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富士フィルムLEDビュワープロ4x5を光源に、ネガフィルムをデジタル化してみる

 先日書いたこの記事なんですが、「やはり光源にスマホを使うようないい加減なことをしていたら、それなりの結果しか出ないのでは?」という根源的疑問が解消できず、ちゃんとした光源を買い足してみました。

 富士フイルムから、4×5版を見れるサイズらしい小型のライトボックスが出てました。直販で1万円、量販店で8000円台でしょうかね。
 サイズはB6版、青年コミックの単行本くらい。厚みも13mmです。たくさんのポジを次々見るとかなら小さいですが、今回のデジタイズ用途なら十分。本棚に挿しておけるから置き場も困らない。

 光源としては演色性Ra95と、さすが専門の用品。今回は「写真用の光源として確か」というところが大事だったので、ちゃんと値を公表してる写真用品が確実。

 まあ低価格商品ではあるので、案外電池ボックスやスイッチ周りがチープだなあと思ったりはしますが、まあそこは値段なりに割り切り。
 電源はアルカリ電池3本です。ただ3時間しか持たないらしい。初期電圧1.7Vを超えるような電源を使うな(多分オキシライドをいってます)という注意書きがありますが、ニッケル水素電池は大丈夫だと思います。

やり方

 やり方はほぼ前回と同じ。

 LEDビュワープロだったら、ネガを浮かせなくてもベタ置きでOKです。
 ただしフィルムがちょっと反っているので、何かで押さえる必要はあります。私は今回は、前回使ったクリップがそのまま重しになる形状だったので、あれを使いました。
 無反射ガラス(アンチニュートンガラス)板を置いて押さえるのがいいんですが、そんな高いものでもないし、ヨドバシで頼んだら出てくるかな。

 撮影時も、前回はあまり絞り込めなかった(絞るとスマホ画面のピクセルが写り込んでしまう)んですが、今回はF5.6やF8でいけます。
 絞りすぎると小絞りボケで解像力落ちますが、F8くらいまでなら収差が減ってピントも外しにくいメリットのほうが大きいかと。

 で、前回の作業では不要だとした、「ネガの未露光で真っ白な部分を使ってマニュアルホワイトバランスを設定する」という工程は、やっぱりやっておいたほうが作業的に楽でした。
 前回は事前にホワイトバランス設定をした後に撮影してネガポジ反転しても、どうにも変な色であれこれ色補正に悩んでました。
 しかし、光源を良くしたら、反転するだけでだいたいいい感じの色になってくれます。
 光源がちゃんとしてると、カメラでWB設定するのと、現像時にグレー点指定で設定するのと、あんまり結果変わらなかったんですよね。逆に前回それで結果が変わってたのは、光源にムラがあったんだと思います。


 では手元の撮影済みフィルムをいくつか撮ってみたので、作業例を。
 前回は私の経験値がないのと、色が転んでもフィルムの癖なのか光源の癖なのかわからなかったんですが、今回は光源の癖はないものとみなせます。よって色が変ならフィルムの癖でしょう。

実例① Lomo Color Tiger 200

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 ロモのTiger 200(現存唯一のふつーの110フィルムに使われてるやつ)はかなり扱いやすくて、WB設定して反転するだけでかなりいい感じの色になってくれます。

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 夕方には黄色く、日陰では青っぽく写るのもフィルムでは当然、また露出の過不足があっても色が転びます。このカットはマゼンタに転んでますね。フィルムはそういうもの。

実例② Kodak UltraMax 400

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 UltraMaxは、どうもかなり青くなっちゃうフィルムみたい。フィルムベース色が赤すぎるみたいで、PENTAXのカメラのマニュアルWBの設定限度を超えちゃってる。

 色温度で指定しても最低値の2500Kでまだ青いし、現像ソフト側でグレー点指定で調整しても結果は変わらずでした。

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 マニュアルWB調整・さらにWB調整で青を目一杯減らし、さらにカスタムイメージで彩度を最低に落とすとこの程度に落ち着いてきました。身もふたもないけど彩度落とすと色転びは目立たないですね。

 UltraMaxって、数年前には「やけに青く写る」っていわれてたフィルムなんですよね。最近は普通の色になってるとの話ではあるんですが(このへんをblogに書いてる方があります)。
 実は数年前も今も別にフィルムは変わってなくて、DPE機のほうがアップデートされてUltraMax用のプロファイルが入った、とかだったりして。

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 露出不足の色転びもやはり見られて、今度は黄緑色に転ぶ。
 このコマの左の方がシャッターの不良で影になっちゃってるんですが、ここはもう明らかに色が黄色いですね。

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 もともと日陰で撮ってるカットだと、青減らし彩度下げでクールな感じに仕上がります。

 総じて、今回のデジタイズ手法ではかなり扱いづらいフィルムってことになっちゃいますね。

実例③ Lomochrome Metropolis Tokyo

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 ベースフィルムの色がオレンジじゃなくて緑という独特のフィルムなもんで、手動デジタイズでも強烈な癖が出ますね。青と緑が強烈にかぶった。

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 しかし、ホワイトバランス調整で青と緑を減らすと、それっぽい色になってくれます。

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 何が正しい色かわからんフィルムなので、ある種気楽にやれますね。
 お店でやってもらうとメタリックな感じの色になってたんですが、それは今回のやり方のデジタイズでも出せてると思います。

実例④ Kodak ColorPlus 200

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 KodakでもColorPlusは実に楽。上のコマだと裏返しただけで調整なしですけど、十分観れるくらい。
 UltraMaxと並べて見比べると、ColorPlusのほうがベース色が薄い。やっぱりUltraMaxが青いのはこれのせいか。

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 撮影時の光線状態によっては調整したほうがいい感じにはなりますが、それでもPENTAX Digital Camer Utility 5でできる普通の調整の範囲で済む。
 135フィルムで、値段が安くて扱いやすいのはこれかな。

実例⑤ Lomography Color Negative 800

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 晴天昼間でちょっと青めに出るかな、という程度で、これも素直な色になる感じ。上の例は青を減らす方に調整してます。

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 高感度フィルムなのもあってか、わりと薄暗いところで撮ったカットでも激しい色転びもなし。上のカットは色調整なしです。
 ただまあ、この時使ってたカメラがPENTAX Z-50pと他のフィルムの例よりかなり新しく、露出が適切だというのはあるかも。

 感度高すぎるので常用向きではないとは思いますけど、これもデジタイズは扱いやすい。

実例⑥ Fujifilm 業務用ネガフィルム ISO200

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 ちょっと前のフィルムだけれど、一時期わりと安く売ってた業務用フィルムのISO200。
 上は単に裏返しただけで色調整なし。ちょっとマゼンタ寄りかな? この程度はもう調整で落ち着く範囲と思いますが、明るいところはシアン寄りで暗いところはマゼンタ寄りにも見える。

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 これも裏返しただけ、やっぱりちょっとマゼンタ寄りかな。
 とはいえまあ、ドツボるほどややこしい色転びではないでしょう。

おすすめフィルム

 で、とりあえずここまで6種のフィルムを試した限り、UltraMaxだけがどうにも良い結果が得られず、他はOKという感じでした。
 やっぱUltraMaxのベースフィルムが赤すぎますね。PENTAXのカメラだと色温度の下限が2500Kですが、より低い色温度にホワイトバランスが設定できるカメラであればどうにか救えるかもしれません。

 Metropolis Tokyoのようなもともと特殊な色のフィルムでも、結構テイストが残るように現像できてました。安心。

 フジカラー100とかSUPERIA PREMIUM 400みたいな定番品を試してないですが、新年においおい試していきます。
 あ、あけましておめでとうございます。

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