ひとり美術館
往復の切符と泊まる宿だけ決めて、あとはのんびり気ままに好きなことができるので、ひとり旅が好きです。
学生時代は、就職活動の説明会や面接で遠方を訪れるときに、周りにある神社を調べて足を運ぶ程度のひとり旅が主でした。もしくは日帰りで電車とバスを乗り継いで温泉に行くなど。
社会人になり、好きなように行動ができるようになって軸となってきたのが「美術館」。あの美術館でこんな企画展があるらしいよ、という情報を聞きつけ、他に周りにはどんな美術館があるかな、神社があるかな、と調べ、休みの日にびゅーんと。
私が美術館巡りで魅力を感じるのは、その企画そのものももちろんですが、「その美術館で見るその作品」というところに惹かれがちです。昨年度訪れたとある企画展は、東京会場と兵庫会場のどちらも足を運びましたが、そのどちらにもそれぞれの良さがあり、これが醍醐味だなと思いました。
また、東京に行ったときは、行く先行く先に神社がたくさんあって、神社のある生活っていいなと思いました。公園もたくさんあった。そういえば、就活で東京に行ったときに綺麗に咲く桜を見て、東京にも桜は咲くんだと思った記憶があります(都会!!のイメージしかなかったので)。街を歩くだけで、そういう自分のこれまでの価値観やイメージががらがらと崩されていくのが楽しいです。
街中にオブジェがあり、いつの間にかそのアーティストの名前を知っていたり、初めて会うのに初めてじゃない気がしたり、自分の内面の変化を知る機会にもなります。
今月は、念願かなってずっと行きたかったとある美術館に行くことができました。うさぎの椅子の写真をよく見る、あの美術館です。
雨の日だったのですが、その雨すら愛おしく思えるほどで、現代アートの持つ力を感じました。好きです。裸眼ではうまくピントが合わずぼんやりと生きている日常に、ぱきっと視界が晴れるようなレンズを入れられた気分になります。だからわたしは美術館という場所に会いに行ってしまう。