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世界一速い50ccバイクになりました

スーパーミニマムチャレンジ(以下SMC)チームが、去る8月26日にアメリカユタ州のボンネビルインターナショナルスピードウェーで開催されたBMST(ボンネビル・モーターサイクル・スピードトライアルズ)競技会で、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)115年の歴史で初となる、50ccエンジン+過給器クラスで1マイルあたりの平均速度100km/h越え(平均速度101.771km最高速度128.63km)の快挙を達成いたしました。
応援していただいた皆様、本当に、ありがとうございました!
 来年は、チャンピオンチームとして、さらなる新記録へのチャレンジを行う予定です。引き続き、応援をお願いいたします!

BMST(ボンネビル・モーターサイクル・スピードトライアルズ)とは?

世界で最も歴史と格式ある最高速度認定競技会

 BMSTは1912年に産声を上げた100年以上の歴史を持つ、世界で最も歴史あるFIM AMA(アメリカモーターサイクル協会)公認の世界最高峰の最高速度認定競技会です。全長10マイル(約16km)という世界屈指の直線コースに設けられた、1マイルの計測区間での平均速度が認定速度とされる厳しいルールと、「リターンラン」と呼ばれる復路で再度記録を更新しないと新記録として認められない厳格さが、世界中のモータースポーツファンが、「ボンネビルでの記録こそが本当の記録」という所以になっています。毎年世界各国から世界最速を目指す挑戦者の到来はあとをたたず、アンソニーホプキンス主演のハリウッド映画「世界最速のインディアン」でも有名です。
競技は、エンジンの種類や排気量、燃料の種類など、厳密で公正に数十種類のカテゴリ分けがなされており、50ccのオートバイからロケットバイクまでが世界新記録の称号を得られる唯一無二の大会で、毎年世界各国から200チーム程の挑戦者が集まっています。

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過酷な立地条件

 レースはアメリカ、ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツで毎年8月末に開催されます。
湖面の標高が約1282mという高地で、平地と比較して空気中の酸素濃度が薄く、40度近くになる夏季の高温により塩分濃度の高い湖水の水分が蒸発して固まった、厚さ数十センチの塩の塊の上で行われる過酷なレースです。
この過酷な環境に耐えきれず、始動不能やブロウに陥るエンジンも少なくありません。
唯一無二の過酷な自然環境は、多くの映画のロケ地としても有名で、「パイレーツオブカリビアン」や「インディペンデンスデイ」でウィルスミスがエイリアンを引きずっていた場所でもあります。

SMCチーム 2019年の成果 “世界4冠達成”(50cc,FIM,AMA 125cc,FIM,AMA)

SMCチームは、2019年8月開催のBMSTにおいて、BMST115年の歴史で初となる、1マイルあたりの平均速度100km/h越え(平均速度101.771km最高速度128.63km)の快挙を達成しました。
 SMCチームが世界新記録を達成したクラスは、50ccエンジン+過給器(使用燃料はガソリンに限る)というメカニズム的に最も精密かつ複雑な技術が必要で、最難関とされていたクラスです。
世界で最も権威あるFIM公認の最高速度競技会BMST100年の歴史中、世界中からの挑戦者が誰も超えることができなかった平均時速100kmの壁を、日本のプライベートのチームが破ったことが「新たなモータースポーツの歴史を開いた」と高く評価されています。

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なおSMCチームは同大会にNSX-02(125ccエンジン+ターボ)もエントリーしており、こちらでも1マイルあたりの平均速度100km/h越え(平均速度101.375km最高速度169.85km)の快挙を達成しました。同じく難関クラスでの世界記録達成となり、AMA大会記録を加え世界4冠達成となりました。

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記録をつくるに至ったサイドストーリー

関わるすべての人が手弁当で参加しているチームであり、資金も設備も時間も全くない中、マシンづくりはぎりぎりまで続きました。
お金も時間もありませんし、手伝ってくださるエンジニアは日本中に散らばっており、時にはコミュニケーションがうまく取れず、つくったものが無駄になったりするなど、いろいろなことが起こりました。
マシンをアメリカに送った後も、カウリングの制作が間に合わず、カウリングは後からハンドキャリーということもありましたし、現地にエンジン技術者を連れていく資金が足りず、エンジンをかけるにも一苦労という状態でした。
しかし、「日本の精密加工技術の素晴らしさを世界に示す!」という想いの下、関わる全ての人が世界4冠の目標を手にすることができました。
 記録を達成した2台には、静岡文化芸術大学の羽田隆志教授の設計により、世界で最も低く空気抵抗を抑えられるオートバイ操舵システム「バーチャルステアリングシステム」が組み込まれています。これは理論的に車体をタイヤの高さ以下に構成できる画期的なシステムで、桁違いに低い車体(最大高711mm)設計を実現するために、協賛各社が技術で応え実現したものです。まさに日本のモノ作り技術の結集といえると思います。

2020年に賭ける想いとご支援のお願い

プロジェクトリーダー兼ライダーの近兼拓史は「今回の世界記録は第一歩。今年不可能と言われた100年越しの未踏の記録を破れたのだから、来年は次の100年の目標となる記録を目指したい。更に進化させたマシンで50ccは平均時速100マイル(163km/h)オーバー、125ccは200km/hオーバーを達成したい」と語っています。
弊社においても、このプロジェクトを引き続き応援したいと考えています。
とはいえ、このプロジェクトは当社だけのモノではありません。「日本製造業の技術力を結集し、世界最速に挑む」という趣旨に賛同する方を一人でも多く募り、日本の製造業の底力を世界に示したいと考えていますので、是非、ご支援を賜りますようお願いいたします。

近兼拓史 : laluz@uranus.dti.ne.jp

栗本義丈 : Kurimoto@alpha-function.jp

Super Minimum Challengeとは

 SMCプロジェクトは、映画監督であり、ランドスピードレーサーである近兼拓史が米国ユタ州ソルトレイクで開催されている世界最高峰のスピード競技会Bonneville Motorcycle Speed Trialsの最小排気量クラス(50ccエンジン)の世界最速記録に挑戦することを目的に発足されました。
 SMCプロジェクトでは、プロジェクトリーダー兼ライダー近兼拓史のもと、50cc のバイクによる世界最高速度をさらに塗り替えるべく、日本の中小製造業の技術力を結集したオートバイで挑みます。

https://www.smc.co.jp/

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