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KHと出会って。

キングダムハーツという物語が好きで、個人的にあれは長い長い映画だと思っている。
嫌いなキャラクターはいない。それぞれの想いや過去を垣間見た瞬間どうも嫌いになれない。

ただ私はとてもゲームが下手くそだ。

好きこそ物の上手なれとは言うけれど
クリティカルすらも全然クリアできない、ましてやプラウドだって怪しい。とっても下手くそだから。
シークレットエンディングは全て友達に見せてもらう始末。
同じファンの方々にはごめんなさいとしか言いようがない、それでも好きなんです。
人生においてかけがえのない存在だから。
ちょっと特別な思いがある物語なのです。

この物語がなかったら私は今ここで生きてはいないし、
生きていても自暴自棄で自分勝手で死んだように過ごしていたと思う。

何より惹かれたのはストーリーと、キャラクター。
そして声優さんたちが命を吹き込んだあのセリフたち。
一つ一つのシーンに大切な想いを詰め込んだであろう音楽。
下手くそだけれど好き。そんなアカウントの
始まりのノートを良かったら。
長いですが、暇なお時間がある時に一読して頂ければと思います。

ネタバレも含みますので、そちらもお気をつけてご覧ください。

2002年にKINGDOM HEARTSが発売された時、私はまだ小学校1年とかその辺りだった。

祖父と祖母にディズニーランドへ連れて行ってもらったことがとても楽しくて、ここは夢の場所なんだとキラキラした世界を怖がりもせず、駆け回っていた気がする。
今じゃキラキラしている世界を怖いと感じる時がある、年をとった。

KHのCMを母親が観て
「ドナルドとグーフィーと、ツンツン髪の男の子がディズニーの世界を一緒に旅する物語があるのよ、やってみない?」
かけてくれたこの言葉と、与えられたPS2とKHのソフト、ここからKHがある暮らしが始まった。

最初の感想はただただ難しい。なんだこれは。
全然リクに勝てないじゃないか、なんで急に怪物が出てくるんだ、レオン?誰?というような状態。
リク=レプリカなんて強すぎて倒せなくて母親に倒してもらったぐらい。(母親強し)

ただ、進むに連れ物語の本筋が分かってきた。
闇と戦い、大切な友達を救う、そのためには強い心がないとダメだということ。相手を想うこと。
大切な人を助けたく、守りたいがために自らを犠牲にする。
それでも必ず戻ると約束するソラに私は惹かれていた。

恥ずかしながらあれは私のガチ恋だったと思う。
ただひたすらにカッコよかった。
今じゃソラより歳をとってしまったけれど。

「繋がる心が俺の力だ」
ストーリーが難しくても、この言葉だけが私の心にずっと残っていた。

そんなソラの性格に惹かれていて、学校での過ごし方が一変した。
困っている友達がいたら助けたかった、いじめられていて1人でいる子のそばにいた、いじめがなくなって皆んなで仲良くなれる日が来ると信じていた。
先生はそれに気付いてくれて通知表のようなものにそれを書いてくれた。
その時はまだ私も誰かを助けられると思っていた。

でも気付いたら自分が独りになった。
先生はそれを見て見ぬふり、放っとかれた。
いじめが原因で来なくなってしまった子もいた。

標的が私になったのだ。

理由は皆んなと仲良くしようとしていたのが、小学校のボス的存在がただ気に食わないと判決を下したから。
男子と仲良くなったのも気に食わなかったらしい。

急に一人になった孤独感は耐えきれない。
ボスがいないと優しくなり、ボスがいると急に無視をする人達がただただ怖かった。

最初は周りの人たちに合わせようと動いたけど、限界だった。一緒にいても独りとはこのことかと。
その行動は他人のために心を売ってしまっていたのだろうと今思う。

調理実習の後、家庭科室、1人、夕日が差し込む中、皆がやりたくないと言った排水溝のゴミ掃除を1人でやっていた時に心が砕ける音がした。
優しく声をかけてくれた友達の言葉でさえ何も入ってこなかった。振り払って私は逃げた。

学校に行きたくなかった。
限界だ、誰とも繋がりたくない、いなくなりたいと。
不健康な心が飢えて、皆んないじめを楽しんでいる。
皆んな同じ人間なのに、皆んなが特別だと思うから、選ばれないと底に沈むのだろう。上にいる人たちを睨むことしか出来なかった。
だから自分なんて死んでしまっても構わなかった。

繋がる心なんてそんなモノはないじゃないか。
泣きながら帰ったあの日は今も鮮明に覚えてる。

母親は話を聞いてくれたときも、学校へ行きたくないと泣いた時も、私を責めることなく優しくしてくれた。

そんな時にプレゼントしてくれたのが
キングダムハーツ2 ファイナルミックス+
学校に行かなくても、ゲームで遊ぶことを許してくれた。
何時間もゲームができるようになったのはきっとここから。
世間的には良くないと言われてしまうだろうけれど、私にとって最善の策だった。
ディズニーの世界をソラとドナルドとグーフィーと旅をしていれば嫌なことなんて忘れられたから。

進めていくうちに、心が回復していく。
友達のために迷わず進むソラ、出会った仲間を大切に大切にしている姿。

ロクサスの「俺の心は俺のものだ!」これは辛いシーンだったけれどその通りなんだ、その通りなんだよ、誰にも渡したくないと共感した。あのボスに。

ソラの言った「心は怒りや憎しみだけじゃない、いろんなものが詰まってるんだ、忘れちゃったのか?」
ソラという少年はなんて優しい心の持ち主なんだろうと、好きという気持ちは尊敬に変わった。
余談だけれどプーを見る時のあの視線は暖かくてずっと忘れられなかった。

特にこの二つのセリフを聴いた時、私はずっと誰かにこの暖かい言葉をかけてもらいたかったんだと思って込み上げた。
その前まで私の心は怒りと憎しみと悲しみでいっぱいだったから。
近くにいてくれた友達がいたのに、負の感情で全てを断ち切ってしまったから。

踏ん張って学校へ行った時、怖かったけど心配してくれていた友達が出迎えてくれた。
もちろん母親もしっかりと見てないところで見守ってくれていた。
友達が私のことを見た時に「あの時はありがとう」と言ってくれた。
その友達とは今も絡んでいる。私にとっての親友で、相棒になった。

そこからもいじめや不登校、肺の病気、股関節の持病が悪化、など色々あったけれど、心が強くなったのか生きていけるようになった。

キングダムハーツが、ソラが、その仲間たちが私を支えていてくれたのに、いつしか頭からすっぽ抜けていく日々が始まっていく。高校生になった。
時々思い出しても「大人になったんだ」で片付けてゲームから離れ、ベースを握りしめる日々が始まった。


何年か月日が経って、初めて好きな人と付き合い、結婚を前提に一緒に暮らし、この幸せな生活がいつまでも続くと思って過ごしていた。
だけどうまくいなかった人生はまたもや私を突き落とす。
彼の浮気未遂が発覚、何もしてない私が責められ続け、日々に絶望した。

全てが嫌になり、味がしない食べ物のような物体を食べる日々、ストレスで痩せ細る身体、不眠症、倦怠感、パニック等々、悪化する股関節の持病、それが原因で諦めた音響への道、そして追い討ちをかけたのが、祖母の他界。

そんな日々の疲れに「もう全て終わりにしよう」と思った瞬間、
私を支えてくれていた親友が「もう辞めよう、もういいんだよ、頑張らなくて」と泣きながら手を差し伸べ、暗い場所から引きずり出してくれた。
その親友以外も、皆が本当に引きずり出してくれた。
それがなかったら私はきっと今この世にいなかったと思う。

なんとか家を出て、もう大丈夫だと思っていたけれどそんなことはなかった。
ボロボロになった心は、何かをしてないと憎悪に襲われてあの時の感情が戻ってしまった。また独りと。
思い出す度に泣く日々、何かをしてなければまた私はダメになる。
そう思ってた時、兄が私にPS4を渡してきた。

「キングダムハーツをフルパック買ってある、ブランクがあるだろう、1からやりなよ。やってれば泣かないっしょ、はい。」

乱雑に渡された。なんだこいつ私の気も知らないでって思った。ゲームでどうにかなると思ってんのか、薄情な奴だ、と。
でも、ただただ夢中になれることが欲しかったからスイッチを入れた。飽きたら辞めればいい。

しかし、いざプレイしようと開くと懐かしい空気が私を包んだ。
ロゴがくるくる回ってゆっくりキングダムハーツになる瞬間。ああ、ソラだ、ソラがいる。
操作する時のあの音も変わってない。
リクとカイリも、ドナルドもグーフィーもいる。
宇多田ヒカルの光、初めて買ったCDだった。
Dearly Beloved、この曲が好きで何度ループしただろう。
全てが懐かしくてそれだけでぎゅっとなった。

ただ実際にプレイしてみると内容を忘れているところも多くて、やっていなかった派生作品まであった。
キングダムハーツ無印、難しすぎるではないか。
ワンダーランド、敵が多すぎる。
進めていくうちにゆっくり思い出して、再びハマってしまった。

ソラが好き。ではなく、私は幼い頃からソラのように強く優しくなりたかったと気付いた。

Daysが終わった頃、キングダムハーツというゲームは
独りじゃないということ、繋がる心とは仲間を、親友を思いやるその心なんだと大人になって分かった。
ソラが言っていたように思いやるということは、喜びだけでなく、悲しみも全て受け止めて支え合うことであるということも。
繋がっていれば、お互いを思っていれば、きっと良い方向へ共に歩んでいける。会えなくとも。

「俺の心はみんなとつながってる。大切な人と 大切なともだちと!誰かが俺のことを思っていてくれたら たったひとりでも忘れずにいてくれたら、俺の心は消えない。繋がる心が俺の力だ!」

この言葉を聞いた瞬間に私は涙が止まらなかった。
母親が横で見ていて頷きながら泣いた。心の在り方を私に伝えたくて、当時キングダムハーツを買ってくれたのかもしれない。
母親も繋がりを大事に生きてきた人だった。

私の親友も、「辛いところにいるなら私がそこに行くから、一緒に帰ろう?だって、小学生の時にmahiちゃんはそうしてくれたでしょ?」
と、泣きながら私を救ってくれた。
あの時、私は独りになってしまった親友に声をかけていて、そのことを覚えていてくれていたことに驚いた。
大人になった私を「恩返し!」と言って助けてくれたことに感謝しきれない。

アクセルがDaysでシオンに言ったあの言葉を思い出す。居場所はここだと親友は伝えたかったんだろう。
私の親友も熱い気持ちを持っていてくれた事に気づく。
そっか赤は遠くまで届く色だものね、アクセル。
私の親友も、優しく強かった。

(完全に余談だけれど、同時に藤原啓治さんはどんな気持ちであのセリフに命を吹きかけたのだろうか、と考えた。
藤原さんの訃報を聞いたのはFF7Rのレノ戦をしている真っ只中だった。
まだ立ち直れないけれど、私の記憶の中でずっと生きているし、私自身、生かされている。)

無印から3ヶ月かけて無事リマインドまでクリア。
3ヶ月で昔の記憶をすごい勢いで駆け抜けた気がする。
MoMもクリアし、ユニオンクロスも進めている。
今はそのぐらい元気にはなれた。
KHがなければ、FF7も、FF15もプレイしていなかったと思う。

一年前は軽度の鬱だったのかもしれないが、今はそのカケラも残っていない。

しかし、昨年HSP気質であることが判明。
思ったよりショックは受けなかった。
それなりに苦労はするけれど、その分人の気持ちを考えるられる気がする。
だからこそ、キングダムハーツの物語に心動かされてるのかもしれない。
悪いことばかりじゃない、大丈夫、なんとかなる。

何よりキングダムハーツという物語が私を支えてくれているから大丈夫だ。
このアカウントを作って、KHとFFを好きな方々がこんなに暖かいことを知れたから。
実はKHが好きだった友人も数人いて、思い返すとずっと私を支えてくれていた。今も。
もう心が壊れることはない、大丈夫だ。

そして、今も支えてくれているのはもう一つ。
2004年、学校へ行けてなかった頃、母親が探し回って見つけてくれたソラの缶バッジとこのジグソーパズル。
バッジが汚れているのはずっと持ち歩いていたから。
サビているのは握り締めて泣いたから。
心の中にソラ、仲間達、そしてディズニーがずっと人生の側にいてくれた日々を忘れないために今も飾っている。

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「この空がつなぐ世界で 辿り着く場所は一緒だと信じています。」

ちょっと雲がある綺麗な青空を見るたびにこの言葉を思い出す。
今この時期だからこそ、この空が私と親友を、仲間を繋いでくれている。
会えなくても大丈夫、思っていれば繋がっていられる。
ソラのように強く優しくありたい。

元から狂っている世の中だからこそ、心が思うままに進んでいこう。
心が決めたことには抗えないから。

KHという物語を今も大切に思う。

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