瘢痕【はんこん】

病理学で「退行性病変」について学んでるんですが、
先日ブログにもあげさせてもらった
ー萎縮【いしゅく】に続いて今日は
ー変性【へんせい】を教えてもらって、
ー壊死【えし】は次回。
3話シリーズ。

退いて行く性の病の変には、
細胞が変性する。ってのがあって
変性の仕方は
7通りに分けられます。
ってことでした。

その7通りの中の、
硝子変性【しようしへんせい】
ってのが印象的でした。

瘢痕に代表される組織の変化ってことなんです。
傷跡【きずあと】ですよね。
残っちゃうやつ。
ワタシの腰にも19歳ん時にバックリ切ってもらった、
椎間板ヘルニアの手術の瘢痕がバッチリ残ってて、
アイツが硝子変性。

残らない傷跡ってのは
細胞が「再生」してくれてて、
なんなら魔法みたいな話ですけど、
死んじゃった細胞が生き返るというわけではないんですけど、
生き残った細胞が分化して、
何事もなかったような顔で前とおんなじ仕事をしてる。
ある意味じゃターミネーターみたいな感じで
気持ち悪いんですけど、
組織には痕が残らない。
なんて、再生をしちゃうのがスゲーとこなわけですが、

退行性病変の中の
硝子変性の方は、
硝子【ガラス】になっちゃう。
ってことなんです。
だから、色が違う。
なんてことないような顔しようと思ってても、
明らかに色が違うんでバレる。
鍼の施術を受けようと裸でうつ伏せに寝れば、
「ワタナベさん、この腰の手術はいつしたの?」
ってバレる。
正確にはガラスではなくガラスのような
繊維化組織ってのになっちゃうんです。

細胞ってある意味では一個の生命体みたいなもんですから、
人体の中がウジャウジャいろんなの入ってるみたいに
細胞の中もウジャウジャいろんなの入ってるんですよね。
ミトコンドリアさんとか有名ですけど、
それ以外の無名のものもワイワイ入ってる。

それが
ガラスのように変性してしまう。
無構造で均質化されたガラスのように。

瘢痕とやらが
人生における「思い出」みたいなもんだとしたら、
消そうにも消せないバレちゃう思い出と、
自分でも忘れてるようなバレない思い出。
ワタシの腰にはバレちゃう瘢痕。
ココロにもバレちゃうのとバレない瘢痕。

どうせバレちゃうやつは、
バラした方が良いよ。
隠してもムダなんだもん。
色が違うんだから。
で、その色ってのはガラスみたいなもんなんだって。
もうウジャウジャとかしてなくて、
透き通ってて、
見ようによっちゃ
美しいよね。

って教えてくれてるような。

教えちゃいないような。

いろんな瘢痕ありますからね。
一概には言えませんけど。


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