私にとっての「卒論」―学位論文のレシピ

今回の記事は、素人である学部生の私が、論文執筆にあたり

・注意した点
・改善すべきと感じた点
・卒論がもたらす効果・効能

について述べます。論文書いたらお肌つるつるになればいいんだけども。ちなみに歴史学系の論文です。 

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 最近久しく更新しておりませんでしたが、標記のとおり卒論で忙しかったからです。マルチタスクが苦手なので、Aに集中するとそれ以外のBに手が回らないたちでして......

 そんな言い訳はさておき、この記事を読んでくださる方は、「卒論懐かしいな」「卒論しんどい」「卒論不安だなあ」などと思われていることでしょう。そもそも学位論文の執筆中、「ルンルン♪」とすすむことなんてあるのでしょうか。Twitterで見かける院生の方は皆さん本当に大変そうですから。

・注意した点

 随分とざっくりしていますが、要は論文執筆の「ど素人」の学部生が、何に注意を払うべきかについて、素人なりに解釈した「独自の見解」です。諸説ありますし、個人差もあります。あくまで参考にしてくださいね。
論文の執筆の形式や論の構成については、先生方による数多くの書籍がありますから、そちらをオススメしております。

では本題の、私が注意した点へ。

1.剽窃(ひょうせつ)すべからず
 いきなり刑法第199条を持ち出して、「ほら!人は殺してはいけないんだって!」というようなものなので、大変恐縮ではございます。しかし、無自覚な「剽窃」が一番危ないと個人的には思うので。
「剽窃」とは、他人のアイデアをまるで自分が見つけたかのように書いたり、他人の成果物を無断使用したりすることを言います。恥ずかしながら私も中間発表でおこられたのですが、特に他者が発案した用語については、脚注などでしっかりと示しておくことが大切なんですね。

2.メモ、メモ、メモ!
 
卒論の構想がまだ明確でなかった頃、様々なアイデアをインプットするために多くの文献にあたるはずです。「おっ、この論文の「課題」を解決すれば偉大な研究家になれるのではないか。」などと考え、「尊大な」学部生たりえようとたくらむのはいいのですが、しかし読んだ直後に人間は忘れます。
 もちろん、読んだ論文の概要については覚えていますが、それでは「いい」論文は素人には絶対に書けないでしょう。以下の記事では、卒論執筆にあたっての活用できるツールが紹介されていました。とてもいいアイデアですね。(私はズボラなので、いたるところにメモをして散逸させてしまいます。)

 特に、一次史料を読む際にはメモが欠かせません。どこに、何が書いてあったのかというレベルから丁寧に確認する必要があるでしょう。

3.適度に休む
 
論文なんてものは、特に「処女作」にいたっては三日三晩でできる代物ではありません。私も構想から8カ月ほどかけて執筆しました。完成度も論理構成も、まだまだ未熟であることを重々自覚していますし、なおすべきところもあります。優秀な同級生の書いた論文を見て、しばしば凹むここともあります。
 でも、ずっと書き続けていたらきりがありませんね。適度に休むことが大切だと実感しました。特に土日は1日半は無理やり休みました。それで、月曜日の午前中からフルノッチ(※「アクセル全開」の意。鉄道用語。)でそれまでためたメモを基に、論を組み立てていきました。「史実の説明」「表の作成」あたりは、疲れていてもある程度進むので、「頭が回転していないとできないこと」の優先順位をもうけて、作業することを心がけました。

4.校正は何度でも、擦り切れるほど行う
 
自分の書いた文章を客観的にみることなんて、私にはできまいと考えています。しかし、穴だらけの文章を指導教員にもっていくのも気が引けます。それに最終的には自己責任です。ではどうすればいいのか。
 最適解としては、「何度も目を通す」ことだと思います。「主部述部の関係」にはじまり、「剽窃に見える」「漢字の間違い」など多種多様な誤りと出会えます。「普段自分の書く文章ってひどいなあ......」と落ち込んでもいいので、何度も校正してみました。

・改善すべきと感じた点

つづいては、執筆後の反省。

1.「Word、使いにくい!」
 「自分への反省を先にせんのかい!」と言われそうですが、お許しを。Wordって、数万字(今回は約3万字書きました)の執筆にあんまり向いてないと思いました。それに、図表やら挿入しにくいし......。自分に合ったソフトを探すべきでしょうか。

2.時間の使い方
 
卒論に着手した当初は、「早く構成を考えなきゃ」というあせる気持ちで、史料や学術論文の読み込みが全然足りていませんでした。概説書・専門書・論文の文献リストをじっくりと読み込み、自分の関心のあるテーマを決めて、それからより専門的なテーマに絞り込むべきでした。最初から、「キーワード検索」的にCiNiiで検索をかけて、よくわからない専門用語にぶちあたって、「わかったつもり」で執筆を開始してしまったのです。その時点で書いたものは、ほとんどボツになりました。焦りは禁物。

3.自分の文献リストを作ろう
 
読んだものや参考にした史料は、丁寧に記録しておくことが大切ですね。

4.専門家を使うべし
 文献で調べ上げられないことは、専門家が一番よくご存知のはず。「学生」という身分をフル活用して、もっと専門家にアポをとれば、いろんな話が聞けたかも、と反省しています。

まだまだ反省したいことはありますが、結局私の考える「卒論の効果」って何であるか?について簡潔にお示しして、締めといたします。

卒論の効果は?

 私が得たものとしては、やはり「計画性」「正確に史料を読み取る力」「継続力」「論理的な文章とは何か、について考えるきっかけ」などだと思います。卒論を書いたからといって、すぐさま論理的な一貫性のある文章を執筆できるスキルを習得できるわけではないでしょう。しかし、特に「論理的な文章とは何か、について考えるきっかけ」というのは、これまで「読む」をメインとされてきた教育のなかでは少なかったものだと思います。

「卒論」に真剣に向き合うことは、いずれにせよ、素敵なことではないでしょうか。

卒論提出時期でもあります。最後まで粘って、「とりあえず提出する」ということも、大切なことだと思います。私の指導教員によく言われたことをここに記しておきます。

P.S. 提出間近の大学の印刷機は壊れやすいらしいです。お気をつけて。

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