シアター・ホームステイinアトリエ銘苅べ―ス⑧(最終回)
最終日、のその前に。
シアター・ホームステイinアトリエ銘苅ベースもいよいよ最終日となりました。
ここまでお読みいただいた方は、もしかするともうお気づきかもしれませんが、沖縄滞在は最高に楽しいです!!!
いい劇場も、楽しい場所も、見るべきものもたくさんあります!!!それになによりみなさんもとてもやさしい!!!
今回格安航空券で手配したので、東京からの航空券も往復で15000円ほどでありました。
帰りは偏西風に乗って羽田まで2時間で着きますし、体感時間でいうと利賀村へ行くよりも近いです。(?)
もちろんこのご時世、感染症対策の観点から難しいこともたくさんあるのは重々承知しておりますけれども、それでもなお、機会があればぜひ沖縄・銘苅ベースを訪れて頂きたいと思います。
本当に、楽しいです。
「ここは夢のような島だよ」by護得久 栄昇
最終日。
さて、最終日は朝に『そのころ』の作者である不思議少年の大迫さんと、近くのLAWSONへお散歩をしました。
『そのころ』不思議少年の大迫さん、『そのころ』を演じ続けてこられた飛ぶ劇場の葉山さんにINDEPENDENTの相内さんという、かねてから一方的にお名前を存じ上げているような方々とまさか那覇でお会いできるなんて思ってもおらず、「僕も演劇をがんばろう」と思える、勇気をもらえるお話もたくさん伺うことができました。
そしてINDEPENDENTチームのみなさんの出発をお見送りしたのにすこし遅れて、私も銘苅ベースを後にしました。
今回の滞在の記念に銘苅ベースTシャツを買いました。
お昼には「沖縄では別格でうまい」と教わっていたヤマナカリー別邸を食べにいきました。これはもう端的に素晴らしかったです。
そしてすこし移動して、さいごにゆっくりと海を見ました。
一週間ではたりなかった。
当初このシアター・ホームステイのお話を頂いたときに、「沖縄とはいえ、誰も知り合いがいないし、一週間もいたらさすがに長すぎるのではないだろうか」と思っていました。
しかしながら滞在が終わってみれば、千日のぜんざいも食べられておらず、キャンプフォスターにも入れていませんし、北部のやんばる(山原)の方へも行けなかったりと、行きたかった/やりたかったことが山と残る結果となりました。
コザのシアタードーナツや、国立劇場おきなわといったさまざまな沖縄文化の拠点も、今回の滞在ではまだまだ見られていないところがたくさんあります。
これもひとえにふらりとやってきたはじめましての私に「あそこも見るといい!」「ここもおもしろいよ!」とたくさんのことを教えてくださった、銘苅ベースの当山さんをはじめとする沖縄の皆さんのおかげです。
沖縄にいる間に考えていたこと。
全国小劇場ネットワークの立ち上げのきっかけとなった銘苅ベースの当山さん達による全国各地の劇場への視察行脚とそこで生まれたつながりのお話を伺うに、劇場というのは本当にただのハードではなく、人の手によって運営されることで血が通い、人と人とが出会い繋がり、そこで話してみんながおもしろいことを考えることで文化を成熟させていく場であるということを深く実感しました。
今回の沖縄の滞在で強く意識することになったのは、私がいま東京の人間であり、ここ沖縄で見聞きして感じたことに対して真摯に応えようとするならば、いま自分が置かれている東京で、なすべき仕事をきちんとなすよりほかないということでした。
いま東京に暮らし、東京で演劇をつくっている人間としての責任が私にはある。
たとえばいささかわかりやすく、今回の滞在の経験や、これからも何度か沖縄を取材して沖縄についての作品をつくるということももちろん可能ではありますが、おそらく自分にとって本当に必要なのはそういうことではないのだろうと感じました。
ただ観光客として沖縄の物語を消費してしまうのではなく、沖縄の現代演劇に関わるみなさんにとって真に刺激となるようなクレイジーで元気な作品を一生懸命つくり、いつかその作品をもって銘苅ベースにやって来たい。
そして現在進行形の沖縄のさまざまな問題に真剣に寄り添えるように、東京では東京の責任を果たせるよう日々一生懸命努めること(ちゃんといい演劇をつくれる環境を手に入れるべくたたかう、選挙はもちろん、時には通りに出てきちんとデモへ行く、等)。
なにをいきなり、という話ではあるのですが、なんというか、そうしたことを今回沖縄にいる間にずっと考え続けていました。
むすび。
今回、時期を同じくしてキヨスヨネスクさんと小山薫子さんのhumunusのみなさんが沖縄にいらしていてたまたまお会いすることが出来たり(キヨスさんがでかかった!)、INDEPENDENTのチームのみなさんと出会えたり、劇艶おとな団の『9人の迷える沖縄人』の稽古を拝見できたり、わが街の小劇場で鳥井さんと4年越しにゆっくりお会いできたり、なはーとで崎山さんと10年ぶりに再会することができたり、栄町市場で迷子になることができたり、書いても書いても書き足りないくらい楽しいことがたくさんあり、たくさんの人と出会い、話すことができ、胸がいっぱいになる沖縄滞在となりました。
今回の滞在をコーディネートして下さった銘苅ベースの当山彰一さんをはじめとして、安和学治さん、朝彦さん、新垣七奈さん、おとな団のやさしくて楽しいみなさん、『9人の迷える沖縄人』の出演者のみなさん、訪問した劇場で快く迎えてくださった皆様に深く感謝を申し上げたいと思います。
また今回のシアター・ホームステイの機会を与えて下さった全国小劇場ネットワークの皆様、銘苅ベースと繋いで下さった札幌シアターZOOの斎藤歩さん、若葉町WHARFの佐藤信さんにも、この場を借りてあらためて感謝を申し上げます。
また今回カメラマン兼アシスタントとして同行してくれ、こちらのレポート用の写真をすべて撮影してくれた廣瀬響乃さんにも、深く感謝と御礼を申し上げます。
そしてなによりこうしたつたないレポートではありましたが、ここまでお読みいただいた皆様になによりの感謝と、今ひとたびのささやかな決意をお伝えして、むすびとさせていただきたいと思います。
今回のシアター・ホームステイでのこの滞在を糧として、一生懸命自分の演劇をつくり、私もまた、10年以内に自分の創作の拠点となる劇場を建てたいと思います。決してうわごとにならないよう、地に足をつけてがんばります。
シアター・ホームステイという貴重な機会を、本当にありがとうございました。
松本一歩
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