芸人人生 第86話 大学お笑いサークル

石居は買ったヨーグルトをパクパクと食べながら
俺の質問に全部答えてくれた。

聞いてみると、全国大学お笑い大会というもの顔見知りになるという。

マシーン無骨にルッパン。
シドニンやかぶとむしの多島
ファイティングポーズが大学お笑いサークル出身だ

橙団やピン芸人の’町ロバさん’
それと、ブルー組のトリオ’ミーセースー’もそうだという。

最近気付いたのだが、
頂点原点は元’タナベエンターテインメント所属だったらしい。

十条ねぎの蔵橋は’元押本興業大阪34期生’
5年間大阪で活動していたらしい。

流石に驚いた。

ただ一度退社すると、芸歴はリセット
俺らと同期扱いになる。

だから蔵橋は漫才が上手いのだ。

「やっぱりマシーン無骨って凄かったのか?」

俺はタバコに火をつけながら質問をした

「まぁ。凄いね。高平も松居さんも天才だからね。」

「松居さん?」

松居だけさん付けなのが気になった。

「あー、松居さんは俺らの一個上!高平は同い年だけど、ややこしいのよねそこらへん」

だから漫才の時も松居さんと言っているのか。
納得した

「あの2人は’漫才をするために生まれてきた’といっても過言ではないよ。漫才じゃない時はロボットみたいでしょ?」

ずっと気になっていた謎。

「あの2人は普段は凄い静かなんだよ。でも漫才のスイッチが入ると’漫才人間’になる。だからマシーンなんだよ。」

「だからその名前付けたのか。」

「いや、名前を付けたのは俺の一期上の’首席’の人!」

首席とは’デカライブ’の優勝者の事だ。

「首席って誰?」

「本当に木口はなにも知らないな。
授業アシスタントとかはやってないから分からないのも無理はないけど。
‘ナイチンポールダンス’さん。
ボケの’なかるーてぃん’さんと
ツッコミの’カズ’さんのコンビ。」

「ナイチンポールダンス…その人達もお笑い大学サークル?」

「大学お笑いサークル。他にもアシスタントやってくれてる、’ガバリア’さん。’さん
‘くうふくユナイテッド’さんとか。みんなそうだよ。」

石井はヨーグルト食べ終わりベロをぺろっとした

「あの人達もか。やっぱり優秀だったんだなあ。」

「今プロになって芸歴1年目で結構バトルライブとか活躍してるよ、大学から凄かったよあの人達は。」


そうか。養成所を卒業したら。
‘プロのお笑い芸人’になるのか。

俺は卒業してからの事は全く考えていなかった。
今の養成所でいっぱいいっぱいだった

「だから未経験の花ふうせんとかは凄いよ。結果出してるし」

「いや、全然だよ。まだまだこれから。」

「お互い頑張ろう!」

石井は不思議なやつだ。
なにを考えてるのかイマイチ分からない。
本心なのか、嘘なのか。

これが石居の最初のイメージだった。

俺はそれから2日に1回お風呂を借りては石居と少し話をして帰る生活が続いた。

家に帰っても俺は1人。

万田ちゃんはなかなか帰ってこなかった。

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