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書評 坂口恭平『よみぐすり』

 この人の本では『自分の薬をつくる』を読んでからの二冊目。どちらもいい本でしたよ。こちらの『よみぐすり』はツイッターの発言をまとめたもので非常にリーダブル。軽く読めてすごく救われると思うので、人生がつらい方などはぜひどうぞ。読んで足りなければ、帯に著者の携帯番号が書いてあるのでそちらへ。「いのっちの電話」という活動で無償で人命を救っておられる。聖者か。

 ツイッターの140字に収まる言葉の連続なので、話題をサクサク追えるし、砕けた文体なので気楽に読める。だが救われ方がすごい。私は人生がつらいわけでもないが、なぜだか買ってしまって読んじゃったので……いや、実はシェア目的で買って読んだ。共鳴したのだ、坂口恭平の人助けの活動に。とはいえ私にできることは特段何もないので、これいいよ、と薦めるだけだ。死にたくなったら読みましょうという一冊として高く高く掲げる。

 何が書いてあるかというと、死にたいという人への我流の対応、考え方、そして現場の声などである。ここから見えてくるものもあるので、これ役所とか政府機関にも必要な本なんじゃないの。なにしろ「いのっちの電話」には日に三十件ほどもかかってくるそうなのだ。毎日一年中その応対してたらもう専門家だよ。死にたい死にたいという彼らに対し、坂口恭平は話を聞いてやり、アドバイスをし、そうしたあとでツイッターに何か気づいたことを書いていったそうだ。

 さてあとは少し引用をしていけば私が語ることはない。つらい方、ピンときたら買いましょう。本に救われるということも案外多いものですよ。


(以下本文より引用)

何か楽しみ見つけて楽しむ以外に生きる目的ないよね。「生きる意味がないと思って」とよく聞くんだけど、楽しむ以外に意味はないから、それはつまり、今が退屈ということなのではないかね。p14

やりたくないことやってうまくいってる人を見たことない。p23

とにかく楽しめと僕が言ってるのは、ヘラヘラしろってのじゃなくて、「楽しいことの継続で武器作れ」って感じ^_^まじでそれくらいこの世は糞や。p48

楽しさの伝授こそが教育じゃないのかねえ。p70

簡単な友達の作り方。好きなことをやりまくる。そうすると、同じようにそれを好きな人がどこからか天使みたいに降ってくるので、自然と友達になります。p117

多分、自殺はしない方がいいんだと思う。生命倫理関係なく、ただ死にたいと誤認識しているだけの可能性を探った方がいい。p121

死にたいんじゃなくて、めんどくさいだけの可能性もあります。これ経験談。p136

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