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彼に貸したお金が「高い勉強代」になるまでの話⑭「窮屈な人間の変化」


お金を稼げば、心が安定し、人に対してむやみやたらに負の感情を抱かなくなる。
『自分を忙しくして、この状況から脱したい。』
人に対して、心に余裕を作りたかった。

彼と出会う何年か前に、1か月だけ夜の仕事(ガールズバー寄りのスナック)を経験したことがある。
私は人見知りだが、様々な人と接するのは好きだ。
人の経験談や考え方を聞くのは視野を広げることができるので、とても面白い。
他者の存在は自分の成長には不可欠である。

私は、再度、スナックで働こうと思っていた。
では、場所はどうするか。
以前働いていた場所は、自宅から離れており、仕事帰りにそのまま直行となってもより遠い場所にあるため、時間がかかる。

当時の勤務地からも、自宅からも近い銀座、上野、自宅付近の順で場所を絞った。

当時の私は、彼から放たれた言葉にとにかく固執していた。
「エッチしたか聞いたくらいで、勝手に勘違いして、だから経験不足なんだよ。」
「自分が美人で中身もエッチも良い女と思っているならいいんじゃないかな。」

私はどちらかというと、地味な方だ。
ファッションに興味がないわけではない。化粧も好きだ。
ただ、SNSでよく見る、アイドルのような女の子と比べると、私は断然田舎っぽいと思っている。
新しい化粧品や、洋服を買ったりと、自分への投資をしていた時期はあったが、彼と出会ってからは全くと言っていいほど、自己投資をしていなかった。
そのため、鏡を見て、少し幻滅する。
(もっと、顔が良ければ…。自己投資ができていた時期に戻りたい。)

第一希望として挙げた「銀座」は、ハードルが高すぎる。
身の丈に合っていない。そんなことは痛いほど、わかっていた。
実際、友人にも、「”銀座で水商売”っていうステータスがほしいならやれば?」と厳しい言葉を投げかけられた。

確かに、何か自分に自信が持てるものがとにかく欲しかったのはあったかもしれない。
保育士時代、「銀座」で働いていた時期があった。
そこで、出会った保護者の方々から、私は新しい世界をたくさん見せていただいた。
今でも、尊敬し続けている方がいる。

私の中で、銀座=高飛車なイメージではない。
人とのつながり=ご縁を大切にする思いを持って、人の生き方そのものを尊重し合っている。
知識・経験値ともに豊富でありながらも、遊び心のある自由な発想。
苦労を乗り越えてきたからこそ、人の心の痛みにも寄り添える。

そんな方々に出会った場所が「銀座」という街だった。

(“女性”として、成長したい。)

変化を求めた。

私は求人サイトから、ビビッときたものに何件か応募した。
自分の中で2週間以内に決めるのだと、気合を入れる。

スマホアプリのスケジュールが面接の日程で埋められていく。
彼を考える時間も忘れ、もの凄く「今」に集中できていた。

そして、いよいよ1軒目の面接日。
本職は在宅勤務だった。面接時間は18時半だ。
私は履歴書を書きあげ、本職に集中する。
緊張はしておらず、ワクワク感の方が大きかった。

そして、13時半頃。
LINEの通知音が鳴る。

彼から連絡が来ていた。

「東京戻ったよ」

またしても、唐突で驚いたが、動揺せず返信する。

「おぉ、おかえり。お足元の悪い中だったろうに」

「今日、会える?」

何故、このタイミングなのだ。
福岡帰りの高速バスでのタイミングを思い出す。(⑦参照)

私は自分の予定を優先させる。
「面接が終わってからの時間であれば会える」と伝えた。

「あえたらあお?」

「いいけど、その付近(面接地)で大丈夫?」

面接地付近は、彼と初めて会った場所でもあったので、あまり気にせず提案した。
すると、

「会いたい?。。」

また始まった。会話が成立しない。
なんとしても「会いたい」と言わせる気なのは見え見えだ。
だが、感情的にならぬよう、自分のペースを守る。

「え うん でも、場所の都合悪いならいいよ」

良く言った!と、自分を褒めたい。

「みこのおうちのほうは?」

絶句である。

「? 何か用事があって会うんじゃないの?」

「いままで迷惑かけてごめんねって言いたかったから」
「ごめんね」

「当たり前のことしてくれたら私は別にそれでいい」
「私の家はだめよ」

「わかった」

で、結局、面接地付近で会うのかと聞くと、
「ううん、時間取るの申し訳ないし大丈夫だよ。。
今月も振り込むね」ときた。

ツッコミどころ満載である。
結果的にまたLINEバトルが始まるのだが、
「なんか可哀想。」という理由で連絡をいれたそうだ。
全く余計なお世話である。

私がしてきたお金の返済についての電話含め、
ストーカーちっく、メンヘラなどと捉えられており、
「誰かにそれだけ本気で相手にしてもらえてないんでしょ」という。

私はもう言いたいことは彼にはっきり伝えられるようになっていた。

「メンヘラだったら、不特定多数が見ている中で、
病んでるメッセージを表示したりしない。」

彼はよく、LINEの一言メッセージで気持ちを表明する人だった。

その後のやりとりで発覚したのだが、
着拒はいきなり電話がきたら困るからしたと。
彼は私がLINEブロック、削除までしたと思っていなかったそうだ。
「メルアドだって知ってるのに」という彼に対し、
とっくにメールは送っているが、振り込みされていないため、
バックアップから復活させたと、事実を伝えておいた。

「なんだかんだでお金以外の関わり繋いでいるのに必死じゃん」

この発言にははっきり、物申した。
今思うと、私は彼に対し、真面目すぎたのだ。

「誤解してたらすまんな 冷静に考えて異性として好きじゃない」
「お金の貸し借りをしている以上、信頼関係は結びたい」
「恋愛感情とはまた違う」
「私は自分なりに気持ちの整理つけてるよ」

最後の気持ちの整理は嘘である。
心は後からついてくる、という思いで放った言葉だった。

「ならいいね」

この一言で、また私の怒りスイッチが入る。
「駄々こねるとしたら、
あなた、借金してる身でアプリやって女にお金使う人なので、
そういう使い方を今でもされているのなら、
返していただいて悪縁断ち切りましょって思いです。」

もう放っておけばいいものの。
何故か、彼の言葉に対して、言わないと気が済まない事が多い。
「誤解」されている、認識を誤っていることを正そうとすることに意地になっていたのだと思う。
誰しも、清く正しく美しいわけではない。
今でこそ、彼との経験を通して、そう思えるが、
当時の私はとてもとても窮屈な人間だったと思う。

きっと周りから見てもだ。
「正しさ」を求めすぎて、返って相手を苦しめてしまうことが多かった。
自分で自分を苦しめていた。

そして、一軒目の面接は落ちた。
当時の気持ちとしては、とても彼に八つ当たりをしたくなったのを覚えている。(笑)

気持ちを切り替えて、次だ。

⑮に続きます。


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