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(無題)(仮)2

Bには俺がバイセクシャルなことを伝えていない。
その理由は簡単である。
「実は俺バイなんだ~。男も女もイけるんだわ」
「ってことは、俺のこと...」
「......」
こうなるからである。
カミングアウトするのは特に困らないのだが、相手が問題なのだ。男にカミングアウトするってことは目の前の相手も範囲内だよって伝えること。いたってそこらへんにいる大抵の人間はノーマルだし、彼らは俺らのことを知ってはくれるかもしれないが、わかってはくれない。カミングアウト=愛の告白が成立している。恋愛ドラマや少女漫画の見すぎだ。非常に迷惑だ。
何が迷惑のなんのって、俺は長年連れ添った幼なじみの男にまんまと恋していた。初めての気持ちを持っていかれた。なんだよベタな脳みそしやがって。
何を話したってさして問題もないような間柄のはずなのに、これだけは別である。あーめんどくせえ。なんでコイツなんだと思うが、すぐ手のひら返し。すごく好きだった。嫌いになる理由がないし、嫌いになる要素があったならここまでつるんでいない。
別に女とも男ともそういう関係になったことはあるが、Bは違うんだ。違うらしい。俺の初恋は今もきっとこの先も透き通るほど綺麗なままだった。未だに扱いきれていない。

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