見出し画像

ツラいことは飲んで忘れられるのか?ITエンジニア向け記憶喪失入門

この記事は、「Gaudiy Advent Calendar 2022」の12日目の記事です!担当は @ara1yu です。

記憶とエンジニアリング

この記事では、複雑な社会で心に傷を負った人が回復するための手段

「ツラいことは酒でも飲んで忘れよう」

について探求します。

前提として、記憶の構造webサービスの構造と似ている側面があるため、ITエンジニアの方々に理解していただきやすいように、webサービスのアーキテクチャを引用して話していきたいと思います。

改めまして、こんにちは。web3スタートアップのGaudiyで、バックエンドエンジニア兼エンジニア採用担当をしてます、新井です。数年前に心理学部を卒業してます。記憶に関する研究は心理学でも扱われるトピックのひとつです。

今月、Gaudiyで招待制のエンジニアLT飲み会をすることになり、そういえば年末だし飲み過ぎ注意だよなと思い、「記憶とエンジニアリング」をテーマに書いてみることにしました。どなたかの参考になれば幸いです。

そもそも記憶とは?

ひとくちに「記憶」と言っても、風景を覚えたり、友人と遊んだことを思い出したり、幼少期の思い出を忘れたりといろいろあります。

今回は「酒で忘れる」がテーマなので、この文章における記憶とは、昨日起きたことを覚えたり、忘れたりくらいの範囲で捉えていただければと思います!

感覚的にはみなさんが知っているであろう記憶のメカニズム、「二重貯蔵モデル」というものを紹介させてください。

この二重貯蔵は「短期記憶」と「長期記憶」のことを指します。これは聞いたことがあると思います。その場で起きた、感じたことを短い記憶領域に持っておく(短期記憶)、それを長期の記憶領域に貯蔵すること(長期記憶)で後でも思い出すことができるようになります。

この話はwebアプリに置き換えることができます。

まず、アプリのプロセス上でメモリに載っている一時的な情報、これは「短期記憶」です。そして、DBへ書き込まれた情報が「長期記憶」になります。

また、短期記憶から長期記憶を保存したり、長期記憶から思い出す行為は、それぞれ「貯蔵」「検索」などと呼ばれますが、こちらもwebアプリで実行されるSQLのクエリと捉えることができます。

貯蔵は「DBに値を保存すること」なので、SQLのINSERT文が似たような役割です。そして検索は「DBから値を取り出すこと」なので、SQLのSELECT文が似たような役割です。

つまり、DB(長期記憶)に書き込まなければ、メモリ上の情報(短期記憶)はプロセスの終了とともに消えてしまいます。これらのイメージが共有できてたら嬉しいです。

知覚(見た)を長期記憶に保存するプロセスとアプリ
思い出す(検索)とアプリ ※記憶が引き出されるイメージで←矢印に

この関係性をベースに、次からお話していきます。

記憶を取り戻す少女

みなさんは「過去の記憶を失った少女が記憶を取り戻す」という物語を見たことがありませんか?そして不思議に思いませんか?果たして、本当にこんなことは起こるのかと。

このケースの記憶障害(思い出せない)の場合、記憶を思い出せない原因はさきほどの話の「検索」に問題があります。webサービスに置き換えると、こういう状態です。

  • DBにはデータがある

  • SQLにバグが発生。そのため検索が失敗し、DBから値が引き出せない

軽度のものだと「ど忘れ」という現象で広く認知はされています。

つまり貯蔵した記憶は保存されているので、検索のクエリのバグが解消されれば記憶を思い出すことができます。一時的な記憶障害(思い出せない)が思い出せるようになる場合はこのようなケースです。

それでは、今日のテーマでもある「飲みすぎた場合の記憶」に関してみていきましょう。

飲んで忘れることはできるのか?

アルコールは記憶に対してどのように作用するのでしょうか?

結論から言うと、記憶をなくす程の飲酒は、記憶の「貯蔵」を阻害すると言われています。

つまりwebサービスに置き換えると、

  • クエリのINSERT文が失敗

  • DBに情報が保存されていない

つまり飲みすぎてしまった日は、クエリのINSERT文が失敗し、DB(長期記憶)にデータが入っていないまま、朝になって家のベッドで目覚めるわけです。

おそらく飲みすぎてしまった日のことを頑張って思い出そうとしても1行も思い出せないと思いますが、これは当然です。DBにデータがないので、いくらクエリを工夫しても無いデータ(記憶)を見つけることは絶対にできません。そもそもど忘れなどとは構造が違います。

では、今回のテーマである「ツラいことは飲んで忘れられるのか」という問題について見ていきます。

ツラいことは、すでに起きた出来事。つまりDBに保存済みの記憶
忘れられるかとは、DELETE文を発行できるかということです。

さきほども話したように、過度な飲酒によって起こるのは、INSERT分の失敗なので、DELETE文は発行できていません。つまり肝心の「消したかった記憶」は消すことができないのです。

このことから「ツラいことは飲んで忘れられるのか」の回答はNoであることがわかりました。

「まぁ経験からわかってるよ、それでも飲むんだよ」という声を記事ごしに受け取りました。ちなみに酒の席でこの話をしてスベってから、酒を飲んでもそれも忘れられないのでご注意ください。

どうでしたか?

年末の飲みすぎには気を付けてください。年末に毎度飲み過ぎな自分に対する自戒の文章です。記憶云々の前に身体にやさしく

そうだ、記憶といえばGaudiyでは今までの記憶を塗り替えるほど楽しい経験ができるフェイズを迎えています。このチャンスを一緒に駆け抜けてくれるエンジニアを募集してます。

ぜひカジュアル面談で気軽にお話しましょう!

明日はデザイナーのJackさん(@yonejiroo)が担当してくれます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?