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オリンパスどうなんの

(トップ画像は、昔オリンパスOM-4で撮った阪堺電車の運転席)

 オリンパスが、映像事業を分社化の上、日本産業パートナーズ(JIP)に売却すると。

 ニュースは数々出ましたけど、内容が丁寧なのはマイナビニュースのこの記事かな。

 この発表による株価の急進については、日経が詳しい。
 投資家から見ると大歓迎の判断、と……。

 まあ年々減少を続けるカメラ市場、しかも本来は売上が伸びるはずの3~4月期にコロナ禍があって減少、3月は前年比52%減、4月なんか64%減という地獄みたいな有様になってますし。
 業界の再編は避けられないだろう、と思ってたところで、まずオリンパスから来たと。

オリンパスのカメラ事業を黒字化……?

 現段階の発表では、黒字化が見込めるような体制にして分社化、というからには、事業を放棄するんじゃなくて継続してくれるみたいです。
 引受先の日本産業パートナーズも、知財や技術、ブランドなどを売り払って終わるような会社ではない、と謳ってますし、以前ソニーからVAIO事業を引き受けて再建したりの実績もあります。
 だから、直ちにOM-DやPENが消え去る、というものではないでしょう。少なくとも、現行商品は引き続き売られるはずです。サポートも続くはず。

 まずはオリンパス内部でカメラ事業を黒字化が見込める体制に刷新した上で切り離し、と。
 それは一体、どうやってやるんでしょう。

VAIOのときのやり方は?

 VAIOの時は、過去の栄光にすがって高付加価値モデルにこだわったような商品展開を改め、かつて弱かった企業向け市場の開拓など、やることも色々あったように思います。
 でも、オリンパスのカメラでは、うーん……。

 パソコンだったら「企業向け市場の開拓」というのもありえますけど、カメラでそりゃちょっと難しい。
 報道向けなどの業務用市場もあるといえばありますが、そういうのはサポート体制の完備も必要なので、ニコン・キヤノン以外はなかなか食い込みようがない。

 また、主要なパーツは他所から集めて、デザインして組み立てるのが主になるパソコンと違って、カメラは光学技術もデジタル技術も、独自性を出しつつ高性能は追わなきゃいけない世界ですし。
 中身はPanasonicのOEMでデザイン違いのボディに、SIGMAやTamronに作ってもらったレンズにZUIKO DIGITALと名付けて売る、というOM-Dを仮にやったとして、それ誰が買うの、っていう。

 VAIOのようにはいかないのは明らかで、じゃあどうするって、うーん……。

マイナーチェンジで新機種出すの止めては

 最近、カメラの製品寿命が長くなって、現行製品として売ってるものでも、発売は2016年なんてものもざらにあります。PENTAX K-70とかニコンD5600とかそうです。

 オリンパスって、ちょくちょくマイナーチェンジしては新発売してますよね。例えばE-PL10が2019年、E-PL9は2018年、E-PL8は2016年末。
 で、それほど大きな性能・機能差がない。
 そんなことすると、安くなった旧機種が、出たばかりの新機種の売上を食うんですよ。次のモデルが来年出るのを待って買えば半額になる、とか思っちゃうから、買い控えるし客単価も下がる。

 また現在、ラインナップがフラッグシップのE-M1X、それからE-M1 / M5 / M10と3ランクあって、カジュアルモデルのE-PL10と、5ラインもある。
 細かく分けるくらいだったら、「差異化のために機能を削る」なんてケチなことをせず、盛り込める機能をばっちり盛り込んで、それを割安感のあるプライスでバンと出しちゃう。
 それを、すぐモデルチェンジせずに長く売る。長く売るなら値崩れを想定しなくていいから、割安感あるプライスもつけられるんじゃないかな。

 こういう商品展開の方が、消耗戦にならなくていいと思うんですけどね。
 PENTAXはこういうやり方でしょう。

マイクロフォーサーズでいいのかな

 マイクロフォーサーズのミラーレス一眼は、長らくオリンパスとPanasonicの二社体制で売られていました。
 しかし、現在のカメラ業界のトレンドは、フルサイズイメージセンサーのミラーレス一眼です。ニコン・キヤノンまで参入し、Panasonicも行きました。
 センサー面積が1/4くらいしかないマイクロフォーサーズでは、画質・感度・画素数などでどうしても不利になります。
 果たしてこのままいけるのか?

 だからといって、じゃあオリンパスもフルサイズに参入だー、って、身売りのためにスリム化しろといわれながら、そんな冒険ができるはずがない。
 マイクロフォーサーズはもう乗り換え不能の船です。けど、マイクロフォーサーズが沈む船だったら……?

仮説 1. やっぱm4/3は沈む

 スマホカメラが普及・性能向上するにつれて、画質的に下のクラスのコンパクトデジカメがどんどん食われていきました。
 それでも特に高画質な写真を撮りたいというマニア層しか、単体のカメラを使わない時代。
 そんなマニアは画質のために2kg以上あるようなバカでかいカメラを持ち歩くことを厭わない。最近、カメラのレンズがすごい大型化してますしね……。それでも画質が良いほうがいい、って感じで。

 スマホと巨大カメラの中間、小さめ寄りにあった、1インチセンサーのNikon 1はすでに終わりました。一時は1インチの高画質コンパクトデジカメもある程度注目されましたけど、もう影は薄い。
 じゃあ次に食われるのはマイクロフォーサーズ……

 カメラの心臓部たるイメージセンサーも、マイクロフォーサーズのシェアが下がるほど、センサーが専用品みたいになってコストが不利になっちゃう。ソニーに頼んでも割高、Panasonicももうやる気なさそう、なんてことになったら……。
 シネカメラとかドローン搭載用とかにもマイクロフォーサーズは使われてはいるんですが、スチルカメラとしてはどこまでいけるか。

仮説 2. やっぱりm4/3は沈まない

 いくらスマホの画質が上がったって、ちゃんと握って、必要なレンズを選んで扱えるカメラには、それなりのサイズと形が必要。私もスマホで撮らないのはこれが理由です。
 マイクロフォーサーズの中でさえ、E-PMシリーズのような小型特化のモデルより、カメラらしいサイズがあるやつのほうが支持されてる感があります。

 センサーが小さくて画質が不利とはいえ、異様に強力な手ブレ補正やダストリダクション、望遠の強さなど、オリンパスはセンサーの小ささを武器にもしています。
 フルサイズのでかい重いカメラをずっと持ち歩くのも嫌、ってのも確かでしょうから、サブカメラ需要もあるでしょう。

 カメラらしく扱える、それでいて手軽でかなりの高画質、というバランス感を武器に、マイクロフォーサーズはまだまだ戦えると。

オリンパスを救いたいなら

 まあ、マイクロフォーサーズが戦えるかどうかも何も、儲かるなら戦えるわけですよ。
 新品が売れない、売れても値崩れしてるモデルばっかり、という状況だから、オリンパスが儲かってないのです。
 6月25日現在、いろいろなカメラ売上ランキングを見てみると、OM-D E-M10 Mark IIIがよく売れてるんですよ。ランキング1位とか2位にいる。
 ただこれ、ダブルズームレンズキットで5万円台とかになってて、明らかに値崩れして売れてる感じです。これがあかんのや、と。

 特別定額給付金、そろそろ支給されてる人も多いかと思いますが、「昔使ってたオリンパスがなくなるのか、残念だなあ」とか思うんでしたら、10万円にいくらか足してE-M5 Mark IIIのレンズキットあたり買っちゃうのはどうですか。(そこで安くなったE-M1 Mark IIとか妥協をするんじゃないっ……)
 E-PL10のダブルズームキットも10万円でお釣りがきますね。
(だからそこで安くなったE-M10 Mark IIIとかE-PL9に釣られるんじゃないっ……)

 そして買ったら撮りまくり、インスタに写真を上げてnoteに礼賛記事を書きTwitterで布教しまくるんですよ。それしかない。

 私ですか。
 あー、いや、私はPENTAXのレンズ買って支えないと……。

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