#0033【マザー・テレサ(インド、20世紀)】

こんばんは! 1日1分歴史小話メールマガジン発行人の李です。

今週最後は、マザー・テレサを取り上げます。

彼女の活動は生前から高く評価され、1979年にノーベル平和賞を受賞しています。

マザー・テレサの本名はアグネス・ゴンジャ・ボヤジュといい、1910年にバルカン半島のコソボ(現:マケドニア国スコピエ市)に生まれました。

小さい頃から聡明な子だったと言われています。18歳のときにアイルランドのロレト修道女会で修道士としての基礎教育を受けました。

修道士になる過程で神への奉仕を誓う請願を行いますが、初請願で修道名をテレサとし、1937年に終生請願を宣言して以降シスター・テレサとなります。

インドの修道院に赴いたテレサは付属学校で教師をしていましたが、1946年9月に休暇のために避暑地のダージリンへ向かう汽車の中で神の啓示をうけます。

「修道院を出て、貧しい人々の中で働きなさい。」

彼女は修道院を離れて活動したい旨を申し出ますが、ヴァチカン(カトリック教会の総本山)の上層部は慎重を期して、すぐにはテレサの活動に許可を与えませんでした。

修道士は、修道院内に居住し、修道院において活動することが求められていたからです。

1948年に入って、ようやくローマ教皇(カトリック教会のトップ)から修道院外での活動の特別許可がおりました。テレサは、質素なサリーに身を包みインドのスラム街の中へと入っていきます。そこで、スラム街の子どもたちに無料で街頭授業を行います。当初は彼女自身も食べ物に困るほど厳しい状況でしたが、やがて教師時代の教え子たちがボランティアとして集まりはじめ、地元の自治体や名士たちからの寄付も寄せられるようになり、彼女の活動の基盤が出来ました。

1950年には修道会設立の許可を得て、「神の愛の宣教者会」を設立します。同会の使命は「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、ハンセン病の人、愛されていない人、社会から必要とされていないと感じているすべての人々のために働く」ことです。

テレサはこの修道会のリーダーとなり、以降「マザー・テレサ」と呼ばれるようになります。

修道院設立後、インド政府から使われなくなった寺院を譲り受け、「ニルマル・ヒリダイ(清い心の家)」というホスピスを開設します。さらにハンセン病患者療養施設や孤児院なども開設し、活動の場を広げていきます。

活動の初期には、カトリックの宣教活動ではないかと警戒されていましたが、マザー・テレサたちは、ケアする相手の宗教を尊重し、信仰している宗教で看取ることを貫きました。ケアする相手の状態・宗派を問わないマザー・テレサの姿勢は世界から関心を持たれるようになり、1965年にはインド国外での活動も認められるようになりました。以降、マザー・テレサの修道会は全世界で活躍するようになります。

1979年にはノーベル平和賞を受賞します。授賞式のインタビューの中で「世界平和のために何をしたらいいか?」と問いかけられ、マザー・テレサは「家に帰って、自分の家族を愛しなさい。」とシンプルに答えました。

その後も地球規模での活躍を続けていきましたが、1997年9月5日に86年の生涯を終えます。

マザー・テレサが亡くなったときには修道会のメンバーは4,000人を数え、123か国610か所で活動していました。学校、ホスピス、ハンセン病患者の療養施設、孤児院に止まらず、HIV患者やスラム街での炊き出しなど多岐に亘る活動が現在も続いています。

インド政府はマザー・テレサの葬儀を国葬としました。葬儀には各宗教の代表者が参列し、宗教の枠を超えて尊敬を受けていたことの象徴となりました。

2016年9月4日、ローマ教皇はマザー・テレサをカトリックの聖人であると宣言しました。

以上、今週の歴史小話でした!

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