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look at the sea

海辺の街で働いている。
海辺の街で暮らしている。
海に囲まれる毎日を送り始めたのは3年前からである。すっかりと日常の一部に溶け込んだ。

それまでの海に対する印象は、明るく元気でキラキラとした中に、どこか怖さを孕んでいた。はしゃぎすぎると痛い目見るぞと言っているような顔をしていた。特別な日に、特別なタイミングで会う場所だった。

いまや、すっかりと日常の一部に溶け込んでいる。窓を開けると波の音が聞こえてくる。ゆらゆらと揺れる水面を見つめながら出勤して、海に沈む夕日を見ながら帰路につく。
どこか淋しさを孕んだ夜の海と星に、怖さよりも温かさを感じるようになった。

年に1度と決めているわけではないのだが、なんだかんだ年に1度、海で遊んでいる。学生のときですらほとんど海に入らなかったのに、大人になってこんなに海で遊ぶとは思っていなかった。
ぱしゃぱしゃして、浮き輪で浮かんで、砂浜で遊んで、お腹がすいたらバーベキューしながら少しだけお酒を飲んで、スイカを割って食べて、最後は花火。
1日でこんなに「夏」を満喫していいのかと思えるくらいの充足感をもたらしてくれるのが、海だ。

朝の海も、昼の海も、夜の海も、
晴れの日の海も、曇りの日の海も、雨の日の海も、
春の海も、夏の海も、秋の海も、冬の海も、
そこにあるものは変わらないのに、刻一刻と表情を変え、時に寄り添い、時に突き放してくれる存在。
これまでの人生ではあまり関わりがなかった分、いつまでも他人行儀で、言い換えると会うたびに新鮮な特別感ももたらしてくれる。

まるで、夢の中にいるような日々。
醒めないでいてね。

BGMは
おいしくるメロンパンで「look at the sea」

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