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2019 SWY航海記 -伏線の回収と未来への布石-

 It's a small world! なんて言葉があるけれど、どこよりもその状態に近い空間。世界の各地域から集まったヤンググローバルリーダーたちが、1月から3月にかけて太平洋の上を航海し、Wifiのない空間で自分たちで文化を創り出す。それはまさに小さな世界。失敗オッケー、チャレンジあるのみ。助けてくれて信頼してくれて必要としてくれる仲間がそばにいるから、安心して自分のワクワクに正直になれる素敵な場所でした。

 参加者それぞれが委員会(プログラム管理のためのお仕事)、レターグループ(生活班であり家族)、ディスカッショングループ(学校、クラス)、クラブ活動(異文化体験タイム)に所属しながらそれぞれのリーダーシップを磨いていくこのShip for World Youth program。それ以外にも毎日のようにイベントやNational Presentation(各国主催の文化祭)があり、機会にあふれる環境という意味ではアメリカ時代を超えて一番。自分のできることで貢献すべく、船内新聞の編集長として活動したり、ラボ(英語劇)の経験を生かしてクラブ活動で外国人青年と桃太郎を発表したり。国際協力についてディスカッションコースを代表して全体プレゼンしたり、トビタテで教わったキャリアプランのセミナーを開催したり。プログラム以外のところでも毎朝甲板を走って合計100キロを走破したり、タレントショーで10年ぶりのピアノを披露したりして、とにかく気力と体力の続く限り精一杯ストレッチしました。

 今年度は横浜港を出たのち、沖縄・パラオ・ダーウィン・ブリスベン・ソロモン諸島に寄港しました。沖縄とパラオ、ソロモンに共通するのは太平洋戦争の激戦区であったこと。所属した国際協力コースでは、関連施設を巡って歴史を学び船に戻って議論を重ねました。ダーウィンやブリスベンでは移民・難民政策について中心的に学び、関連機関でのインタビューや現地大学での講義を経験しました。ディスカッショングループの中でたくさん発言をし、引っ張れたことは今までの経験が生きたという意味でかなり自信になりました。もちろん楽しいこともいっぱいで、オーストラリアではワニ・コアラ・カンガルーなどたくさんの動物たちと触れ合い、島ではエメラルドグリーンの海を思う存分楽しみました。でも街歩きをしながら、ここにはどんな課題があってどういう風に支援しながら改善できるか。気づいたらそんな視点でたくさんメモを取っていて、なんだか職業病みたいでした。

 一番の収穫はチームワークがはまったときの喜びってのを小学校の野球以来久々に感じたこと。完全に孤独で我が道を行く人生路線になりかけていたのですが、船の中では尊敬・信頼の仲間たちに囲まれているからか自然と自分の弱みや考えを共有することができ、愛すべき親友がたくさんできました。そのおかげか、11あるレターグループで40日間競い合ったSWYオリンピックで所属グループがチャンピオンになったのをはじめ、サッカーのSWYワールドカップ、ブリスベンであったSWY大運動会でも優勝し、この期間中はやることなすことすべてがうまくいき、勝ち運に恵まれました。これは自由な生活の中でぶつかり合いながらも、お互いをさらけだして理解し、歩み寄れたことと無関係ではなかったと思います。そして。チームもよかったけど、それは一人一人との素敵な関係が合わさってこそ。年下の可能性に満ちあふれた熱い心とギラギラした目に刺激をもらい、年上の方々の今まで見てきた世界やそれに裏打ちされた実力に憧れを持ち、世界中に信頼できる相談相手ができました。もう孤独な我が道なんて思わなくていいことが幸せ。

 人間関係・仕事・勉強・健康・スポーツアートのすべてがうまくいく瞬間なんて人生でなかなかないけど、ここではすべてがパーフェクトにはまり、今後の人生の目指すべき理想の状態を見ることができました。ここまですべてに全力で頑張れたのは、自分の1つ1つの努力を見ていてくれて、時にはほめて時には意見してくれて、そばで信じて応援してくれて、一緒に泣いたり喜んだりしてくれるスペシャルなバディがいたからこそ。朝のルーティンと一緒に見たきれいな景色はプライスレスな宝物。この場を借りてありがとう。またモチベーションという意味では、同世代で以前から意識し合ってきたライバルと、あるときは船のデッキからサンゴ礁を眺めて、またある時は満天の星空を眺めて、今持っている不安な思いや成し遂げたい夢について納得いくまで毎晩語り合ったこと時間も大きかった。ふさわしい人とふさわしい場所でふさわしい話をしていると、なぜか焦りやあきらめが消えてポジティブな勇気に代わって次々と問題がクリアになり、かなりぐらついていた「国際協力で生きていく」という心の炎が再び熱く燃え上がりました。スペシャルな理解者監修のもと40歳までのかなり細かい人生計画を作り上げたことはプライスレスな宝物になりました。この場を借りてありがとう。

 1年生の時に先輩が行っているのを見て強いあこがれを持ち、乗るだけでなく日本代表として活躍できるほどの実力を身に着けた時に挑戦しようと心に秘めていたSWY。どの経験が欠けてもここまで楽しめてなかったし、すべてが伏線としてつながっていることと強い意志を持った時の自分なら何でも成し遂げられることを教えてくれるものでした。また、今まで深くやっていなかった平和構築の分野や日本の伝統踊りの楽しさを知ったことが下船後の生活のモチベーションになり、有意義な生活の布石となりました。最後の最後にいい経験ができて、神様は見放してなかったんだなぁと実感。そして物語はネクストチャプターへ。学生を卒業し社会人として、関西を離れて東京へ。慣れ親しんだ世界を去って新たな挑戦が始まります。

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