(マッシモ時代にやられた事)サガン鳥栖対松本山雅(相手に義希はいない)

 1.初めに

 ”降格”と言う恐怖の2文字が背後に迫っている2チーム。勝てば背後に迫るその文字は遠く離れていくが、負ければその文字はすぐそこに近づいてくる。そんな恐怖の残留争い6ポイントマッチが日曜日に行われた。
 鳥栖は攻撃のI・クエンカが累積で出場停止。代わりに入ったのが鳥栖の漢の中の漢小野裕二。右SHには福田に代わって守備的ポジションならどこでもできるユーティリティープレイヤーの五輪代表原、DHには松岡に代わってジョンスがスタメンである。
 4試合負けなしで粘り強く勝ち点を稼いでいる、アウェイの松本山雅。”調子が上向いてるチームを弄るな"という格言の通り、前節と同じ11人がスタメンに名を連ねた。因みに、中美はJ1では初めての古巣対戦である。

画像1

2.マッシモ時代にやられたことをやってみた鳥栖

 試合開始早々ペースを握ったのはホームの鳥栖であった。3分には小野のサイドチェンジから金井のクロス、そのクロスに飛び込んだ小野が泥臭くゴールネットを揺らすが、判定は小野のハンドでノーゴールであった。この判定に、「ゴール前の攻撃側のハンド厳しくなってしまったからな。」と言う心の声を漏らした鳥栖サポが大勢いたであろう。そんな心の声を漏らしていた鳥栖サポにとって、13分の小野のFKからの金井の先取点はとても嬉しいものであった。
 ゴールシーンの前後で感じたのは鳥栖が狙っていたスペースである。鳥栖の狙っていたスペースは主に少し空きがちである山雅の3センターの脇のスペースとWBが出てきて空いたサイドの裏のスペースであった様に私は感じた。

20191111 小野プレー

 画像は3分の小野の幻のゴールのシーンのものである。三丸が5バックをずらした後、小野に戻し、そこからのサイドチェンジで決定機をもたらした。3センターと言えば、マッシモ時代の鳥栖も行っていたフォーメーションである。その時は福田、義希の運動量で埋めていた鳥栖。しかし、今の山雅には14キロ走れる義希もスプリントを繰り返せる福田もいない。スペースを埋める人がいない中盤を狙わない金明賢ではないのであった。先制点後にも相手の5バックの位置をずらすような動き、WBをつり出すような動きは両SH、SB(特に左サイド)が行っていたことから、鳥栖が山雅の3センターを狙ってきたのは明確であろう。

3.ソリボールだけではない松本

 一方の山雅は藤田からの縦パスで得点を狙っていた。少し前までソリボールと呼ばれるロングボールで陣地回復&得点を狙っていた松本山雅。今試合もそのような作戦で攻めてくると思ったが、その予想は外れであった。ロングボールも使用しつつも、ボールを保持しながら攻め込んできたのであった。主な形は藤田の縦パスからの展開。サイドへの展開、中央突破など様々な形で攻撃を行っていた山雅だが、最も効果的であったのは永井への楔のパスからの展開であった。画像は、その形の1つである。永井が中盤の前まで下りていき、シャドーの1枚は裏抜け、もう1枚は永井とのコンビネーションと言う形を作ろうとしていた。26分の永井への楔のパスで鳥栖守備陣を中央に寄せた後にサイドに展開しクロスを上げるようとするシーンは山雅の狙いの形だったのではないかと思う。しかし得点には結びつかず。
 前半は1-0でホームの鳥栖がリードし折り返すことになった。

20191111 山雅


4.後半の動き

 後半の松本はセットプレーからチャンスを演出する。特に、49分のコーナーキックからの飯田のシュートは決まってもおかしくなかった。しかし、そこには高丘。セットプレーではないが、63分の杉本の個人技からのチャンスもシュートは打てず。高崎、安東、阪野と攻撃的な選手を次々と入れるが、最後までゴールは奪えなかった。
 一方の鳥栖は高丘を利用したボール保持、豊田投入によって生み出される空中戦の有意差を利用ししっかりと時間を使っていった。最後は、ユンさん時代を思い出されるような5バックで試合をクローズ。見事ウノゼロ勝利を収めた。






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