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もっともっと美味しくてたのしい料理。

料理を美味しくするには色んな方法がある。

分かりやすい所で言うと素材の鮮度や質、技術、アイデア。
だけどね、美味しさというのはそんな単純じゃないんですよ。
値段が高いから美味い訳でもないし、時間をかけたから美味いわけじゃ無い、そんなシンプルじゃない。

誰と食べるか、どこで食べるか、どんな皿を使うか、どんな飲み物を合わせるか、どんな精神状態で食べるか、、、
色んな物が絡まって美味しくなる。


そんな訳で今回はとっても美味しい時間だった。
いつも美味しいんだけどね、今回の三日間はいつも以上に美味しい時間だった。
それはいくつもの要因がある。そうね。

ちなみに今回行ったのは小田原の米神という地域のとあるシェアハウス。
半年前に行った時に、とっても幸せだったんで今回は遊びに。

その3日、7食の備忘録。
約5000文字です。


・1食目:冷やし担担麺

まずは早川駅から歩く。
駅からそのシェアハウスまでは約30分、けっこうキツい道。
海が見えるの爽快だね~

汗だくになったのでシャワーを借りてサッパリしてから担担麺。

古民家の畳部屋にちゃぶ台ってのは素敵だ。

五香粉という中華のスパイスをたっぷり使ってスパイシーに仕上げた麺。
新タマネギやカイワレ大根の辛さがいいですな~暑い日にピッタリ。
スパイス好きとの食事は遠慮なく香辛料を効かせれて楽しい。

・2食目:キッチンドランカー

キッチンで飲むことは悪いとか、依存しやすいとか言うけど良いことだって沢山ある。
ワンタンを数個ずつ茹でてアツアツを食えるし、味変とかで調味料を出す手間が少ない、筋煮込みだってグツグツさせながら食えるし、酒だって冷え冷えを飲める。

なーーんて幸せなんだ!!

茹でワンタン

豚肉と椎茸と葱と生姜のシンプルな物。
タレに粗刻みのキュウリをたっぷり。

春菊とゴボウの胡麻和え

最近のマイブーム、この日は黒胡麻で更に土っぽく滋味に。

この素焼きの小鉢と豆が合う~!

鞍掛豆とスナップエンドウのサラダ。

硬めに茹でて持ってきてた鞍掛豆、それに茹でて刻んだスナップエンドウを合わせて豆の一品。
味付けはほんの少しのオリーブオイルと塩。
干し豆と生の鞘豆の魅力の組み合わせ、滋味。

謎の筋の味噌煮込み

このシェアハウスは2/3人が猟師なので色んな獣肉が冷凍庫に眠っている。
なんかのジビエの筋膜や筋、よく茹でて根菜類と酒粕と味噌で煮込みに。

ごぼう、にんじん、タマネギ、椎茸、よく煮て甘辛く。七味と一緒に。

茹で老鶏

コチラも冷凍庫で持て余されていた肉。
老鶏の丸鶏で冷凍焼けもしている。とりあえずバラして茹でてみたが硬すぎ、なんで肉よりも出汁を引く。

1時間ほど茹でたかな、改めて肉を食べても硬かったけど少しは食えそうなんで身を剥がして細く刻む。
茹で汁やゴマ油、塩麹で和えて少しだけ食べやすく仕立て。
ガシガシ噛むとジワジワと旨味、ジャーキーみたいで酒が進む。

老鶏の汁麺

で、この出汁で中華麺を食らって〆
出汁に関しては老鶏も優秀、むしろ良い味かもな。

住人の新造さんはこの日、ひたすら中華鍋を磨いていて
火入れの瞬間を一緒に見て感動した。

・3食目:煮麺を食べ茶摘みへ

この日は朝早くから出かけなくてはならなかった。
ので、前日の残りの鶏スープに冷凍の剥きアサリを加え煮麺。
サクッと温かく。ピパーチが合うだね。

早朝からの用事は!!お茶摘み!!

機械でバーーっと刈りつつ、場所によっては手摘み。
そしてひたすら仕分け。茎をとってゴミをはじいて、、、
今年も美味しくできました。

・4食目:全粒粉の素麺にブリと大根。

茶摘みで疲労困憊の中昼飯、美味しいと噂の全粒粉素麺。
確かに美味い!!

今回の旅で特にお気に入りの写真①

大根おろし、ブリのピリ辛葱和え、かいわれ、葱、シソ。
さっぱりいきたいし疲れてたんでつけ汁にはシークヮーサーをたっぷり。

・5食目:もっと美味しい幸せな宴会

僕が遊びにきたのと、魚が届くのと被ったりして何人か人を呼んで宴会。
猟師や農家など食関連の方が多いので食材のエピソードやこだわりが濃い、それに住人の皿や机へのこだわりも濃い、そうなるといつも以上に料理への気合いもはいる。

奥に見えるは猟師の酒イエーガマイスター

もちろん話の中心は食。
前にとったイノシシが~、実家の魚屋から送ってきて貰った魚が~、親戚の畑で取れたスナップエンドウが~、アタシが育てたレモンが~、さっき摘んだ茶の新芽が~
そんな話をしながら食べるそのものの美味さはいつもの何倍にもなる。

最初のうちは写真をしっかり撮ってたのに、後半の料理はほとんど撮ってない。それほど良い時間だったってことで。

天ぷら 茶の芽、舞茸、レンコン、さつまいも

茶摘み最大の魅力といっても過言では無い茶の新芽。
これの天ぷらが大好きなんですよ~~
生で食べると強烈な茶葉が揚げる事で程よい苦味と香りに。
コシアブラとか大葉とか苦菜とかに似てるけどもっと凄い。

あと3種は俺が好きな物。
サツマイモは弱火で40分ほどじっくり揚げたん、美味すぎ。

味付けには塩と槇沙加のレモン。美味い。
5月に独立したてのレモン農家、推せる。

レモン農家の槇沙加(マキサヤカ)に撮られたアタシ。

詳しくは彼女のnoteやSNSを見てみてくださいませ。

レモンも清美も黄金柑も美味いでっせ。丁寧な作りをしてるんやな~と思う。

漬けブリのマリネサラダ

ブリを醤油麹で1日漬け込んで水分を抜いた物、皮目を炙ってから極薄に切り野菜と和えてレモン。
ネットリで濃厚なブリ、爽やかなレモンと野菜
近所の猟師さんの庭で摘ませて貰ったイタリアンパセリが良い香り~

”のレンMURO”という甘酒や麹の専門店で働いてる方が持ってきてくれた醤油麹、これまでにでてきた塩麹などもそうなんだが、良い味そして良い味を引き出す。
近いうちに店舗にも行かなくては。

のレンMURO公式HP

醤油麹でヅケにするのめちゃ美味い。
醤油漬けより生ハムっぽい旨味。

茹でワンタンは昨日と同じ。
肉に塩麹いれたのよかったな。

筋煮込みも昨日と同じ。
甘麹という甘酒的なので甘い香りがついてほっこり美味い。

鞍掛豆と野菜の浅漬け

これは俺が料理を持ってくときの定番。
いつもは青大豆だけど今回は鞍掛豆。美味し!
柚子とミョウガたっぷり、彩りの良い野菜の一品がある安心感。

今回の旅で特にお気に入りの写真②

鞍掛豆とスナップエンドウのサラダ

この日、茶摘みついでにスナップエンドウを摘まして貰ってこれが美味いんだ~
鮮度の良いスナップはモチモチだぁよ~
少量のオリーブオイルで和えて、仕上げに粗塩を少々。
豆の甘さと美味さと滋味深さを味わえる。

老鶏と小松菜の和えたの

取り立ての小松菜を茹でて前日の老鶏と和えたん。
鮮度の良い小松菜は水分量が多くて筋が柔らかくて美味い!
岩井のゴマ油が美味いんだ~

春菊とゴボウの胡麻和え

これは昨日と同じの。しみじみ。

ホタルイカと新ワカメのぬた和え

写真が見切れてるけど、一応。
いつもはけっこう酸っぱくするんだけど、今回は他の料理との組み合わせを考えて酸味は淡め。
魚屋さんが送ってくれた新ワカメが美味いのよ~

いのしし金玉の揚げワンタン

2度目の挑戦です。金玉リベンジャーズ。
前回の個体の片割れがまだ冷凍されててね、更なる強烈な匂いに悶絶。

どうするかな~と思いながら料理してたらワンタンの皮が余ったんで、包むかとなる。
詳しくは下記のnoteで読んで欲しいんだけど、臭い物は生地で包むとなぜか臭みが淡くなる。なんでだろか。

しかし、今回は鯉よりも強烈なんで、揚げワンタンにしよう。
金玉だけじゃ包みにくいから挽き肉、鹿肉と鹿の脂身を叩いてあわせよう。
これだけじゃまだ弱いだろうから手元にあったイタリアンパセリを千切りにしてたっぷり、更にクミンシードを混ぜ込む。
ここまでしたら美味くなるかな?

恐る恐る揚げたのを食べてみる。
カリッとした衣、イタパセが香る鹿の脂が溢れてくる、そしてクニクニした金玉、あの強烈な臭みが押し寄せる予感がくる。
が、それが来る前にクミンシードが割れてかき消され「あれ?臭いけどこれは癖になるくらいかも?」となった。

うへへへ、おもしれえ食材だなぁ~

サバの棒寿司

前にやったときにやけに評判が良かったので、2回目。
生姜とシソと煎りゴマと寿司酢でシャリをあわせ、しめ鯖と棒寿司にして、仕上げに食卓で炙る。

やっぱこの香りがたまらんよな~
温まって柔らかくなった脂も好きだ。
飲み会でごはんを出すのも好きだけど、コレくらいのボリュームのお米があるのも良いよね。

鹿肉の竜田揚げ

鹿は猟師さんがくれた。エゾシカのバラともも肉。
塩麹とニンニク麹に漬け込んで片栗粉をまぶして揚げて、仕上げに醤油麹をまぶして完成。
これ、うまい!!ちょっと前にジビエ料理屋で食べた鹿のから揚げをイメージして作ったけど大正解かもな。
麹の力は偉大!

ほやの時間

魚屋の娘さんが誕生日で色々と送って貰った、そしてその半分は生ホヤだった。
飲み会が落ち着いてから一緒にアレコレ試作?試行錯誤をはじめる。

王道の食べ方はもちろん美味いけど、新しい趣向のホヤを探っていく。
ホヤの味は口内でどんどん変化させるのが面白い。
詳しくは言えないけど、まさかあのマニアックスパイスが合うとは思わんです。良い時間だった。

ホヤの凄いところはやはり五味が揃ってるところでしょうかね、珍しい食材。

キャラメルかぼちゃチーズケーキ

誕生日ってのを意識した訳じゃないけど、手土産でこさえてきたキャラメルかぼちゃチーズケーキ。
半年前の会では個数が足りなくて、じゃんけんをしたので今回は大きめを1本どーーんとね!
ちょうど誕生日ケーキになってよかった。

・6食目:朝定食は真マス!

今回の旅で特にお気に入りの写真③

さっき書いた魚屋さんが送ってきてくれた中に塩した真マスが!
となると朝食は和食よね~

キュウリをレモンと塩麹で漬ける。
だし巻き卵を焼く。
味噌汁はこれまた魚屋さんの新ワカメ、それに前日に収穫した新タマネギ。最高。

ごはんはアサリと大根菜で、薄味で真マスによう合うわ~
とっても滋味深い。

真マスは色白で旨味がしっかりしてて脂は多めだけどクドくなくて美味い。
いや~うまいね!!

古民家で食べる朝食の見本のような、いやそれ以上に良い物な気がしますわね。

からの数軒隣の猟師さん庭でイチゴを摘まして貰ってデザート。
なんて良い時間!!良い朝!!!
白いイチゴのアッサリした美味しさもいいわね。

・7食目:鶏と新玉のサラダ伴麺

ラスト食事。

ホントは昼前に帰ろうかと思ってたけど、なんだか心地良い風が吹いてて昼寝しちまってね。

もうあんま食材が残って無くて、ある物で良い感じに。
老鶏の残りと新タマネギ、レタス、岩井のゴマ油、レモン、だったかな。
混ぜ混ぜしてかっこむ、美味し。

今回の旅で特にお気に入りの写真④

新造さんが作っていたスパイス醤油漬け手羽元も焼いて食う。
八角やシナモン、唐辛子、ニンニク、などが香る~
伴麺にも合う~~

飲み物の時間

で、昼食べてからお抹茶を点てたり、

新造さんの心臓コーラを頂いたりしてリラックス~

この家は色んな飲み物を集めてておもしれえ。
お茶もお酒もかなり楽しみました。
ジャックフルーツのお酒とか、繊細な緑茶とか、寝かせた紹興酒とか、良い体験だった。

・もっともっとたのしい料理とは

隠し味は隠さないといけないけれど、気づかれないと悲しい。
そんなジレンマをかかえる料理好きの皆さん、僕もです。

料理に対する関心は人それぞれだけど、食に興味の無い人に対して料理を作るのは楽しさ半減ですよね。
だってこっちが頑張っても無反応だもの。
だからといって無理矢理に反応を聞くのもねえ、、、


今回の食事はかなり反応が良かった。
それは僕が料理人だからというのもあるかもだけど”みんなが料理に携わった”というのがデカいと思う。

それは料理を一緒にしたのもだけど、生産者も猟師もそう、お気に入りの食材も調味料も器も酒もそう。
愛というと安っぽいかもだけど、各々の愛着が少しずつ食卓にのってるから、食べる時も楽しいし美味しい。話も弾むし食事も進むし酒も進む。

そんな素敵な食事をこれからの人生でたくさんしていきたいなぁ。

やっぱり料理が好きだ。改めてそう思える三日間だった。完。


ベイビーアイラブユーだぜ!!

いつもありがとうございます。 書くの大好きだけどやっぱ大変だから、サポートして貰えると持続性が増します。