【雑感】2024年J1リーグ 第38節 対京都サンガFC~それぞれのフルパワー~
東京ヴェルディ 0-0 京都サンガFC
スタメン
前節・川崎Fに4-5の撃ち合いの末敗れたヴェルディ。京都から期限付き移籍中の山田楓喜、木村は契約上出場不可。前節のスタメンから千田、木村に代えて林、染野の2枚を入れ替えて臨む。マテウスと齋藤はリーグ戦全38試合出場を達成。
一方の京都も前節・町田に0-1で敗戦。エリアスが出場停止になるかわりにトゥーリオが出場停止明けで復帰。豊川に代わって平賀が入りこちらも2枚入れ替えて臨む。GK太田にとってはかつて所属した古巣との一戦になる。
前半
立ち上がりから空中戦で競り合う激しい展開。まず主導権を握ったのは京都。最前線に入った原がヴェルディ3バックのなかでは一番小柄な谷口栄斗の方へ流れてハイボールを競り、右ワイドのトゥーリオと近い距離でプレーする。ここに川﨑、福田が追い越すように絡み人数をかけた攻撃を魅せる。ヴェルディボールに対しても1433のシステムから可変せずに3トップが3バックに外切りでプレスして連動するように中盤、SBも縦スライドして圧をかける。こうなることでヴェルディのビルドアップは苦しくなりマテウスへバックパスを余儀なくされる。
京都の圧を上手く利用するように攻撃を仕込むヴェルディ。この試合で最前線に入った染野がロングボールのターゲットになり見木はライン間へ下りて、山見はダイナゴナルな動きで裏抜けとスペースに下りてボールの受け手となる。前がかりになる京都はアンカーの周辺にスペースが多くここを使って素早い攻撃に転じる。ワイドの選手が攻め残りしがちであることもあり宮原、翁長のWBのみならずさらに最後方の綱島悠斗も攻撃参加をする。すると、10分すぎ、ロングボールを受けた山見が左へ流れながら仕掛けるとフィニッシュまで決めきりネットを揺らす。しかしVARオンフィールドレビューでトラップ時のハンドを取られてノーゴールに。巧みな個人技で幸先よい先制点とはならなかった。
ゴールは取り消されたものの右サイドから宮原、齋藤、悠斗も絡み崩すと齋藤が身体を反転しながら鋭いシュート。決定機であったが古巣対戦に燃える太田に防がれる。そのあともCKも絡めての攻撃をするもチャンスまでにはならなかった。
立ち上がりのオープンさがようやく落ち着いてくると京都はボールを握った時に平戸や福岡の中盤の選手が鈴木の横に下りて立ち位置に変化をつける。ヴェルディが1541でミドルブロックを敷いているため染野1枚で3枚は見切れずフリーの平戸からロングフィードを入れて前線の原とトゥーリオの高さを活かし陣地挽回して敵陣でのプレー時間を再び増やす。両SB佐藤、福田も加わり分厚い攻めるとサイドから内外の崩しでポケットを取りPA内へ侵入する動きを見せる。福田、トゥーリオが相次いで侵入してシュートを放つもこちらもマテウスが防ぐ。
一方のヴェルディも見木が中盤に下りて齋藤、森田晃樹とトライアングル形成してリンクマンになると染野のポストプレー、山見のドリブルを活かしゴール前へ攻め込むも宮本と鈴木の身体張った守備を前にシュートを打てない。
前半終了間際、京都はゴール前でFKを獲得し平戸が直接狙うも惜しくも枠外へ。ヴェルディも翁長が左からデル・ピエロばりに狙い澄ましたコントロールショットを放つもクロスバーに嫌われお互いに攻め込むも得点を奪えず前半を終える。
後半
メンバー交代無しで後半を迎える。まずは染野がPA内でシュート、ここも太田に防がれる。ヴェルディ時代は出場機会に恵まれず第2GKまでが精一杯だったがそれから10年近い年月を経てトップカテゴリーの対戦相手として君臨する姿には感慨深いものがあった。
京都が先に動く。平賀に代えてムリロコスタを投入。トゥーリオが左サイドへ回る。左右からのクロスでサイド攻撃を図るむ中央に入った林がクリア、川﨑のシュートは谷口栄斗がブロックしてヴェルディの守備陣も身体を張ってリーグ最終戦の集大成を戦う。そのあともトゥーリオ、ムリロコスタがシュートを放つも仕留めることはできずなかなかゴールが割れない状況に。裏抜けを何度か許す危うい展開となる。
押されているヴェルディは山見と染野に代えて松橋優安と山田剛綺を投入してそのままの配置とする。今季、2DHとしてゲームコントロールしていた齋藤と森田晃樹がボールに触ることで再び盛り返して行く。ここでアクシデントが起きる。背後を取られてスプリントした際に綱島悠斗がハムストリングを痛めて無念の交代を余儀なくされる。千田を投入して林が右CBへ回る。
交代出場の優安は右シャドーに入りボールを持つと仕掛け、守備時はファーストディフェンダーとしてプレス&プレスバックで高い位置でボールを奪うなどこの1年で見違えるほどの成長を遂げた姿を最終戦で表現してくれた。最後にご褒美をと淡い期待を抱いたがそうは甘くなかった。来季の楽しみに取っておこう。交代出場の食野も縦パス、低い位置でボールを受けて前進と攻撃面に加えてヘディング対応など守備面でも球際の意識が上がったように見えてこちらも来季が楽しみだ。
優安の高い位置でのプレーもありヴェルディが再び攻勢に出る。自陣で守備を強いられて低い位置になっても晃樹がこの一年を締めくくるかのように3人4人を狭いエリアのなかで交わしてボールを前進させる唸るプレーを披露。同日開催されていたプリンスリーグプレーオフ決勝戦を勝ち抜き10年ぶりのプレミアリーグ昇格を果たしてヴェルディユースに負けじとアカデミー卒の選手たちが16年ぶりのJ1のピッチで躍動する。
その後、交代出場の松村が右サイドから仕掛け、クロスもチャンスにはならず、見木のループシュートも太田の好守に防がれる。京都もトゥーリオに再三決定機が訪れるもモノにできずスコアレスドローに終わった。
まとめ
躍進を遂げた今季の最終戦だけあり勝って終わりたかったが、残念ながら引き分けとなった。失点が続いていた守備面では集中したプレーで1対1に競り勝ち、シュートブロックもありシャットアウトできたことは良い締めくくりになった。契約上出場不可だった木村を欠き、スタメンの染野や山見がピッチから去ると攻撃面は迫力が落ちてしまったのは選手層の突き上げが来季への持ち越しの課題となるだろう。
得点はなかったものの球際の激しさ、トランジションの速さや強度など一年間積み重ねてものを各選手が発揮してくれた最終戦となりシーズン6位と開幕前の予想をはるかに上回る好成績を収めた。
今季の試合振り返りはこれでおしまいです。1年間読んでいただいたすべての皆さんありがとうございました。あとはこちらも恒例になるシーズン振り返りと移籍市場のおさらいの記事を上げる予定です。