映画 [ JFK ] 感想

 映画は好きで時間があれば観たりするのですが、ここ最近観返した中でかなり印象に残ってる映画の感想文です。

 あらかじめ断っておきますが、僕は政治にはほとんど興味無いです。
 特定の思想も無いですし、右翼だとも左翼だとも思っていません。
 これはただ単純な感想文です。
 
 映画の題材はタイトルにもなっているケネディ大統領の、暗殺事件に対する陰謀疑惑についてです。
 映画やゲームのイメージで、陰謀とか言われるとなかなか不真面目な想像ばかりしてしまいますが、これはしっかり(?)真面目な陰謀です。
 内容については割愛しますが、映画の原作者で主人公でもある人物は実際にアメリカの検事だったり、しっかり取材した上で制作された映画なので、かなりリアリティがあります。
 映画ですからフィクションが盛り込まれていたり、事実と違う部分(当時から判断が別れる部分や後から解った事実)もあるので頭から信用するのはリスクがあると思いますが、実際的な時系列はある程度理解できるようになります。
 僕が観たのはディレクターズ・カット版なので長さは約206分、3時間20分くらいです。
 かなりざっくり分けると、その内で5分の3くらいは調査と整理のパート、残りは実際に裁判に臨むパートです。
 調査パートは人によって感想が別れるかもしれません。
 必要か解らない情報や入り組んだ人物関係も絡んでくるのと、進行ペースが結構早いので整理が追いつかないかもしれないですね。
 初見では僕も把握できなかったので、キャストから主要な重要人物を逆算して重点把握して観てました。
 それでも映像的にはかなり作り込まれてたり、時系列や登場人物の圧縮はかなり上手いので、楽しんで観られるのは確かです。
 しかしながら、この映画の最も重要な部分はあくまでラストの裁判のシークエンスです。
 
 裁判の相手は主人公の地元の大物事業家で、直前に捜査資料が仮想敵側に漏れたりしており、裁判開始前から負けるのは既定路線だと言われていました。
 まぁ結論から言えば負けたのですけれど。
 裁判の詳しい内容はクレイ・ショー裁判でWikipedia を見てみてください。
 内容そのものも知識欲を刺激されますが、ここ(この文章)では重要ではないので。
 
 裁判内で主張される事柄を抜き出してみるとこんな感じ。
・民主主義国家に於いても、国民不在で国民に対し重要な物事が決定される
・そのプロセスも証拠になる文書も「国家機密」の名目で明かにさない
・「国家機密」の作成は国民の税金が使われ、本来ならば国民の所有物である
・行われた事件は政府によるクーデターであり、政府に都合のよい人間を権力者に据えるためにあった
 
 最後の1項目以外には、あまりにも今の日本の状況と変わりないなぁ、と思ってしまったのがなんとも。
 ちなみにケネディ暗殺事件が1963年、この裁判が1967年、映画が作られたのが1991年。
 今は2020年です、念の為。
 
 印象的な台詞が多いこの映画ですが、特に印象が残った台詞を2つ書き出したいと思います。

「これらの機密は国民のものです、税金が使われた」
 なんだか貧乏性みたいなセコい話にはなりますが、実は結構本質だと思います。
 税金で運用される全ての事業に対して言えるのは、文書1枚作るにも税金が使われるという事。
 何をするにもお金が掛かるし、そのお金は国民の税金であり、その成果物は国民の物であるという事です。
 勝手に処分したり無くしたりと言うのは、国民の財産を浪費しているのと同じです。
 
「ある作家の言葉です。愛国者は国を守るのです、己の政府から」
 これは引用なので主人公の言葉そのものでは無いですが、最も印象に残る言葉です。
 ちなみにこう続きます。
「正義は自然に生まれると思っていましたが、違います。
 正義は作るものです、大変な思いをしながら」
 
 僕が初めてこの映画を観たのは中学生の頃だったと思います。
 当時は正直よく解らないけど観れるし観とけくらいの感覚で観てたと思います。
 社会の敵なんかの概念とか、政治とか経済とか、そもそも選挙とかよく解らなかったし。
 それでも3、4回ほど観た記憶があるので、当時的にも何か考えたのだと思います。
 なので出来れば、同じように中学生、高校生くらいの年代に見てもらいたいですね。
 高校生くらいだと理解力や思考力もあって良いと思います。
 1度観て、それから10年後にまた観返してほしいですね。
 世の中どう変わるのか、あるいは変わらないのか。
 少なくともこの映画を観る前か後かで、社会の見方は変わると思います。
 
 ちなみにこの映画、映像が良いのはもちろんですが、同じくらい音楽が良いです。
 印象的なドラムの使い方や、電子音を使った雰囲気作り、何より主題の旋律が綺麗です。
 同じ旋律でもピアノのソロと、管弦楽編曲で肉付けされたトランペットで全く違う印象になります。
 さすが名匠ジョン・ウィリアムズですね。
 
 念の為再度書いて置きますが、僕は政治的に特に思想はありません。
 この文章を読んでどう思ったかは読まれた方次第だと思いますが、個人的にはそこまでは興味の範疇外です。
 唯一気になる事があるとすれば、この文章で映画に興味を持ってもらえたかどうかです。
 尺が長い映画である事は確かですが、もし興味を持って頂けたならぜひ観て頂きたいですね。
 
作品データ
 [ JFK ]
 1991年 アメリカ
 監督;オリバー・ストーン

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