何清漣★米国経済依存を失って白日夢と化すチャイナドリーム  2020年8月3日

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 武漢ウイルスが世界を席巻した際、北京は自分たちがウイルスを制圧し、さっさと生産を回復させて、世界に「我らは又しても勝利を収めた」「世界は中国に感謝すべきだ」と宣言する夢想を抱きました。しかし、海外市場が深刻なまでに縮小し、発注がなくなってしまって、やっと「これはまずい」と気がつきました。

 海外市場という緑野がなければ、中国経済だけが花開くことはできません。今や、国内経済は悪化し、中共は「経済の内外ダブル循環システム」を強調していますが、実際はただ、自国市場に頼って生産と消費の国内循環にするという話に過ぎません。

 しかし、これは一種の自己満足です。鄧小平の拓いた「改革開放」とは、「改革」は内部経済体制の改革であり、「開放」とは国債投資と世界市場を利用しようということでした。そして、40年あまりの改革開放によって、中国はとっくに経済の対外依存度が極めて高い国になっています。突然の損失は、中国経済が破綻の淵にあることを意味します。

 ★中国経済は自力更生から対外依存へ

 一国の対外依存度の主要な指標となるのは対外貿易依存度で、対外貿易係数ともいい、一国の輸出入総額がその国のGDPに占める比重のことです。これは、国家経済の対外依存度を示します。その変化は、ある程度、外国貿易が国民経済の中に占める位置の変化を反映します。中国は、毛沢東時代に鎖国し「自力更生」を唱えましたが、対外貿易は極めて少なく、国は窮乏化し、民衆は一層貧しくなり、対外貿易依存度は、途上国の平均値より下でした。

 鄧小平が対外開放政策を始めた直接の結果は、対外貿易の大々的な発展でした。とりわけ2001年に世界貿易機関(WTO)に加入してからは、中国は世界の工場となり、対外貿易の増加速度はGDPの増加をはるかに上回りました。

 例えば、2002年、2003年の中国のGDP増加はそれぞれ8%と12%でした。一方外国貿易総額の増加は22%と35%でした。以下、中国の政府発表のデータで中国の対外貿易依存度が一直線に上昇するプロセスを見ると、2003年は51.3%、2004年は60%に迫り、2005年は67%、2006年は80%を超えました。こうして中国は世界で最も対外貿易依存度の高い国になったのでした。

 これほど高い対外貿易依存度は、中国のグローバル経済一体化のプロセス参加を加速を反映しているとともに、中国経済と世界経済の相互依存関係を示しています。両者が互いに支え合う新局面が出現したのです。

 しかし、ある国の対外依存度があまりにも高すぎると、必然的に二つの危険が生じます。一つは、国際分業と競争の主導権を把握するのが容易ではないこと。二つには国際市場の変化を簡単に受けてしまうことです。しかし、中国政府は、世界はメイド・イン・チャイナから離れることはできないから、競争の主導権は中国にあって、国際市場の変化に影響を与えられるのだと思い込みました。

 ★好景気は常ならず、外国貿易と外資の安定は国策になった

 2008年には、米国のリーマン・ショックが世界金融危機を引き起こし、中国は4兆ドルの救済措置を考え出し、投資は主にインフラと不動産への流れ、2009年には中国の対外貿易依存度は約45%に急落しました。

 それ以来、中国の経済成長を牽引する「トロイカ」の中で、外国貿易は慎重に維持する必要があったのですが、外国貿易依存度は、2013年に45.7%、2014年に41.5%、2015年に37.4%、2017年に33.5%にダウンと年々減少ししました。

 2018年8月、中共中央政治局会議は「六穏」(六つの安定)を決めました。安定した雇用、安定した金融、安定した対外貿易、安定した対外投資、安定した投資、安定した期待(経済成長目標)です。以来、これは中国経済の国策となり、毎年の重点要求となりました。しかしそうまでしても、2018年は33.7%、2019年は31.8%まで、無理に引っ張り上げられただけでした。

 中国の対外貿易依存は、実は大変脆弱で、その興隆も早かったけれども衰亡もまた必然的結果です。これは米国や日本と比較すると、国内市場の安定が一刻経済の長期発展の基盤だとわかります。こうした基盤があってこそ、外国貿易依存度は相対的に安定し、経済がジェットコースターのようにならないで済むのです。

 例えば、米国の対外貿易依存度は、2004年にはわずかに25%、2019年には20%前後です。日本は2004年が26%、2019年は27.98%で、その間、波はありましたが、概ね平穏です。アメリカや日本は対外貿易への依存度が低く、国際市場の変動の影響をあまり受けません。

  中国は違います。今は「安定した対外貿易」と「安定した対外投資」の2つが最優先で、さもなければ「内部循環」に頼るしかありません。 一人当たりの借金が13万3400元と高く、6億人の月収が1000元にしかならない国にとって、これは非常に難しいことです。

 ★冷戦序曲が「貿易と外資の安定」を吹っ飛ばした

 中国の主要35年の対外貿易輸出入総額の対GDP比率を100%です。こうした高度に対外志向の都市は、主に珠光デルタ、長江デルタ、福建省南部に集中しています。そのうち東莞、蘇州、深圳、廈門はどれも100%以上であり、外国からの発注がないとなると、都市の経済は深刻な打撃を受け、2億人の雇用に影響します。中国の「外国貿易、外資の安定」は空虚な言葉なのです。

 今年の5月に私は

 ★世界各国の中国依存⑴ そう簡単には止まらない 2020年5月7日 
世界各国の中国依存 ⑵「経済」恐喝にひれ伏した韓国、豪州 2020年5月11日 
★世界各国の中国依存⑶ 腰抜け欧州連合、 米単独では如何とも… 2020年5月12日 

 で、中国の経済発展の時期には、国外から大量の原料、鉱物や様々な資源を購入し、ドイツの自動車の主要消費者となり、こうした状況が、各国の中国依存を生んだと分析しました。

 中国は、自分が国際分業と競争の主導権を握っていると思って、それを利用して政治的な圧力とすれば、うまくいくだろうと考えました。しかし、中国が見落とした点があります。それは中国の強大な経済能力は、米国の経済依存からもたらされたものだということです。これは、★中国が米国経済を失うと…良き日々は戻らない ( 2020年5月24日) で指摘した通りです。中国の対米経済依存は、大きなものでは技術依存、金融システム依存、貿易黒字依存です。技術依存の話だけでも長文がかけますが、一例をあげれば、「海外ハイレベル人材招致・千人計画」の技術窃盗行為犯の9割は米国の大学の研究機関にいます。金融システム依存では、中国人は人民元の国際化を願っていますが、IMFの5大備蓄通貨となってから、人民元の国際社会での影響力は却って下降しました。ですから、3兆元前後の外貨準備高は、中国の経済力を維持知るためには必然的に必要となります。2016年に書いた★中国経済の外貨準備をめぐるトーチカ戦★2016年12月5日
でも言ってますが、中国はずっと対米貿易黒字を使って外国為替収支を安定させてきたのです。それが米・中貿易戦争がエスカレートするにつれて、中国の対米輸出は下り坂となり、中国に外貨不足が起きるかどうかは、国際金融会と中国内の中産階級の関心の的となりました。国際金融界は、現在の中国の3兆ドルの外貨準備は、中国が国際収支バランスを保てるかどうかの警戒ラインだと見ています。もし、この線を踏み抜けば、中国は外貨不足に直面するだろうという見方が広まっています。

 7月23日、カリフォルニア州ヨーバリンダ・ニクソン大統領図書館の演説で、マイク・ポンペオ米国務長官は、"新鉄のカーテン演説 "として知られることになった "共産中国と自由な世界の未来 "と題する演説を行いました。 米・中関係は外交関係40年で最も緊張した状態にあり、トランプ氏が再選されれば、中国は米国への経済的依存の多くを失うことになります。

 中共のトップは今後、中国経済の内外「二重循環」を強調していますが、米国との関係が悪化してからは、中国の米国技術依存、金融システム依存、貿易黒字依存の三つの依存関係が崩れていくでしょう。そして米国からの巨額の貿易黒字(長年、中国の全貿易黒字の9割を占めていました)がなければ、外貨準備は水源を失い、他の国には米国ほどの大口の購入者はいません。当然、そうした国家への政治的強制力も失います。ですから、いわゆる「中国経済の内外二重循環」は、実際には中国国内にしかない「経済の内循環」となり、習近平の中国の夢は白昼夢となることでしょう。(終わり)

 原文は; 痛失对美经济依赖 中国梦成白日梦
2020-08-03

何清涟:痛失对美经济依赖 中国梦成白日梦
2020-08-03

中国武肺病毒流播世界之时,北京当时的美梦是自家控制住疫情、尽快恢复生产,同时向世界宣告“我们又赢了”,“世界欠中国一个感谢”。直到发现海外市场严重萎缩,订单消失之后,北京才意识到情况不妙:没有海外市场这些绿叶帮扶,中国经济无法一枝独秀。如今国内经济恶化,中共高层提出经济内外双循环,表面上强调内外兼顾,实际上是只能主要依托本国市场维持生产与消费的内循环。但是,这其实只是一种自我安慰,邓小平开启的改革开放,所谓“改革”是内部改革经济体制,所谓“开放”是利用国际投资与世界市场。四十余年的改革开放,中国早就成了一个经济对外依存度极高的国度。一旦骤然失去,意味着中国经济濒临破产边缘。

中国经济:从自力更生到对外依存

衡量一国经济对外依存度的主要指标是外贸依存度(degree of dependence on foreign trade),该系数又称为对外贸易系数,是指一国的进出口总额占该国GDP的比重。它被用来衡量一个国家的经济对外贸的依赖程度,其变化可以在一定程度上反映出外贸在国民经济中所处地位的变化。中国在毛时期闭关锁国,号称“自力更生”,对外贸易极少,国穷民众更穷,外贸依存度远低于发展中国家平均水平。

邓小平的对外开放的直接后果就是大力发展对外贸易,尤其是2001年加入WTO之后,中国成了世界工厂,对外贸易的增速远远超过GDP的增速。比如,2002年、2003年中国GDP分别增长8%和12%,外贸总额增长却高达22%和35%。以下中国官方数据展现了中国对外贸易依存度直线上升的过程:2003年就达到51.3%,2004年接近60%,2005年上升至67%,2006年超过80%,中国从此成为世界上外贸依存度最高的国家。

如此之高的外贸依存度,反映了中国参与全球经济一体化进程的加速,也表明中国经济与世界经济已经形成了相互依赖的关系,两者彼此支撑的新局面已经出现。但是,如果一国经济对外依赖程度过高,必将面临两种风险,一是不易正确把握参与国际分工和竞争的主动权,二是容易受国际市场变化的影响。但中国政府却误以为世界离不开中国制造,中国掌握了竞争主动权,可以影响国际市场的变化。

好景不常在,稳外贸与稳外资成国策

2008年美国次贷危机引发世界金融危机,中国拿出四万亿救市,投资主要流向基础设施与房地产,2009年中国的外贸依存度骤降为45%左右。从此以后,拉动中国经济增长的“三驾马车”当中,外贸这一驾就需要精心维护,但外贸依存度依旧逐年下降:2013年为45.7%,2014年为41.5%,2015年为37.4%,2017年降至33.5%。 2018年8月,中共中央政治局会议定下的“六稳”——稳就业、稳金融、稳外贸、稳外资、稳投资、稳预期(经济增长目标),从此成为中国经济国策,每年都作为重点要求。即使如此,2018年也只勉强拉升至33.7%,2019年为31.8%。

中国这种外贸依存其实很脆弱,其兴也快其衰也速是必然结果。这只要比较美、日两国就可知道,稳定的国内市场是一国经济长期发展的基盘。有这个基本盘做经济凭藉,外贸依存度相对稳定,经济就不会如同坐过山车。例如,美国的外贸依存度2004年仅为25%,2019年降至20%左右;日本2004年为26%,2019年为27.98%。中间虽然有波动,但大体平稳。

美、日两国外贸依存度低,受国际市场波动的影响就小得多。中国不一样,现在的重中之重就是“稳外贸”与“稳外资”两项了,否则就只能依靠“内循环”了。这对于一个人均负债高达人民币13.34万元、6亿人月收入仅为1千元的国度来说,实在是个非常艰巨的任务。


美中开唱冷战序曲,稳外贸、稳外资成为空话


中国35个主要城市外贸进出口总额与GDP的比值为100%,这些外向度高的城市主要集中在珠三角、长三角、闽南等地。其中东莞、苏州、深圳、厦门均超过100%,由于外贸订单消失,这些城市经济遭受重创,影响到两亿人就业——中国的稳外贸、稳外资均成空话。

今年5月,我曾在自由亚洲电台发表系列文章《各国经济依赖中国,有如嗑药上瘾(1)》、《各国经济依赖中国,终成北京政治要挟的工具(2)》、《各国经济依赖中国,欧盟弯腰 美国成独木(3)》,分析了中国在经济发展时期,在国外大量采购原料、矿产及各种资源,并成为德国汽车的主要消费者,这种情况造成了各国对中国的经济依赖。中国以为自己把握了参与国际分工和竞争的主动权,并把各国对自己的依赖转化为政治要挟,而且获得成功。而中国却忘记了一点,中国强大的经济能力来自于对美国的经济依赖。我在《中国失去对美经济依赖,风光难再》(5/23/2020)一文中指出,中国对美的经济依赖,就其大者说,有技术依赖、金融体系依赖、贸易顺差依赖。技术依赖一事可以写出千言万语,这里仅举一例:“千人计划”网罗的技术偷窃者,90%以上呆在美国的大学研究机构里;金融体系依赖,中国虽然想通过人民币国际化另起炉灶,但从成为IMF五大储备货币之后,人民币在国际社会的影响力不升反降,因此保持3万亿左右的外汇储备是中国维持经济能力的必然需求。早在2016年写的那篇《中国经济的堡垒战:“保卫外汇储备”》中谈过,中国一直仰赖对美贸易顺差来平衡外汇收支,而中美贸易战步步升级,中国对美出口开始下跌,于是,中国是否会出现外汇短缺就成为国际金融界和国内中产阶层都十分关注的问题。国际金融界普遍认为,目前中国的3万亿美元外汇储备是中国维持国际收支平衡的警戒线,如果外汇储备跌破警戒线,中国将面临外汇短缺。

7月23日,美国务卿蓬佩奥在加利福尼亚州约巴林达的尼克松总统图书馆发表题为《共产主义中国与自由世界的未来》的演说,被外界称为“新铁幕演讲”。中美关系已经建交四十年以来最紧张的程度,如果特朗普成功连任,中国将在很大程度上失去对美的经济依赖。

事实证明,中共高层虽然强调今后中国经济内外双循环,但与美国交恶之后,中国对美国的技术依赖、金融体系依赖、贸易顺差依赖三个依赖将踏空。没有来自美国的巨大贸易顺差(多年来均占中国全部贸易顺差90%以上),外汇储备将成为无源之水,无法充当其他国家的大买家,自然也就失去了对这些国家的政治控制力。因此,所谓中国“经济国内国外双循环”,事实上就成为只能在中国国内的“经济内循环”,习近平的中国梦也就成了白日梦。

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