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ぎんなん、なんなん。

ぎんなん、それは「イチョウの種子」

雌木に10月中旬ごろから果実が熟す、らしい。

自分の小学校は正門から入って右手にイチョウがずらっと並ぶ。
中学校も隣接していて自転車置き場の方にもイチョウが並んでいる。

秋になるときれいに色づいたイチョウの葉が小中学生を迎えてくれる。

とにかくきれい。掃除はかなり大変だけどもとにかくきれい。

イチョウが色づくのは秋から冬にかけて。
その時期の小中学校の行事と言えば。。


持久走
じきゅうそう
JIKYUSO

なんで真冬に走らないといけないんだろう。
今となってはそんなことも考えるが、まぁいい。

持久走、それはとにかく我慢である。

運動がそこまでできるわけではない平々凡々な自分にとっては、とにかく我慢の行事だった。深く息を吸いながら、自分にとっての最適なペースで淡々と走っていく。周りのペースにながされたら終わり。考えてみたらめちゃくちゃ過酷だ。

そう、「深く息を吸いながら」である。

運動場をスタートして、校門の方へと向かう。

そして訪れる、地獄のイチョウロード。

深く息を吸えば吸うほど、ギンナンの香りが鼻を刺激する。

これは持久走という過酷な競技中にはかなり酷な試練である。

空気を深く吸いたい。でも吸えない。でも吸わないと。 

ええい、吸ってしまえ!

ごほっ、ごほっ、猛烈につらい。

あと4周。あと4回耐えないといけないのか!?

周回数より、地獄のイチョウロードに対する恐怖が勝る。

そんなギンナンに対する一種の「憎悪」は大体1年で冷める。

なぜならそれが日常に変化をしていくからだ。
僕はその学校に小中と9年間通った。そりゃなれる。慣れないとたぶん楽しい学校生活にはならない。
大げさかな。

中学校に入って、新しい友達ができる。
ギンナンの洗礼を受けていない彼らは、とかく苦しむ。

「うん、うん、わかるわかる。」
「そういう時期あるよね。」

なんか仙人みたいなコメントだな。
でも事実そう思っていた。

かといって、持久走のタイムが上がるわけではない。
匂いに耐えられてもタイムは上がらない。無情だ。

大学にもイチョウがある。

きれいだなぁ。においも慣れてるし、しんどくない。
においが懐かしさを想起させるのもなんか面白い。

ぎんなん、なんなん、過去はさいあく、現在は懐かしい。

感情の変化は生きてるから感じられる、人生の楽しみの一つだなぁと思わされます。1年後、5年後、10年後、めっちゃ楽しみ。

おわりっ

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