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「デジタルは怖い」は本当か?

「サイバーセキュリティ」なんて言葉で語られるデジタルのセキュリティ、「デジタル」は「わかりにくい」「怖い」「情報が勝手に第三者に奪われるのでは?」等々、色々なことを言われることが多いです。

でも、実際のところどうなのでしょうか?

情報漏洩の原因は?

 よく報道などでも、「個人情報の流出」などの報道が多い「デジタル」ですが、「デジタルだから」というニュアンスで語られることも多いです。実際のところはどうなのでしょうか?

 例えば、今紙の台帳で顧客管理をしている現場がどれだけあるでしょうか?

 昔からある商店街などの小規模ショップ(通称パパママストア)などではまだノートによる顧客管理を行なっているところもありますが、そのノートをもち出すことはないですし、たとえ盗難に合ったとしてもニュースになることはありません。
「空き巣被害」として片付けられるだけです。

一方で今や中堅企業や小規模事業者でも顧客情報をデジタルで行うことが当たり前でしょう。
つまり「デジタル」だから「個人情報漏洩」が起きやすいのではなく、「個人情報管理をしている仕組みがほぼデジタル」なだけなのです。

 また、デジタルでの「情報漏洩」は報道されやすいです。

 ただ、例えば小規模ショップがメールなどで間違えて顧客リストを送付したとしても報道されません。(小規模ショップで自分自ら顧客情報を送付することはないでしょうし、例え本当に間違えた場合でも報道などに流れることはないでしょう。)
 では、どういうケースが報道されやすいかというと「規模の大きな企業において、情報漏洩が発生したケース」です。

なぜ、こういうケースの場合は情報漏洩として報道されてしまうのでしょうか?

 背景として「個人情報保護法」があります。

 「個人情報保護法」では個人情報が漏洩した場合、行政に届出を行うことが義務化されています。

 確かに不正アクセスなどで漏洩するケースもありますが、情報漏洩事故全体から見るとごく一部です。また、本人への通知も義務付けられていますから報道側が認識しやすく、且つシステムとして管理されていますから多人数の情報漏洩になり目立ちやすいのです。

 報道側も「数万件のデータが漏洩した。」など事件性の高いことは報道しやすいですが、「数百件のデータを収めた紙台帳が紛失」という報道はされないでしょう。

「デジタル」での情報漏洩は本当に多いのか?

では「デジタル」による情報漏洩が本当に多いのか?というと実は情報漏洩の約3割が「紙媒体」によるものと言われています。(2018年現在)
 つまりはアナログのほうが持ち出しやすいのです。特に犯罪につながるケースも多く見受けられます。

 例えばシステム内に含まれているデータを故意に漏洩しようとした場合、アクセスした本人の情報が記録されてしまい、当然ながら足がつきます。

 ではアナログではどうでしょうか?

 紙に印刷されている個人情報ならいとも簡単に持ち出すことができます。また、紙の場合は簡単に複写できますし、複写記録もほぼ残りませんので、漏洩したデータそのものが関係者や報道の目に触れない限り「情報漏洩」として認識できません。認識できなければ届出も発生しません。

 知らないうちに情報は漏洩、危険に晒されているものの、根本原因は解らないため認識ができないだけなのです。

 つまりは「デジタル」での漏洩は目立つけどごく一部、「紙」「アナログ」のほうがよほど危険。ということになるのです。

「アナログ」の方が怖い

 実は仕組みを知らないだけで、「デジタル」はそれなりのセキュリティ対策がなされています。また、「足がつきやすい」という点でもより安全性は増します。

 一方「アナログ」は「足もつきにくく」記録もない、簡単に複製もでき、持ち出すことも簡単。とよほど怖いものなのです。
 カバンの中に入れていた書類をなくしたとしてもその際に持っていた紙がどんなものだったのか。はっきり認識できていなければ報告も上がりませんし、第三者に見つかるか、漏洩した紙がネットなどで出回らない限り漏洩したことそのものが認識できないのです。
 悪意のある人がその情報を入手し利用すれば、知らないうちに多くの人が犯罪に巻き込まれるケースもあるのです。

「デジタル」は難しく理解できない。
「デジタル」は怖い。

と言われる方も多いですが、今やインフラの根幹などでもデジタルはなくてはならない存在です。完全に理解する必要はないと思いますが、「身の回りに当たり前にある存在」という認識を持って頂きたいです。
また、デジタルとアナログは本質は同じでツールが違うだけです。
そのことを認識してもらえるとよりデジタルが身近に感じられるかもしれません。


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