01京橋イベント用

未来考古学とは

(mis)reading the present: an archaeology of the future

これはフリーペーパー縄文zineの企画だ。
現在から5万年後の考古学者として、5万年前の地層(つまりは現在)から発掘された遺物を観察し、そのものの使い方や目的、それが作られた時代背景を含めて考察してみるという、すこしひねりの入った実験考古学だ。

下敷きにしたのはドゥーガル・ディクソンという作家の『アフターマン』や『マン・アフターマン』と、数年前に行われた京都のアート展での「ペットボトルの実測図の掛け軸」だけど、ざっくり言って、SFのショートショートの考古学バージョンのような企画なのである。

何度か誌面で企画を走らせてみて、読者からの評判も得、展開としてもう少し広げることにした。企画のワークショップ化です。
先日のイベントで第一回を試しに開催してみたところ、参加した方からもすごく良い反応をもらえたので、第ニ回、三回と続けてみたいと思う。

ではどんなワークショップなのかここでやり方を公開したいと思う。
少しディティールは調整するかもしれないけど、だいたいこんな感じだ。

まず、設定として誌面と同じように参加者は、今から5万年後の未来の考古学者となってもらい、5、6人のグループに分かれてもらいます。
その上で各グループには、考察するモノを一つお渡しします。それは5万年後の未来人にとっては5万年前の遺物。今となってはそのモノの使い方も、名前も、その目的もわからない奇妙なモノ。
たとえばこんなモノ。
・眼鏡
・文庫本
・フリスク
・ゲームコントローラー
・ニューエラのキャップ
・時計
・スマートフォン
・お金
・拳銃
……などなど。
現代人の目線では当たり前のこれらのものを未来人の考古学者の目線で考察していただきます。

まず、大切なのは観察だ。そのモノをあらゆる角度からまじまじと観察してもらう。大きさ、形、色、材質。用意した用紙に実測図という(なるべく)正確なスケッチを描いてもらい、さらにその形状にたいして注釈を加え、また、そのモノの使い方や目的などの考察も記述してもらう。書き方はなんでもいい。箇条書きでも文章にしてもいい。最終的に報告書という形に整えてもらう。
用意した用紙の見本もここに用意しておく。

ただし、ひとつだけ重要なルールを守ってもらいたい。
それは「正解を出してはいけない」。
参加者には必ず間違えた結論を出してもらいたい。眼鏡を観察して考察した結果が「視力矯正のための人用アクセサリー」だったらなにも面白くない(言い回しでちょっと面白くなってしまったが)。ぜひ5万年という時間の不可逆性を楽しんで欲しい。

前提となる5万年後の地球や日本の状況は、これも各自で、各グループで決めてもらってかまわない。5万年後の人類は平均身長が2メートルでもいいし、5万年後には文字なんてなくなっているでもいい。それ以上の変化があってもいいし、今と大して変わっていなくてもいい。

正解を出してはいけないというルールの上での考察にどんな意味があるのかといえば、あらためてそのモノの形状や材質、機能の理由を問い直すきっかけになり、思考の流れが正解に向かわない分、よりたくさんの流れを作ることになるはずだ。そして単純に新説珍説は面白いし、その上で説得力を持つ説が作れたらわけがわからなくて最高だ。


これはなかなか面白い企画だと自画自賛している。ぜひみなさん参加してみてください。

直近ではこちら、今週金曜日8/9の縄文ナイトでやってみようと思う。
新しいフリペが出たら恒例の縄文ナイトですが、予約なしワンドリンク制で自由に入れるし、このワークショップは8時からだけど、それ以降もダラダラと来場者の方々と話題は縄文で話をしたりして過ごしていますので、ぜひ顔を出してみてください。専門家の方もいらっしゃったりしますが、だいたい「ちょっと縄文気になる」くらいの人が多いので、ほんとお気軽に来て飲んでってください。

https://shigoto100.com/event/20190809?platform=hootsuite

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