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音楽生活

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元CD屋勤務でした。
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記事一覧

どうしてアナログレコードが復活するのか。ネット社会がもたらす逆進性

最近アナログレコードの人気が復活して、いよいよメーカーも本腰を入れてレコードの生産にかかるようになったのだとか。一体どうしてそんなことが起こるのか。この動きがあと15年早く起こってくれたら私も音楽の仕事を失うことなく業界から放り出されなくてよかったのですが。 インターネット社会になり、通信が便利になりあらゆる交換が速くなった。すると予想した逆のことが起こり始めました。 野外キャンプ、釣り、農業、山歩き、建築DIYなど便利社会に移行していく時に現代人が「不便だ」「面倒くさい

来年のワークショップは音楽

ブルーハーツやサニーデイサービスのバンドメンバーが今でも通うというCD・レコード屋の老舗、岡山市のキングビスケット・レコード。 私も21歳の時から通ってますので…キングビスケットさんでCD・レコードを購入させていただいてもう27年になります。実は昨日も行ってました。 キングビスケットさんは1940〜1970年代のジャズ、ソウル、ロック、ブルースしか置いていないという、徹頭徹尾、ルーツミュージックのお店です。 時代は変わり、時代は流れ。 世の中はヒップホップ、ハウス、E

チック・コリア訃報に寄せて

少しジャズの話を。 1960年代〜1970年代にかけてジャズは大きくそのスタイルを変えていきました。ジャズが純粋にジャズだった時代は終わりを告げてロック、ソウル、ワールドミュージック、電子音楽など他分野の要素と急速に結合を始めたのがこの時期でした。そのジャズ大変革の先陣を切って突っ走ったのは帝王マイルス・デイヴィスで一枚毎に新しいアイデアを繰り広げていきました。 そして、この変革期のマイルス・デイヴィス・グループにはキ

音楽コラム ボブ・マーリィって何者?

「ボブ・マーリィって何者??」 ボブ・マーリィの本名は、ロバート・ネスタ・マーリィ。 彼は子供のころから、ラスタファリというアフリカ回帰志向の独特の宗教思想(?)を学んでいました。しかし、その思想性は初期の音楽活動には出ていません。初期の音楽はウェイラーズという名前のコーラスグループでの活動で、とてもシンプルなボーカルサウンドでした。 転機が訪れたのは、コーラスグループを一旦解散させて、ボブがアメリカに渡ってからです。奥さんになるリタという女性の後を追って渡米するのですが

占星術 これから風の時代。それは一体どんな時代?

2020年12月22日から占星術で大変化。 風の時代が始まる…と話題になりました。 地の時代が終わり、風の時代になる。 それは一体、具体的にはどのような変化なのでしょうか。 簡単に説明するのと木星と土星が星座の上で重なって見えるのをコンジャクションと呼ぶのですが今までの過去200年はそれが山羊座(勤労・連帯)でずっと起こっていました。しかし、2020年末からは水瓶座(個人•自由)で起こるようになるというものです。 そうなると、何がどう変わるのでしょうか? 前回、90

デヴィッド・ボウイの世界

破壊、バイオレンス、ノイズがロックンロールなら、そこにコスプレ、ホモセクシュアル、ドラッグ、頽廃、SF、宇宙人ネタ、コンピューターワールド…etcといったヨーロッパ独自の変態趣味や宇宙観、未来観を加えていったのがデヴィッド・ボウイでした。 イギーポップはステージでゲロを撒き散らしたりする超問題児ロックンローラーでしたが、それを裏で操作・プロデュースしていたのがデヴィッド・ボウイ。同じイギリス人で変態趣味を持っていたキース・リチャーズはそういう素顔を隠していましたがボウイは隠

プリンス追悼

プリンスが登場した1980年代はまだまだ音楽の世界にも未開拓分野がたくさんあった時代でした。エレキシンセサイザーは進化する、リズムマシンは進化する…その頃は「打ち込み」という言い方でしたけど…そういう新しい時代の中でYMOとかいろいろ出てきた時期でした。ポストモダンという言葉が流行った時代です。 プリンスという人は率直に言えば、黒人音楽の中から出てきたポストモダニズムだったと思います。伝統とか古いものを特別視せず、かといって革新だけがすべてではない。すべてを並列に見て取り入れ

アメリカ南部音楽の奇跡

有名人というのは、どの世界にもたくさんいます。でも、みんながみんなカリスマではありません。 カリスマとは一体何なのでしょうか。カリスマと有名人の違いは? これは私の感覚ですが、有名人を生み出す人がカリスマだと思います。或いは、他の人を有名人にできる人。これがカリスマ。 エルヴィス・プレスリーはROCKのカリスマです。なぜかと言うと、そもそもROCKをやった最初の人だというのも確かにそうですが、エルヴィスの音楽を聴いた当時10代前半だったジョン・レノンやポール・マッカート

ライヴアルバムの魅力

CD・レコードで音楽を聞いていた時代にあった特徴としてライヴアルバムというのがありました。いわゆるコンサートの録音。 スタジオ録音アルバムと違うのはライヴならではの演出があったり、その場の思いつきや観客とのやり取りがあったり、あとはなんと言ってもライヴ演奏ならではの温度感というか熱の高さ。これが魅力でした。 「別に同じ曲を演奏するんだからそんなに違わないでしょ。」というご意見もあるでしょうが、これがびっくり。まったく別物というぐらい違うのです。 こう書いてる私は、ハッキ

マイルス・デイヴィス「ビッチエズ・ブリュー」についての一考察

クラブDJがターンテーブルを3台も4台も並べてレコードを回してプレイしている。あれは一体何をやってるのか。自分はそれを知らなかったし知ろうともしなかったのですが、音楽の仕事をしててテクノとかハウスとかいう音楽にどうしても付き合わないといけなくなってイヤイヤながらそれを調べてベンキョーしたことがありました。 ある人が教えてくれました。 「あれはね、森山さん、一つのドン!ドン!ドン!っていう決まったリズムをキープしながらその上でレコードを次々と取っ替え引っ替え変えながら音

再生

ジャズを聴こう pt.1

「ジャズはこうやって聞け」と先輩に言われた体験談より

ボブ・ディラン14枚組CD BOX

連載ビートルズ 全アルバム解説 pt.2

ミュージシャンにも色々なタイプがいて、自分の好きな音楽だけを追求する人や(自己満足型)、時代の流れを意識してトレンドに乗ろうとする人や(トレンド型)、多彩にアイデアを生み出して何種類ものサウンドを生み出す人や(カラフル型)、アイデアが枯渇して苦しみ始める人(収縮型)…etc 色々な人がいます。ビートルズは周囲から色んなことを期待されて、その要請に色々応えないといけなかったという意味でトレンド型でありカラフル型でした。 そんなビートルズはどのアルバムも素晴らしくメロディに溢れ

連載ビートルズ 全アルバム解説 pt.1

昨年末に書いたビートルズの記事が好評だったみたいなので、もう少し詳しく突っ込んだ記事を書いてみたいと思います。 ビートルズはその音楽スタイルとキャラクターをコロコロと変えたアーティストで、「前半と後半」あるいは「前期・中期・後期」などその活動時期を分けて捉えることができます。 私は残された約10枚のアルバムを2枚づつに区切って眺めた時に最もよくビートルズの変化がわかると思っているので…その私流の捉え方で解説させていただきます。興味ある方は長文お付き合いください。 ビ