キメラガールズ
昔の彼女たちと デートをする夢を見た。
一見、彼女たちに未練がある なんてことの無い男性の話に見えるかもしれない。しかし、様子がおかしかったことは、「元カノたちであるのに1人であったこと」だ。
夢に出てきた女性は、誰でもあり、誰でもなかった。顔はのっぺらぼうのように凹凸が無かったが、風貌や話し方は彼女ら全員の特徴を兼ね備えており、彼女たちの誰にでも見えるが 細部を見ると誰でもないのだ。それも、こんな夢を数回も見てしまった。私がひどく寝汗をかいていたことは想像に難くないだろう。
☆ ☆ ☆
何故こんな夢を見たのか。それは私の恋愛遍歴に大きく関わっている。
私が付き合ってきた彼女たちは、系統が大きく似ている。色白で少しふくよか、マシンガントークで基本的に明るいが ふと暗い表情を見せることがある。簡単に言ってしまえば、私のタイプが分かりやすいのだ。そして、私はそういった系統の女性に好感を持たれやすいが、付き合うとすぐに別れてしまう。
こうした共通の要素を持つ彼女らを「キメラガールズ」と呼ぶことにしよう。その由来はもちろん、私の夢の中でその誰でもない合体獣「キメラ」になって現れたからだ。他意はない。
私の夢の中でのキメラは、高度に抽象化されていた。キメラガールズが着そうな服を着て、キメラガールズが言いそうなことを言い、キメラガールズが笑いそうな顔で笑っているように感じられた。大切な想い出が捨象されてキメラガールズは各々の個性を失い、私の前に一つの大きな塊となって現れたのだ。それはまるで、3種類の塗り絵が同じ色で塗りつぶされてしまうかのように。
キメラの夢は私に「キメラガールズを恋愛対象にすること」を警告しているのではないか。キメラガールズと付き合えば、すぐに別れてしまい、やがてキメラの構成要素の一つとなる。それを危惧して、私の深層心理が忠告をしているのではないだろうか、とふと思うのである。
私はキメラガールズとの因縁を終わらせられるのか。はたまた、キメラガールズと付き合い続けて良いコミュニケーションの方法を獲得できるのか。それは誰にも、私にも分からない。
サポートしてくださったら、私が飛び回って喜びます。