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西松屋チェーン/子育て世代の味方 ガラガラ経営

子育て世代にはお世話になっている人も多いことでしょう。今回は西松屋チェーンを分析したいと思います。

西松屋①

私が気になったきっかけはこの記事。

記事の要点をまとめると、以下のような施策で、顧客満足と効率性の追求に重きを置き、適切な利益を確保できれば、それ以上の利益を追うのではなく、無駄を省き、削ったコストで商品開発を行い、より安い価格で消費者に商品を届ける。また、お店はいつもガラガラで、ソーシャルディスタンスを保ったWithコロナの店舗フォーマットであると。

・店舗は二等立地(賃料が安い)
・すっきりした商品配置で顧客の購入点数を増やす
・従業員は基本パート2人で正社員の店長は5店掛け持ち、過剰な接客しない
・店舗フォーマットは統一され、カメラを用い、売り場は本社一括管理
・海外の生産工場の生産ラインの改善によるコスト削減

典型的なコストリーダーシップ戦略。店舗当たりの売上は少ない(お店はいつもガラガラ)ので、店舗コストを徹底的に削り、薄い利益を出店数を増やすことで積み上げる。規模の経済で得た利益を商品開発と顧客還元にあてるというビジネスのようです。

同業(と思われる)企業比較

西松屋②

西松屋の企業比較対象として選定したのは同じく衣料品を扱うファーストリテイリングとしまむらです。同じ子供服や雑貨を扱う赤ちゃん本舗は非上場(セブン&アイ傘下)で決算数値はとれず。

まず目についたのは原価率。しまむらはビジネスモデルが仕入販売モデルなので、原価率が高いと想像していましたが、西松屋(SPAモデル)の原価率はそれと同等。いかに西松屋が低価格で販売しているかがわかります。

人件費は西松屋が低い。上で書いている通り、いつもお店に店員はほとんどいません。3つの企業で一番人件費にはお金をかけていないのも納得です。

地代家賃に関してはちょっと意外でした。しまむらはおそらく西松屋と同じような立地に出店しているでしょう。西松屋の顧客が少ないことが、売上高の低さと地代家賃比率の高さ、ひいては営業利益率の低さに表れている気がします。

売上を伸ばすためには、客数より客単価を上げる方向で考えているのでしょう。そのために、低価格商品の開発に注力し、品揃えを増やし(在庫が多いのもそのあたりが影響)、顧客の買い上げ商品点数を上げていく、そのための売り場作りをしているように思いました。西松屋が開示している月次レポートによると、今年は客数も客単価も好調のようです。

西松屋③

一点、調べきれなかったのが、西松屋の仕入債務が異常に多いこと。仕入債務の回転期間は約3カ月で、在庫の回転期間よりも長い。結果、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)はマイナスになり、キャッシュ・フロー的には3社の中では断トツにいい経営をしているようです。このからくりに関してははっきりわかることはありませんでしたが。。(知っている人、教えてください)。ただ、キャッシュはかなりため込んでおり、その資金効率の良さが投資に反映されていない点は残念です。

西松屋の1ユーザーとして

私自身小さい子供を持つ親で、西松屋はよく利用します。西松屋の子供服は高級感はないもののかわいらしいものが多いと感じ、また驚くほど安いので、いつもたくさん買ってしまうというのも事実です。子供は保育園や公園で服をすぐ汚し、着替えも多く、消耗品のように扱っており、安価で気兼ねなく着れる西松屋の子供服は重宝しています。ワンシーズンでサイズアウトもすることもあり、季節ごとにまとめ買いをします。

無印良品でも子供服を買ったりするんですが、無印だと品数が少なく、保育園でよく他の子供とかぶってしまって朝とか気まずい雰囲気になってしまいます。値段もちょっと高いんですよね。。

店舗がいつもガラガラなこと(この前に行ったときには、20分ほど滞在しましたが、私たち家族の他には3組ほどしかお客さんはいませんでした)に関して、なぜ会社はこんなお店を作っているんだろうと考えてもなかなか会社側のメリットが思いつきません。でも、ふと顧客視点で考えてみると、お店に他のお客さんがいないことは結構うれしいことであります。通路も広く、子供が走っても危なくなく、店舗がごちゃごちゃしていないので、大体は目の届く範囲のところにいてくれます。ゆっくり商品を選ぶこともできますしね。

こういう顧客に心地よさを感じさせるくらいの客数、ゆったり感をあえて作り、そこから逆算した店舗フォーマットとモデルPL(客数・売上、店員の人件費やお店の立地、家賃などなど)をいい塩梅で作っている。子育て世帯との共存共栄を実現した会社だと思いました。

今回の企業分析を通じて、ユーザーの目線では、この企業のことが今まで以上に好きになりました。顧客の価値を最大にする経営は是非これからも続けてほしいですね。

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