、小さな硬貨が疎らに入っていた。 じっと見つめると、彼女は申し訳なさそうに微笑み、やがて下を向いた。 3歳の頃だ。 父の故郷・香港で家族と夕飯を食べ、ホテルまでの帰り道。 なぜ彼女が一人でここにいるのか、なぜ寂しそうに笑うのか。私は理解できないまま、ただその濡れた瞳だけが心に深く、深く焼きついた。 「香港人と日本人の

          香港の地下通路から、宇宙へ

          北条政子への一歩

          「りりってさ、勉強がこんなに得意なのに、どうして歴史が苦手なの?」  高校二年の時、友人のサラから言われた一言。  青春真っ最中、花様年華。初めてのことばかり、毎日がドキドキで埋め尽くされていた、あの頃。  一生忘れられないと思ったファーストキスの感触さえ忘れてしまったというのに、 三十になった今でも何故かこの言葉の響きは頭にこびりついて離れない。自分の中で、じくじくと広がる罪悪感のような、言い訳できない後ろめたさがあるからなのか。しかしそれは 一体、何に対する後ろめた

          北条政子への一歩

          「交換ノート」を続けるということ【#もの書き100問100答】

          noteを始めてから約2年が過ぎようとしています。 ここには、ブログや掲示板、日記、SNSとも違う、なんとも不思議な空気が流れています。 この感覚って何かに似てるな、なんだろう……とずっと思っていたのですが、もしかすると「交換ノート」かもしれない。と、先日ふと思いました。 中学生の頃、まだスマホ、いや携帯すら持っていなかったあの時代。友人とのやりとりは手紙や交換ノートが主流でした。 初恋の人に初めて手紙を渡した時のあのドキドキ感、今でも思い出します。便箋を選んで、ペンを選

          「交換ノート」を続けるということ【#もの書き100問100答】

          【小説】幕開け<前編>

          「おつかれさまです。鍵、お願いしまーす」  時計の針が、八時をさしている。今どき珍しい手巻き式の腕時計は、祖父から受け継いだ大事な形見だ。レトロなデザインで気に入っているけれど、ずぼらな性格の私は一昨日から一度も巻いておらず、当然ぴくりとも動いていない。それなのに、低いガラス戸をカラカラと開けながら、今日は絶対に最後じゃないぞ、と思った。 「はい、Bの三番、受け取りました。深山ちゃん、今日も最後だよ。最近残業多いねえ」 「えーっ、今日は少し早いと思ったのになあ」  根拠のな

          【小説】幕開け<前編>

          六太と日々人と「夢」の話ー『宇宙兄弟』40巻を読んでー

          ドクッ ドクッ ドクッ ドクッ …… いつもより深くて太い自分の鼓動が、リズムよく響いている。 人間の身体というのは、緊張している時も興奮している時も、同じような反応をするものだ。 今の私は、どちらも当てはまるかもしれない。 緊張40%、興奮60%というところだろうか。 目の前にあるお気に入りのマグカップを手に取る。温くなったミルクを少しだけ口にふくみ、ふう、とひとつ息を吐いた。 さて、どうしたものか。 次のシーンを、早く見たい。 けれど、まだもう少し、見たくない気

          六太と日々人と「夢」の話ー『宇宙兄弟』40巻を読んでー

          アートを知らない私が、アートについて考えてみたら

          「生まれ変わったらまた自分になりたいですか?」 もしあなたが今この質問を投げかけられたら、どう答えるだろうか。 咄嗟に「YES!」と言える人生に、正直とても憧れる。 私だったら、少し考えて、でも「・・・NO」と答えてしまうかもしれない。 だけれど、「自分のことが嫌いですか?」と聞かれると、そんなこともない。少し、矛盾しているだろうか。 この数年は特に、自分に自信を持つために、今ここに在る自分を確かめるかのように、手探りの旅をしてきたように思う。つまづいて、転んで、たまに

          アートを知らない私が、アートについて考えてみたら

          全人類に捧ぐ!今だからこそ聴いて欲しい「スピッツ」の名曲7選

          あなたには、心がホッとする「帰る場所」が、いくつあるだろうか。 例えば私の場合。 まずは毎日過ごしている、この家。 仕事を終えてどんなにクタクタになっていても、玄関を開ければ身体の力がふっと抜けて素の自分に戻れる、1番のリラックス場所。 それから、大好きな野球場。 小学生の頃から何度も通い、大学時代はビールの売り子もしていたから、楽しむ場所でもあり、働く場所でもある。席についた瞬間、「帰ってきたー!」と思えるから、ここも、やっぱり私の帰る場所。 あとは、会社のデスク。

          全人類に捧ぐ!今だからこそ聴いて欲しい「スピッツ」の名曲7選

          「ヒーローのヒーロー」〜親友の結婚式で大泣きした日のこと〜

          初めて、ヒーローになりたいと思った。 小学1年生の時。 ピンチの時にかけつけてカッコよく敵をやっつける、漫画に出てくるような正義のヒーロー。 強いだけじゃない。優しくて、前向きで、一瞬で周りの空気を明るくしてしまうような人。 その存在を思い出すだけで勇気が湧いてくるような、太陽みたいな人。 男性的なイメージが強いけれど、そんなの関係ない。 女だって、ヒーローになりたい。 私が本気でそう思うようになったのは、彼女との出会いがきっかけだった。 いつだって、君のヒーローでい

          「ヒーローのヒーロー」〜親友の結婚式で大泣きした日のこと〜

          満月の美しさは、ロマンチストなナンパ師と、心で月を見る優しい女性が教えてくれた

          「ねえ、お姉さん。ちょっと1杯飲んで行かない?」 電車を降りる少し前から、ふわふわした視線が気になっていた。新卒1年目、社会人としてひよっこの私は、会社帰りは決まってクタクタで、メイク直しも面倒くさいからマスクをつけて帰る。1分でも早くソファーにどすんと体を沈めたい気持ちでいっぱいなのに、そういう時に限ってこういう人は声をかけてくる。対策は高校生の時から決めている。何を話しかけられても無視をする、ただ、それだけ。 「俺、タクヤっていうんだけど。急に声かけちゃってごめん

          満月の美しさは、ロマンチストなナンパ師と、心で月を見る優しい女性が教えてくれた