見出し画像

縁あって鹿野 ~縁起焼「叶家」~

8月10日、山口県周南市鹿野地域、周南市役所鹿野総合支所から、自動車で南に数分ほど走った場所にあるスポーツ施設「鹿野山村広場」のそばに、一軒のお店がオープンしました。

縁起焼えんぎやき 叶家かなや」さん。
山口県下関市発祥の「縁起焼」を販売するこのお店のことを家で話していると、「このお店、光スタジアムの所にあったお店じゃない?」と、妻が驚くことを口にしました。

インターネットで検索してみると、確かに住所が山口県光市になっています。光スタジアムとは、光市の町なかにあったバッティングセンターの名前なのですが、今は更地になって影も形もない状態になっています。

その光スタジアムにあったというお店が、なぜ鹿野に?
ただ単に「鹿野に新しいお店ができた」というだけになるはずだった取材が「光から鹿野に移転した経緯はなんだろう?」という疑問を解消するための取材にもなった瞬間でした。

縁起焼は、皮がウリ

もちもちの皮が魅力。

ところで、縁起焼とはどんな食べ物なのでしょうか?
今川焼のような、大判焼のような……形はそれらと似ているのですが、一味違う縁起焼の魅力について、先にご紹介します。

中の具も、白・赤あん、カスタード、よもぎ、チョコバナナとさまざまな味がありますが、なんといっても一番の特徴は、外側の皮。

機械で焼かれてきつね色になった大判焼は、冷えると水分を含んでしなしなになってしまう物もありますが、この縁起焼は冷えてもモチモチ感が失われません。

このモチモチ感は、米粉・うるち米・もち米の絶妙なバランスで作られていることで生まれているのだとか。原材料にもこだわって作られているんですね。

焼き目をつけても、おいしい。

それだけではなく、暑い時期なら冷蔵庫でひんやりとさせて食べたり、冷凍させて自然解凍させて食べたりしてもおいしくいただけますし、逆にレンジでアツアツにしてもおいしい。

自分のお勧めは、熱したフライパンで皮に焼き目がつくまで焼く食べ方です。モチモチ、から、カリッ、とした食感に変わって、そのまま食べるのとはまた違った味わいを楽しむことができます。

叶家さんでは、縁起焼の他にパウンドケーキやクッキーなどの焼菓子、かき氷なども販売されています。モチモチでとてもおいしい縁起焼。持ち帰って家でゆっくり食べるのももちろんですが、素敵な雰囲気のお店で楽しむのも、いいなと思いました。

鹿野につながるたくさんの「縁」

そんな「叶家」さんについて話していただいたのは、光市でも「叶家」さんを営業していた梶原幸敏かじわらゆきとしさんと、従業員の久樂遼くたらはるかさんのお二人。
取材中もひっきりなしに来客があるという忙しい中、鹿野との「縁」についてうかがってみました。

パン屋さんの頃を思い出させる外観

この叶家さんの建物は、木々の中に建つログハウスを思わせるたたずまい。
実はこの建物、かつてパン屋さんが営業をされていた建物なんです。

梶原さんは7年前から光市で「叶家」を開業しましたが、2020年、光市のバッティングセンター「光スタジアム」の閉鎖に伴い、敷地内で営業していた「叶家」も移転を余儀なくされてしまいました。

なかなか次の店の場所が見つからない中、鹿野でお店を構えることになったのは、久樂さんのご縁によるものだったそうです。

鹿野地域で毎月開催されているマルシェ「KANOかくれがマルシェ」でお菓子を販売していた久樂さん。マルシェ出店の中で、鹿野の大潮地区に住む知人から「お店を出したらどう?」と話を持ち掛けられたそうです。

その際にこのログハウス調の建物を紹介され、「縁起焼 叶家」鹿野店の開店へと結びついたんですよ。

「鹿野は何もない場所と思っていたんですが、意外とおしゃれな町でもあるんだな、と思いました」と鹿野の印象を語る久樂さん。自然が好きなこともあり、元々周南市新南陽地域に住んでいた久樂さんは、この開店を機に鹿野地域へ移住されたそうです。

「縁起焼だけでなく、ケーキ販売などもしたことがある経験を生かして、洋菓子分野も開拓していきたいですね。外にピザ釜を造って、それを使ってお客さんを呼べるイベントをしてもいいなと思います」と今後の展望についても語ってくれました。

梶原さんの知人も来店。明るい声が店内に響いていました。

梶原さんも、奥様が鹿野の出身であったことや、以前に仕事で、周南市の北部、山間の町である鹿野地域の、さらに山を進んだところにある秘密尾地区に来たこともあるそうで、昔から鹿野という場所にはご縁があったそうです。

「鹿野は夏が涼しく、避暑地のようなイメージを持っていました。この場所はお店だけではなく広い敷地がありますから、ピザ釜やバーベキュー場を造ってみたいと思います」

そう語る梶原さんの人柄に惹かれ、たくさんの人が集まる場所になっていきそうな予感がしました。

取材中にも、お知り合いの方がお店を訪ねてくるなど、光市から鹿野へお店の場所は変わりましたが、変わらずに通ってきてくれる人がいるんだな、と感じました。

家族、仕事、知人……たくさんの縁がつながって、光市から鹿野にやってきた縁起焼。鹿野の新しい「叶家」さんから、たくさんの「ご縁」がつながっていけば素敵だな、と思いました。

叶家さんの場所

黄色い看板が目印です。

「叶家」さんは、鹿野総合支所から南へ向かい、鹿野山村広場手前の三叉路に設置された黄色い看板が目に留まると思います。
出入り口は少し狭いのでゆっくり入ってみてくださいね。

「叶家」さんの情報は、Instagramで発信されています。
お店を訪ねるときは、こちらも確認してみてくださいね。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?