ジュニア指導者「見えないものが見えるようになる」指導技術とは
ちょっとまえにNHKで「亀田音楽専門学校」という番組をやっていました。
僕はこの番組が大好きだったんですが、この番組は普通の音楽番組よりちょっと専門的な番組でした。
「亀田音楽専門学校」は、人気アーティストをゲスト講師として迎え、J-POPのヒット曲を題材に人々の心を動かす名曲の秘密をひも解いていく番組。 ー出典NHK「亀田音楽専門学校」シーズン3放送決定、初回はいきものがかりと学ぶ - 音楽ナタリー
僕は別に楽譜が読めるような音楽の知識は何にもないんですが、音楽を分解して素人にも非常に分かりやすく説明してくれていたんです。その視点だったり、説明のうまさに引き込まれていました。
その時いつも思っていたのは、
「さすが、音楽の専門家だな。でも、オレも同じようにサッカーを知らない人にサッカーを分かりやすく説明ができるか?」と。
医者は「熱が38.5℃ある」ということにいくつもの分析をすることができます。
相撲をテレビで見ていると、元力士の親方や解説者はじっとしているように見える取り組み一つ一つに駆け引きがあることを説明してくれます。
|素人には見えないものが見える
素人には同じように見えることにも、詳しく細かく分析を加えることができる。
これがプロの腕であると言えます。
指導者や教師など指導をする立場のチカラとして一番出る能力の差をいうのはこの「指導内容の細分化」をする能力だと思うんです。
これはセンスなのか、技術なのか。
どちらともいえる気もしますが、僕は技術である程度まではいくと思ってます。
面倒な作業なのですっ飛ばした指導をしている人を良く見かけますが、それだけに他の人と差をあっという間に付けることもできる。そして続けていくうちに量が質となり自然とチカラとなっているのです。
|指導内容の細分化の仕方
例えば、「パスとコントロールのトレーニング」をするときに、それをいくつに細分化して考えられるかということで指導に差が出てくのです。
「パスが出来たら、もっと強く蹴るようにする」
この程度の事しかしていない指導者が多い。
つまり、今のスピードのパスのスピードからもっと強くボールを蹴って、もっと早いスピードのパスをさせようということです。
5年生に、強くボールを蹴らせてパスをさせてそれを指導だと思っている指導者がいるのです。
プロの指導者なら、一人ひとりがパス一つにいくつもの狙いを持たせてできるようにしていきたい。
そのためには、パスをする、ボールを止めるという運動をいくつもに、時系列に分解してみることが出来なければなりません。
ざっくりいうと、「ボールを受ける準備」「ボールを止める」「ボールを蹴る」この三つに分けられます。さらに、「ボールを受ける準備」にしても、「受ける前のステップ」「受ける前の動き」「受ける前の要求」・・・というように分解できる。さらにその時の「予測」「タイミング」「姿勢」などと分解して大切な要素を考えることができるのです。
このように細かく分解してみることが大切になってきます。
しかもこれだけではなく、この分解したそれぞれのコマで「どうすればいいのか」という解釈を与えることが出来なければなりません。
例えば、「ステップは、もしパスミスが起きて横にずれてしまったとしても、反応が間に合うようなステップを踏んでなければいけません」というようなことです。
さてこれをこのまま子どもに言っても上手くいかないかもしれません。
子どもの解釈は大人よりも低いです。
また、言って伝えるだけよりも映像として見せたり音楽として伝えたほうが理解しやすい。
例えば、「ボールをコントロールしてパスは、1,2のリズムでやろう」とデモンストレーションを見せてあげる。
ただ「止めたら蹴る」と言っても分かりづらいのです。
このように指導したい内容を分解していくことが大切です。
「分解して、解釈をして、イメージ化しよう」ということです。
|さらに高度な指導とは
さらにこれがより高度な個人戦術の指導ならば、
「分解して、解釈をして、発問を考えよう」となります。
解釈がそのまま質問になってしまうパターンがあります。
例えば、ボールが後ろにあり、ゴールが前にある。
「体の向きはどんな向きがいいと思うか」という質問です。
サッカーの本質から考えると「ゴールを取る」という一つの原則がある。
「ゴールを意識する(取る)ためにはどんな体の向きならばプレーがしやすいか?前を向きやすくなるのか?」というように、
「焦点化して、具体化する」ことが大切になります。
このような発問の時、子どもが自然と考える基準を身に付けて主体的に動くようになるのです。
|まとめ
まとめると、
① 時系列に分解をしていく
② さらに「コマ」を分解して要素を考える
③ 分解したそれぞれのコマで「どうすればいいのか」という解釈をする
④ 焦点化して、具体化をし、発問を考える
正直、指導者として「絶対に教えたくないテクニック」の一つです。とにかくめちゃくちゃ重要です。なぜなら指導が細部にわたるようになるので、子どもたちがその場から変わっていくだけでなく、発問によって自ら考えてプレー・練習をするようになるのです。
また指導者としても細かいところまで観点いくようになるので、よりたくさんの気づきを得ることができるようになるのです。
これはどんな分野の指導においても使えるテクニックの一つです。そしてできる人は無意識的にも意識的にもこのテクニックを使っています。分野が違っても構造は同じなのです。
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