何清漣★中国は米大統領選挙結果で生き返るか? 2020年11月29日

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 米国大統領選挙は米国の複数の主流メディアが結果を認定し、1年以上、棚上げされてきた東アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)が11月15日、ビデオを通じて署名され、ドイツ、イギリス、フランスなどの政府は祝辞を述べました。この協定は、15カ国が参加する世界最大の自由貿易協定(FTA)の中で、最大の人数(最大35億人)と総GDP最大だと称しています。

 2012年のASEAN会議で発足し、ASEAN10カ国と中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドなど6カ国が参加したこのFTAは、中国が期待していた通り、国際政治の大転換期を迎えた今年になってようやく調印されたのでした。世界ではこのFTAは中国がリードするだろうと見られています。


 ★経済利益を強調し、政治目標をぼかす中共

RCEP提案から協定締結まで8年を要しましたが、その間、中国は国際政治経済環境の激変と各国の思惑の違いから目標を達成できませんでした。

 論議の渦中にあり、不正に汚染された米国の大統領選挙結果(米国の選挙での不正疑惑については、今のところ決定的な証拠は出ていませんが)を受けて、中国が今回の合意を、米国の新大統領就任前に主導権を確立する機会と見るのは当然のことでしょう。

 結局のところ、RCEP協定は世界最大の人口、世界最大の経済規模をカバーし、貿易量では欧州連合(EU)に次ぐ世界最大の自由貿易協定であり、2021年に実施されれば、2018年3月に米・中貿易戦争が始まって以来-経済的苦境にある中国は経済的にも政治的にもカムバックのチャンスを得ることになります。

 中国は協定調印を多国間主義と自由貿易の勝利と見ています。

 中国の王寿文商務副大臣は、中国のFTA相手国との貿易量が27%から35%に増加し、中国の対外貿易に利益をもたらすと試算しています。その理由には三つあって、

 一つはRCEP15は既存の「10+1」FTAのアップグレードであり、地域内で統一されたルールシステムで、地域のビジネスコミュニティと輸出入企業を大幅に促進し、運営コストと不確実性リスクの低減に貢献する。

 二つには、地域内のサプライチェーンとバリューチェーンを構築することで、企業は産地における価値の蓄積に参加し、地域内の財、技術、サービス、資本、人の国境を越えた移動は大きな利益をもたらし、「貿易創造」効果をもたらす。

 三つ目は、地域内ルールの調和の後、地域外からの投資家にとっては「貿易創造」効果をもたらすことが重要で、地域全体へのアクセスを意味し、開発のための市場やスペースが大きく成長する。だから、地域外からの投資を呼び込むのに役立つ。

中国のこうしたのプロパガンダは、すべて経済的なもので、他の政治的な目標には言及していません。

 ★中国の目標は経済の機関車だけではない

 中国は、もちろんいわゆるウィン・ウィン関係の話しかしていません。しかし、その主要目標は東アジアと東南アジアの産業チェーン全体を統合し、経済的に中国への依存度を高め、政治的な支配権を獲得することにあります。

 貿易戦争前後の世界的な産業チェーンの再編を経て、中国の産業チェーンを引き継ぐ場所は東南アジアになり、欧米は中国の生産工程を東南アジアやインドに移したいと思っています。

 しかし、今やRECPができたので、東南アジアの原材料や部品を中国に輸出するのは安上がりになったわけで、それならまるごとインドに移転するというのは不経済で、産業チェーンを中国の外に移転する動きは止まります。

 もっと重要なのは、北京は常に世界の経済的な中国依存を利用して政治的な支配を達成してきたということです。世界産業チェーンの再編を経て、北京は政治統制が弱まったと感じていました。

 RCEP15 に署名することで、東南アジアの経済的な中国依存度を利用して政治統制を強化することができ、一方では、東南アジアにおける米国の分断統治の影響を弱めることができます。RCEPの枠組みでは、頼るべき米国がいなくなれば、中国が政治主導権を握るのは簡単で、ベトナムが多少不満を持っていても、簡単に解決できると考えています。

 このRCEPは、台湾にとって極めて不利になります。米国大統領選挙結果はまだ決まっていませんが、バイデンは何度も、対中国関税を取り消すと表明しています。

 これが実現すれば、インドと台湾という不参加国にとっては、大きな打撃を受けます。インドについては中国はいつでも加入できるとしていますが、台湾は大変やっかいな立場に置かれます。

 台湾は近年、トランプ政権の指示のもとに、中国への態度を強めてきましたが、もしバイデン政権になれば、その状況は一変します。蔡英文政府がバイデンに頭を下げたところで、支持は得られないでしょう。米・中関係では中国が指導権を握るからです。

 ★心中複雑な豪州と日本

 中国財務省は、中国と日本が初めて二国間の関税譲歩に達したとし、これは歴史的な突破口だと述べました。協定は、関税引き下げ、原産地主義、国境を越えた電子取引、知的財産保護、人の移動など、合計20分野をカバーしています。

 このうち、各国の商品の関税は91%、中国と日本の間で取引される商品の関税は86%、日本と韓国の間で取引される商品の関税は83%が最終的に撤廃されることになります。その他の国々の関税撤廃品目の割合も86%から100%に達します。


 私は、東南アジア諸国、EUや日本などの先進国の、経済的な対中依存度に関するアンビバレンスや政治的支配力などを含めて、いくつかの記事を書いてきました。今も状況は変わりませんが、ただアメリカの選挙がどうなったかを見て、ASEAN10カ国のほとんどの国が闘争を諦めました。それでも日本と豪州は依然として不満を持っています。

 オーストラリアのモリソン首相と日本の菅新首相は11月17日に対面会談を行い、二国間の防衛・安全保障問題で相互アクセス協定(RAA)に合意した。 今回の合意は、アジア太平洋地域における中国の野心の高まりに対抗するため、両国の勢力を緊密にし、同盟国である米国との連携を強化するものです。

 日中関係は長年、友でも敵でもなく、日本の朝野も十分に中国を警戒しており、その上、日本社会はオーストラリアに比べてはるかに開放的ではないため、中国の浸透は容易ではありません。しかし、オーストラリアの状況はそう簡単ではありません。

 過去20年間、オーストラリアは中国の赤の浸透で最も打撃を受けてきました。 トランプ政権下で米中関係が悪化する中、オーストラリアは中国との関係を調整し、華為技術(ファーウェイ)の国内ネットワーク向け5G通信機器の供給を事実上ブロックし、中国の国内政治に対する批判を強めています。また、「五つの目」と呼ばれる米国、英国、ニュージーランド、カナダとの共同声明を先週発表し、北京に対し、最近の香港の民主化推進派議員の失脚を撤回するよう求めました。

 オーストラリアはアメリカよりも中国に経済的に依存しています。オーストラリアの輸出の約38%を中国が購入しているのに対し、米国はわずか4%しか購入していません。中国はオーストラリアの主要な輸出市場であるため、単純に中国を拒絶するわけにはいかないのです。

 中国もこれをオーストラリアの弱点と捉え、オーストラリア政府がニュークラウンウイルスの発生源の調査を求めた後、オーストラリアからの石炭などの輸入を禁止するなど、オーストラリアへの政治的批判に報復しました。

 今回の米国の選挙の気まずい結果を受けて、米・中関係が方向転換する可能性が出てきた。 オーストラリアは、アジア 14 カ国とともに RCEP に署名し、中国主導の新世界秩序への道を見出すための事前準備をしなければならなかった。

 しかし、その親善姿勢は中国との友好関係には結びつかなかった。 協定締結からわずか1日後、在豪中国大使館関係者は、中国を標的にしているとみられるオーストラリアの対外干渉防止法、華為技術(ファーウェイ)機器の購入禁止など中国への投資、中国の台湾・香港・新疆に対するオーストラリアの政策に対する外交上の「聖戦」など、中国がオーストラリアに対して抱いている14の不満をまとめ3つの通信社に送りました。

「中国は怒っているのだ」と大使館関係者はシドニー・モーニング・ヘラルドに告げました。「中国を敵とするなら、中国はお前らの敵になるぞ」と。

 しかし、米国大統領選挙は、まだ決着がついたわけではありません。主流メディアはバイデン当選の宣伝に忙殺されていますが、選挙の不正やスキャンダルが次々と表面化し、アメリカ人の半数以上が選挙の不正が激しいと考えており(47%)、その中にはバイデン氏がトランプ氏から票を盗んだと考えている民主党員の20〜30%も含まれています。(ラスムッセン調査11月17〜18日)。様々な市民団体とトランプ陣営との間の法的手続きは着々と進んでいます。(ほぼ 30件の訴訟が棄却または取り下げられている)。

 ひょっとすると、米国の主流メディアが先制的に発表したものとは異なる実際の結果を待つことになるかもしれません。オーストラリアが実質的な調整を行うのはその時でも遅くはないでしょう。(終わり)


美国大选触发国际关系提前重组
2020年11月29日
在美国大选被美国几家主流媒体认证,德、英、法等国政府领导祝贺之后,被搁置一年多的《区域全面经济伙伴关系协定》(RCEP)于 11月15日以视频的方式签署。这一协定号称世界上覆盖人数最多(高达35亿),GDP总量最大的自贸协定,参与国共有15个。

这个于2012年在东盟会议上发起,由东盟十国和中国、日本、韩国、澳大利亚、新西兰、印度等六国参与的自贸协定,终于在今年国际政治面临极大转折之时,如中国所愿签署了。外界评论均认为,这个自贸协定将由中国主导。

北京强调经济利益,淡化政治目标

RCEP协议从提出到签署历经八年,其间因国际政治、经济环境发生的巨变,各国的考量也变得飘忽不定,中国一直未能如愿达成目标。

这次充满争议与舞弊污点(截至目前,有关美国大选舞弊的指控仍未出现决定性证据)的美国大选结果悬而未决之际,中国赶在美国新总统上任之前这个机会窗口签署,自然是将此协定视为建立其领导秩序的机会。毕竟,RCEP协定是世界上覆盖人口最多、覆盖面积最大,全球最大经济规模、贸易额仅次于欧盟的巨型自由贸易协定,一旦在2021年生效实施,中国将获得一次经济政治再起的机会——自2018年3月美中贸易战开打以来,中国经济遭受创。

中国方面认为协定的签署标志着多边主义和自由贸易的胜利。

中国商务部副部长王受文算了一笔帐:中国与自贸协定伙伴国的贸易额在整个对外贸易额中所占的比例将从27%提升到35%,有利于中国的外贸。其理由有三:1. RCEP15是对现有的各个“10+1”自贸协定集体的升级,将会形成区域内统一的规则体系,对本区域内的工商界和进出口企业都是有极大的便利,它有助于降低经营成本,减少经营的不确定风险;2. 有助于构建本区域内的供应链和价值链,企业都可以参与原产地的价值累积,对本区域内的商品、技术、服务、资本,人员的跨境流动都会有非常大的好处,形成“贸易创造”效应;3. 区域内的规则统一之后,对区域外投资者来说,进入一个国家就意味着进入到整个区域的国家,发展的市场和空间都会大大增长,所以有助于本地区吸引区域外的投资。


中国所有宣传都不提经济目标之外的政治目标。

中国的目标不只是亚太地区的经济火车头

中国谈的当然都是所谓互利共赢。但其主要目的在于整合整个东亚和东南亚的产业链条,让各国对中国产生更深的经济依赖,达成政治控制。

经过贸易战前后的全球产业链重组,东南亚成为中国转移的产业链的承接之地,美欧甚至还想把中国的生产环节挪到东南亚和印度。现在有了RCEP,东南亚原材料和零件对中国的出口变得便宜,这样把整装挪到印度自然就不合算了,产业链从中国外移之势就可以中止了。

更重要的是,北京一向利用世界各国对华的经济依赖达成政治控制。世界产业链重组之后,北京已经感到政治控制正在削弱。签署RCEP15,一方面可以利用东南亚对中国的经济依赖加强政治上的控制;另一方面可以弱化美国在东南亚分而治之的效果。在RCEP框架下,一旦没有美国这个依靠,中国也就很容易掌握政治主导权,即使越南有点小小的不服,中国认为也容易整治。


这个RCEP对台湾极为不利。美国大选的法律诉讼结果虽然未出来,但拜登已经几次表明要取消中国的关税。一旦成真,印度和台湾这两个在贸易区之外的地区受打击最大。印度好办,中国已经表态欢迎其随时加入,但台湾的处境会非常尴尬。

台湾近年在特朗普政府的支持下,对大陆态度越来越强硬,拜登如果上台,台湾处境将会大变。蔡英文政府就算是向拜登政府叩首,也不会得到支持,因为中国肯定是中美关系的主导者。

日本、澳大利亚对RCEP的心态复杂

中国财政部则表示,中国和日本首次达成了双边关税减让,是历史性突破。该协定内容共涉及削减关税、原产地原则、跨境电子交易、知识产权保护、人员移动等20个领域。其中,在商品关税方面,各成员国91%的商品关税将取消,中日贸易商品的86%、日韩贸易商品的83%将最终取消关税。其他国家间撤销关税的商品比例也将达到86%至100%。

我曾经写过数篇文章,谈东南亚国家与欧盟、日本等发达国家对中国的经济依赖,包括它们在对中国的经济依赖及其政治控制方面的矛盾心态。目前情况仍然是如此,只是东盟十国中的大多数看到美国大选结果如此,放弃了挣扎。但日本、澳大利亚等仍然心有不甘。

澳大利亚总理莫里森和日本新任首相菅义伟于11月17日举行了面对面会谈,并就双边国防安全问题达成了《互惠协定》(Reciprocal Access Agreement)。协议将使两国的部队更加紧密地合作,加强这两个美国盟国之间的关系,以对抗中国在亚太地区日益增长的野心。


日中关系多年来非敌非友,日本朝野均对中国保持足够的警惕性,加上日本社会远不如澳大利亚开放,中国的渗透不那么容易,但澳大利亚的情况不太一样。

近20年来,澳大利亚成为中国红色渗透的重灾区。特朗普执政时期中美关系恶化,澳大利亚调整了对华关系,实际上已经阻止了华为向该国提供用于国内网络建设的5G电信设备,并越来越直言不讳地批评中国的国内政治。最近还就与美国、英国、新西兰和加拿大(既所谓的“五眼联盟”[Five Eyes nations])上周发表联合声明,呼吁北京改变最近取消香港民主派议员资格的做法。

但澳大利亚对中国的经济依赖,比对美国的依赖要大得多。中国几乎购买了近38%的澳大利亚出口商品,美国只购买了4%。正因为中国是澳大利亚的主要出口市场,这点注定它不能简单地拒绝中国。中国也看准了这是澳大利亚的软肋,对澳大利亚的政治批评采取了报复措施,比如在澳大利亚政府要求对新冠病毒的来源进行调查后,中国开始禁止从澳大利亚进口煤炭等产品。这次美国大选的尴尬结果,导致中美关系可能改变方向。澳大利亚不得不为如何在中国主导的世界新秩序中找到方向预作准备,与14个亚洲国家一起签署了RCEP。

但这种示好的表示并未换得中国的友善。协定签署仅一天后,中国驻澳大利亚大使馆官员就把中国对澳大利亚14条不满的概述发给了三家新闻机构,其中包括被视为针对中国的澳大利亚反外国干涉法,禁止购买华为设备和其他的中国投资,以及澳大利亚对中国的台湾、香港和新疆政策的外交“十字军东征”。“中国很生气,”一位大使馆官员向《悉尼先驱晨报》解释说,“如果你们把中国当敌人的话,中国就一定是你们的敌人。”

但是,美国大选现在尘埃并未落定。尽管各主流媒体忙于宣布拜登胜选,但随着大量选举舞弊与欺诈丑闻浮出水面,美国人逾半认为本次大选存在严重舞弊(47%),其中包括20-30%的民主党人认为拜登从特朗普那里偷了选票(拉斯穆森调查11月17日-18日),各民间机构与特朗普团队的法律诉讼正在稳步推进(近30项诉讼已被驳回或撤销),人们也许会等来一个与美国主流媒体抢先宣布的结果不一样的实际结果,澳大利亚那时再做实质性的调整也不算晚。

原文は https://www.sbs.com.au/language/mandarin/zh-hans/opinion-us-election-triggers-international-relations-reshuffle


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