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年の初めに絵を燃やした話

なんだか物騒なタイトルに思えるかもしれませんがポジティブな炎上ですのでご安心ください。

このnoteではたびたびメイキング記事を綴っております。
そこにも記したとおり私は絵を描くツールにPhotoshopを使っているのですが、線画はシャーペンとケント紙で描くことが多いです。
けれどそれはしょせん線画、もっといえば「素材」なので、「作品」として残し続けていくようなものでもありません。
(そういうものも、ちょっとくらいは参考程度に残しますけどね)

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これがね〜、溜まっていく一方なんですよね…
(大掃除や何やらで学生の頃のデッサン?も出てきました)
でも「絵」って、手紙や写真と同じく、棄てにくい。
棄てるにしてもゴミとして出すのは、やっぱり哀しい。

そこで、そう、

お焚き上げです!

御焚上(おたきあげ)は、神社などで古い神札やお守りなどを焼くこと。あるいは、火に御札をかざすなどして吉凶を占うこと。
(wikipedia)

年始に神社で燃やしてもらうものといったら
役目を終えたお守り、おふだ、正月飾り…などが定番ですが
子供の書き初め、お年玉のポチ袋、旧年の各種ご祝儀やお返しなどの熨斗袋、年賀状、手紙や写真などもOKだそうで。
たぶん、火に焚べて燃えるものならだいたい大丈夫なんじゃないかな?
神社によってもいろいろ違うらしいので、気になる方は問い合わせてみたらいいと思います。私も問い合わせてみたらOKだったので持って行きました。

神事的には、火の神の力で天界へ還すという意味が。
仏事的には、思いが込められたもの・魂が宿るとされているものにこれまでの礼を尽くし、浄化によって天界へ還すという意味があるそうです。
それがよいものであれ悪いものであれ「祓い清めて天に還す」という気持ちが大事なのでしょう。

まぁ、とはいえあまりに大量だと迷惑になるでしょうし、良識の範囲内で。


今年は喪中なので鳥居はくぐらず、
横の出入り口からそっとおじゃましました。
お参りはしないけれど、背の高い木に囲まれた神社という空間に足を運ぶのは気持ちが良い。マイナスイオンが出ているわ。

↓2018年初詣でお焚き上げをしたとき。

このとき初めて「お焚き上げで絵を燃やす」ということをしたんですが、
身辺整理ができるとともになんだか厳かでいい気持ちになれたので毎年恒例にしたいと思ったのでした。


2019年はわかりやすくお正月っぽいものが燃えているところには出会えませんでしたが、灰の中から役目を終えたお守りや矢が覗いていました。

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これが不思議とポジティブな気持ちになるのです。

まず日常的に「炎」を目にする機会がめったにない(ガスコンロの青い火くらいかな)ので、「寒い冬の日に炎が燃えている」という場に居合わせるだけでちょっとおもしろくて、厳かな気分になるのです。
それをじっと眺めていると、自分も何か燃やしたくなってくる。

一瞬も同じ形でいない炎が、めらめら拡がってパチパチ爆ぜて、
紙束に移ってそれが融けるように崩れて、白く硬くまっすぐだったイラストボードもみるみる黒くぐんにゃりしてきて、
やがて真っ黒になった紙片や灰が空に舞い上がる。


私は一応、紙袋にまとめて、飛んだりしないようにして行くんですけども…
(紙袋はイラストボードの下に隠れていますが、ほんとうにあっという間に燃えてしまいました)
裏返して火に焚べたイラストボードが、そばにいたちびっ子に「あれ、英語が描いてあるー!」と指をさされたときはちょっと恥ずかしかった。
アルファベット26文字をイラスト化した手描き作品でした(ちびっ子の低い視点からだとふつうに見えてしまったらしい)。
学生の頃、拙いながらにがんばって描いたなぁ…という思い出を噛み締めつつ。

形のあったものが、消える、というのを目の当たりにするのは、意外と悪くない。
ほんのり寂しい切ない気持ちはあるけれども、別にこれって当たり前のことなんだな、なんでもいつかは消えるんだなっていうのをすとんと納得できるから。


お焚き上げは年末年始以外にも有料で受け付けてくださる神社仏閣や専門サービス(お焚き上げステーションでは情報機器も受け付けてくれるらしい)があるので、やろうと思えばいつでもできます。
誰も使わないけれども、誰かが使っていたから愛着がこもっているもの。
あるいは、大事なものなんだけどそこにあるだけで辛く哀しい気持ちになってしまうもの。などなど。
浄化の炎で祓い清めていただくことで、お部屋も心も整理できます。
たぶん。

でもまぁどうせなら年末年始にやったほうがスッキリ気持ちいいですよね。神社にもよりますが、1月15日(小正月)くらいまでならやってるんじゃないかな。
シュレッダーにかけてゴミとして棄てるくらいなら…という紙類をまだお持ちの絵描きさんには特におすすめです。ぜひぜひ。

サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!